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少女の嗚咽とケダモノ達の狂喜

 ※詩音パートです。内容はなんとなく想像できるかと思いますが、苦手な方は読み飛ばしてもたぶん大丈夫だと思います。(読み飛ばした方の為に後書きに一行のあらすじを入れてみました)

 詩音が押し込まれた部屋は広く薄暗い部屋だった。

 暗色カーテンに閉ざされた室内にあるのは3つの大きなマットレス。壁際に設置されたスタイリッシュなアクリルラックには、口にするのも憚られる淫猥な道具ならべられて、きちんと整理整頓掃除がされているようだが、隠し切れないすえた匂いが鼻につく。

 その匂いは詩音にとって初めての匂いだったが、部屋の状況も含めて、それが何を示しているのかは聞かされるまでもなく明らかだった。

 連想される未来の自分に詩音が逃げ出そうと振り返るも、そこにはニヤニヤといやらしく口元を吊り上げる少年達が気だるそうに並んでいて、


「どこに行くのかな?」

「はいはい戻って戻って。君の行くのはベッドの上だよ」


 強制的に回れ右させられた詩音は部屋の中央まで連れて行かれてしまう。

 そして、


「先輩、これ使っちゃってもいいっすか?」


 訊ねる声は中里という詩音のクラスメイトのものだった。

 ここにいる限り彼もこの狂宴の参加者なのだろう。いち早く部屋に駆け込んだ短髪の彼がアクリルラックから持ってきたのは2つのリストバンドだった。ピンクのベルト部分にファーがあしらわれていて可愛らしくもあるのだが、リストバンド同士が鎖で繋がれるそれは手錠以外のなにものでもなかった。

 先輩と呼ばれた男子生徒達が両脇から詩音の腕を押さえつける中、詩音は背後に回りこんだ中里にやや乱暴な手つきで革手錠をはめられてしまう。

 その途中、何度も「助けて、やめて」と涙混じりに細い声で懇願するも、誰も言うことを聞いてはくれない。

 拘束された詩音はまるで荷物でも扱うように乱雑に突き飛ばされ、体育館にでもあるような巨大なマットレスの上に倒されてしまう。

 そして彼等は泣くことしかできない詩音を放って躊躇いがちにも制服を脱ぎ捨てると、少年らしい肉付きの薄い肉体を晒しながら楽しそうに会話を交わす。


「知ってる人とこういうところで裸ってのはちょっと恥ずかしいっすね」

「そういうのは慣れだな。つか、お前、思っクソ立ってんじゃねえかよ。ハァ、これだから童貞はヤダネ~」

「いいじゃないっすか!!」


 ワクワク感が抑えきれないような無邪気な声をリアクション混じりに上げた少年達は、脱衣が済むと、ひたひたとおどろおどろしげに聞こえる足音を立てて詩音の元に歩み寄る。

 だが、いざ獲物に手を伸ばそうとしたその時になって再びインターホンが鳴らされる。しかも、今回は一度ではなく逸る心を表すかのように忙しない連打音だった。


「もしかして、まだ人数増えるんですか?」

広島君(・・・)達じゃないか?多分、あっちのガッコの女の子を連れて来てくれたんだって、さすがにこの人数に初めてのメガネっ子一人じゃアレだし、ちっちゃい女神様は昴君のお気に入りだから、ガッコを出る前に昴君が呼んでくれたんだよ。――ってな訳で、悪ィな。開けてやってくれるか」


 人数が増えることに不満そうな中里の質問に1人の少年が答え、出入り口付近のクローゼットで大統領やら国家元首やらの被り物をチョイスする仲間に声を飛ばす。

 すると、その彼はぶつくさ文句を言いながらも、全裸にバタフライ仮面という妙な出で立ちで、部屋の外へと歩いていく。


「本気っすか!?」


 一方、現金というのはまさにこのことを言うのだろう。中里はあからさまに機嫌を持ち直しす。

 そして、その傍らで純白のシーツの上で泣きじゃくる詩音に向けてかけられた狂った喜色を存分に含んだ囁きは、暗にこれから詩音が辿る運命を予告しているようなものだった。


「えっと、詩音ちゃんだっけか?良かったな。お仲間が来たみたいだぜ」

「先輩達の姿を見りゃあこの子も逃げられないって分かるだろ。そうなりゃ後はこっちで仕込むだけだ」

「超悪っすねえ」


 心を折りに来る少年達の言葉に続き、悪辣漢に仲間入りを果たした新入生が嗤う。

 最早、詩音のすすり泣く声は嗚咽に変わっていた。

 そして、そんな詩音を見下ろす1人の少年が大きく息を吐き出し、倦怠感が漂う声で言う。


「っつっても楽しんでる奴もいるからな。お前も初めてはそういうのを相手にした方がいいぞ。泣く女ってのはちょっと萎えるだろ。昴君みたいな趣味があれば別だけどよ」

「ええ、でも、初めはなんつーか、慣れた人じゃない方がいいといいますか」

「こだわるねえ。もしかして、好きだったりとか?」


 遠慮がちながらも詩音に執着するようなことを言う中里を仲間達が誂う。

 すると、中里は破れかけた制服に隠れる詩音の体を舐め回すように見てからこう答える。


「まあ、ぶっちゃけ好みではありますね。何しろ1年の三大巨塔ですから」

「「「三大巨塔?」」」

「誰がつけのかは知んないっすけど1年の中でおっぱいがおっきい3人の事っす。新聞部のデータによるとなんと驚きのHカップですよ。なんなんすかHカップって、100センチ超えてるんすよ。未知の領域っすよ。バインバインっすよ。これを味わわなきゃ男じゃないっしょ」


