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7(7/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓-

日刊連続投稿中でございます…

ぜひぜひ皆様ごゆるりと…

###7(7/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓-


     * * * * *








 また翌日の事。






 今日も今日とて、飯食ってゲームやって風呂入って、という日を過ごした後、





 風呂上がりに、俺とルーは、


 居間でゲームをしながらアイスを喰う、


 そんな、いもうとさまと遭遇していた……














~~~♪










「おん?」「あっ…………」








 見ると、妹がアイスをたべている






 喰っているのは、ダッツの、クッキーアンドクリーム味のようだ。






 しゃく、しゃく、






「だぁかぁらぁさぁ、おにぃは、そのことつきあえばいいじゃぁん、だれもとがめたりなんかしないヨ!たぶん。」






「はぁ……?」




「えっ!/////」




 何が嬉しい愉しいというのだろうか……

 妹・道寺橋 舞依 はその愛嬌のある美少女フェイスとかしましい声色で、

 にゃーにゃーと笑いながら、








「それでおまわりさんにつかまっちゃえ!」






「ぇう?!」「あーーあぁーもう」







 しかし辛辣であった。

 まあ、こんな処遇には、ユウタは慣れている。

 ユウタ本人の認識の弁としてもこうだった。

 まったく、我が妹というのは、口を開けば、俺に対する舌禍が飛び出してくるのだから…と。








 しゃく、








「あ……」








 しゃくしゃく、しゃく、








「おいしそう……」








 その一方で、俺の傍らのルーは、いもうとのたべているものに興味がわいたらしく……。




「じゅるり……えふぅ……」




 いや、ものすごく、アイスくりーむが、おいしそうにみえるらしく、








 目を爛々と星をうかべて輝かせながら、










「あ、あの」






「なに?」






「あの、それ、とってもおいしそうですね!?」






 ルーのやつは、にこやーかーな人畜無害スマイルな己の面相で、


 しかし口からよだれを垂らしそうにしながら、








「すみませんが、ぼ、ボクにひとくち…」






「だーめ!」








 ぴしゃり、と。




 いもうとさまはそうおっしゃられた……

 ふたたび、ルーのやつは、目がぐりぐり目になってしまった。






「これをたべると、虫歯になっちゃうよ!


 とっても危険なたべものなの!


 だから、勇気あるわたしは度胸試しでたべてるのだーあ、あん、ぐっ、と。」






 つづけざまに、そう宣告した、いもうとさま。




 まさに、とりつく島も無い、というやつだ。






「ぁぅ……、、、、」






 ルーのやつは、ぐりぐり目から涙を潤ませ、


 口からは、よだれが垂れかけている、そんな始末。








 まあ、ダッツはサイズが小さいから、いもうとがそんなに神経質になるのも、わからなくはない。が……












「ふーん、そんなら、ルー。まってろよ、」






「ほぇ?」








 まあ、おれちゃんは常にプランBを用意している男だ。








 二階の自室に行き…………戻ってくる。








 手に携えたるは、








「へっへっへっ…………」「ユウタ、それはっ?!」








 六個入りミニカップアイスの、クッキーバニラあじ。








 このかっぷアイスならば、お値段お値打ちで、さらにミニカップが六個も入っているときた。










「ダッツがなくても、おれらにはすーぷぁーかっぷがあるんだから…」










「おいしい!」










 果たして、ルーのやつは喜んでくれた。








「さらにな……」「ぇぅ?」










 アイスクリームに、砕いた…ヴィスコ…を投下して、混ぜて食べる。












「なんか、さくさくとひんやりなめらかあまいのが、いっしょになって、とってもおいしいよぅ?!」






「ふはは、名付けてゆうたスペシャルよ!」










 ルーのやつは実においしそうに食べていて、


 あげた俺の側も、これなら大丈夫だな、と。












「ふーん、」








「なーんだ、ジュウブンなかいいじゃーん、


 って…………あれっ?!」








 ぺっぺぺっぺぺ、っぺっぺ、ぺー☆








「あぁっ、ゲームオーバーしたぁっ! ちょっと、くそあにき~!!」








「むぅっ…………?」「ん?ああ、」








 いもうとさまが噴火された……活火山だからな。








「くそあにきのせいだ!! くたばれ、くそあにきーー!!!!」








「八つ当たりはよくないぞ、妹よ、」






「くそあにきのせいで、あたしのかーびぃが、またやられた~~!」




 妹さまはこの家のお姫様だからな…

 王女様とお呼び! などと、そのうち鞭でも持ち始めることであろうよこのまま社会にでたならば。

 などと俺、ユウタは脳内で譫言していたわけだが、




「ちょっと……、」






 そこに割って入ったのが、










「いもうとさん? ボクの名前はルーテフィア、っていいます。」






「なによぅ、フシンシャ。


 なんかホカホカしちゃってるけどさっ、」








「えむっ…………その、くそあにき、というのは、なんなのですか。」






「読んで、字?のごとく?じゃん」