 中里のパントマイム付きの力説は彼等の興味をそそるのに十分な威力を秘めていた。

 少年達のいやらしい視線が詩音の胸に集まる。

 生唾を飲み込む音や「確かに」という呟やきが聞こえ「俺にやらせろよ」「そりゃないっすよ」とのやり取りがその後を追いかける。

 そしてメンバーが我先にと詩音の胸に手を伸ばす。

 そんな中にあって、その輪に一人加わらない少年がいた。小久保だ。

 考え込む彼に、熱弁していた所為で出遅れた中里が気付き「どうしたんすか?」と訊ねかけると、


「いや、お前が言ってた新聞部の情報って、あの高嶺ってヤツの情報だろ。なに考えてんだかって思ってな」

「さあ。でも、実際のところよく分からない連中なんすよね。ガッコに入ってからも特に目立つ訳でもないし、普通っすよ。ああ、でも、金城さん達追いかけられてましたっけ?けど、あれは金城さん達が一方的にってだけで、本人達はむしろどうでもいいって感じだったっすね。結局、都市伝説みたいなもんなんすよ。この間も噂ほど強くなかったっしょ」


 と、そんな二人の会話が気になったか、他の少年達も脱がすのも待ちきれないといった様子で、服の上から詩音の豊満な胸を触り、確かめ、狂喜する声を止めて、


「それでもお前やられてたじゃんよ」

「あれは普通にラッキーパンチっす。でなきゃあんな漫画とかの達人みたいに出来るわけがないっすよ。ともかく、普段の本人達は至って普通で、意外と噂も情報屋が自分で拡散したもんなんじゃないっすかね」

「それはありえるな」


 絶妙な返しを受け、焦りながらもびしりと手の平を立てた中里の的を射た批評に、全員が考え込むように黙りこむ。

 静かな室内には詩音の嗚咽だけが響き渡る。


「っていうか女の子が来たんすよね。呼びに行った長尾さん。遅くないっすかね?」


 すすりなく声に気まずさを感じたのか。空気を変えようとした中里の問い掛けに、


「そういえばな。またトラブってんのか?面倒だから応援に行くか?」大丸が応じ、

「トラブルってなんすか?」中里が質問を重ねる。

「撮られたヤツとか昴君目当てのヤツとか毎回嫌がる女がいんだよ。純情ぶるなつーんだよな。って訳で中里。手伝ってきてやってくれねぇか」

「なーる。了解です」


 大丸からの愚痴っぽい応答に中里は納得。流れで出された指令に敬礼をして歩き出そうとするのだが、思い出したかのようにくるり上半身だけを振り返らせ、


「先輩。俺が行ってる間に巻藤をヤッちまおうなんて考えてませんか?」


 訝しむ視線を向ける中里に「しねーって」と大丸は手を振るが「本当ですか?」中里は疑いの視線を強くする。

 そんなやり取りをしつこいくらいに繰り返した末に、ぶつくさ愚痴りながら遠ざかる中里の背中を見送った大丸達は「行ったか?」「行ったな?」とお互いに扉が閉まるのを確認し合い、改めて詩音が横たわるマットレスに体を乗り出す。


「お前等も好きだな」

「小久保さんもどうっすか?Hカップっすよ」


 呆れ混じりの小久保の声に、大丸はか細い悲鳴を出す詩音の後ろから胸をたぷんたぷんと弄びながら誘いかける。


「俺は後でいいよ。1人でゆっくりしたい派だからな」


 小久保は短く断りを入れ、小さな冷蔵庫から取り出したエナジードリンクを一息にあおる。


「そんじゃま、さっさと剥いて一発やりますか。つか、誰だよ。脱がす前に手錠つけたのは、脱がせ難ィじゃねえかよ」

「ああ中里だ。アイツ初めてだからなあ。その辺が分かってなかったんだろ。というか、どうせもうボロボロなんだからよ。ふつうに破っちまえばいいだろ」


 文句を言いながらも彼等は強引に詩音の服を剥ぎ取り、服の下から現れたその柔肌に絶句する。


「マジかよコレ!?」

「ああ。スゲェな!!」

「確かに……」


 グググッと何かがこみ上げる気配があり、初めて男に裸を晒す恥ずかしさに目を瞑ってしまう詩音の胸に、ヒタリと冷たい感触が伝わってくる。

 そして、感嘆の唸り声が響き、ついにその時は訪れてしまった。


「んじゃ。俺の立派なモノで女にしてやりますか」

「立派というか粗品?つか、またお前からかよ。ま、初めてにゃ俺のビッグマグナムはちとキチィからな。それよか、いろいろ使ってやれよ。初めてなんだから」

「はいはい。用意してますって、んじゃま。いただきますってか」


 か弱い詩音の抵抗は意味が無い。助けを懇願する詩音の言葉を無視して冗談のようなやり取りが交わされ、とろりと人肌の液体が詩音の体に垂らされる。

 その粘液がまんべんなく詩音に広がるやいなや、ゴツゴツした体がのしかかり、熱を帯びた何かがあてがわれる。

 そして、いざその時となったタイミングで玄関へと続く扉が開く。


「悪ィな。先にいただいちまうぜ」

 ◆このお話のあらすじ……男達に別室に連れて行かれた詩音は服を剥ぎ取られて大ピンチ。

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