「くそ、とはなにか、と言っているのです!」






 え゛?といもうとは、引いた。






「ボクのともだちの、ユウタ、なのですよ?


 それなのに、その妹が、なんで兄を、


 こんな言いようをするのですか!」








 おい、ルー。なにやりはじめているんだ?








「だいじょうぶだよ、ユウタ!」







 果たして…

 ルーは決闘モードにはいってしまっていた。



 なんだか、のぼせている雰囲気でもあるようで、こちらに振り向いたルーの両目はぐるぐる目である。



 先刻の風呂の湯あたりがつよかったのだろうか…








「ボクには、あなたから受けた恩があるんです!


 みててくださいっ!」








 ルーテフィアは勇気ある、毅然とした表情になり、


 妹の前に、ずい、っと立った。






 この状況で、


 たじろぐのは妹の方である。








「な、なんだよぅ、ルー……テフィア、ちゃん、」






「ボクの格好を見て、まだそういう事をいいますか、」






「……くん、」






「そうです、」






 エフーン、とルーテフィアは鼻息を鳴らすと、










「えっふん、いもうとさん、


 ユウタをそれ以上バカにするなら、このボクが黙っていませ……――ひゃっ?!」






 そのとき、ぐいっ、と。






「ゆ、ユウタ、なにをするんです……――って、え……?」










 ルーテフィアはかおが凍り付いた。




 肩に手をかけられ、突然背後を向かされたと想ったら、


 熊がいた。


 不機嫌なのか、獲物を前に処さんとする、その一刻前なのか……

 クマのような面相で凄む、俺の顔面に対面したからだろう。




……自覚しているし、そうするつもりで心がけているが、せいぜいが偽物のくまの着ぐるみか、作り物程度の情けないリアリティだろう……





「ちょっとくそあにきwww そんなプーさんみたいな顔してどうしたの?www www 」




 と、いつもの妹なら煽ってくるのは、このタイミングなら確実だろう。


 実際、いまがそうであった。






「ぁ……あうっ…!?」




 ところで、いっぽうのルーはというと、そんな情けない俺ちゃんクオリティのそれを、本物のそれかと思い見誤り込んだような様子で








「ユウタ、な、なにを怒っているのです?


 貴方に不躾な態度を取る、妹さんに、このボクが忠言をしようと……」



 やあれやれ……俺は言葉を返した。



「そういうの、お前は身内同士の関係間とか、兄妹同士の仲だとか、その微妙な距離感とか礼儀の感覚というのを、


 なんというかわかってくれてないんだよなぁ……はぁ、」








 俺ちゃんはそう言って、ためいきをついた。






「えっ…」





 妹は、そんな俺の発言に、面食らったらしい。






 しかししかし、







「ふぇ……」








 そういわれると、ルーはなぜだかショッキングで、

 とてもさみしい気持ちにもなって、






「されるがまま、じゃないですかぁっ?!」





 暴発した。





「ゆ、ユウタぁ! 

 ボクは、けっして、ユウタを困らせようとしたわけじゃありませんっ、 なんでお兄様なのに、ユウタはりっぱなかたなのに、そんなふざけた態度を妹様に許しているのですかぁっ」




 おお、先に符を出したな? ルーのやつ。

  ならば、俺も応戦しよう……




「あ゛っぁ゛~ん? 


 うちのバカいもをけなしていいのは、俺だけなんだよぉ゛ぁ゛ん゛……?!


 逆もまたしかり、ということだ。」








「ひぃっ……?!」








 自称・威嚇するはちみつクマさんのような気配をたちのぼらせた俺である…

 しかし、ルーテフィアはおびえた。










 ここまで、連続でルーをおびえさせてしまった、俺。




 なんだかこわくなってきたので、自分でも念のため、鏡で見ながら面相を見た。



……俺のこれは、いつもの妹ならそういって煽ってくるのが請け合いの、

 暑さでバテたマレーグマ並みの尊厳のなさだったのだが……







「あ、え…………くそ、あに、き、…………」






「悪いな妹よ、こいつも悪気があるわけじゃあないんだ。


……ほら、ルー、ごめんなさいしようぜ。」






「えぅ、えっ、ぇっ、と………………」








 だいじょうぶ、必ず出来る、


 というのを、なんとなくの感慨で得ていた、俺。






 ルーのやつは、


 ぎこちなく、ぎぎぎ、と身体と首を、動かして…………








「ごめん、な、さい、」










「………………」








 いもうとの方は、なにかしらないが、黙ったまま。










……あかん、片方だけに謝らせてしまった。






「あ~、あのな、」






 妹も強情なやっちゃな……と俺は思いつつ、


 フォローの必要性に気づいて、








「すまん、ルー、」








 なんというか、俺も人並みのことしか、いえんのだな。……






 なので、








「あと、遅れたけど、……


 ありがとうな、ルー、俺のために怒ってくれたんだもんな」








「え、?、?!///////」








 ルーははっ、と顔を上げた。




 ちょうどのそこに、








「ようし、いいこにはもう一つあげやう、」




「あっ…………//////」








 ミニカップをもう一つ渡してやった。














「……ばかおにぃ、で済まして、やろうかなっ」










 様子を見ていた妹は、そうとだけ、聞こえないようにつぶやいた。








     * * * * *






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