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3(3/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓-

###3(3/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓-














 え、まて、待て、


 と言い止める暇も無いほど、の、その次の瞬間に、



 とりあえず、盾は持ったが……




「たぁ!」



「はぁ!」



「やぁっ!」




――へげぇっ?!



 小柄でジャリ相応のすばしっこい……失礼、

 お子さまなので体力いっぱい夢いっぱい、あたまからっぽ元気いっぱいなルーテフィアが繰り出す、木剣の連撃!


 手数がおおいそれを、連続して……盾で、受けるしかない俺である。


 ルーの剣筋……というやつは、果たして良なるか不可なるか。

 素人な俺には判別付かない。

 が、しかしこの素人の構える盾に連続して吸い込まれていくとなると、俺の負担は中々消耗し、

素早く向けられる切っ先は、こちらからすると危なっかしいこときわまりない。



 受ける度に、俺の構える木の盾ががっこんがっこんいって、今にも自壊しそうだった。


 それから盾の裏の持ちグリップを握る俺の手にも衝撃がほとばしって、手がいたぁい……





「てぇ!」



「やぁ!」




「へ、へぇっ、へふぅ……」



 ちょーっとマジでギブだ…。

 ここまで何分たっただろう。永劫かのように長く感じるが、実は、まだ五分くらいしか経ってないんじゃないか?


 ルーのやつは手加減というものがない。

 興奮で息を切らして顔を上気させながらのその目と表情は、その色白い柔肌から汗を散らしているのもあって、もうキラキラと輝いていながら、である。

 俺ちゃんの体力はもうゼロよ……



「ルー、おまえ、いいかげんに……」



 いいかげんにしろ、という言葉を発し掛けた俺に、その瞬間、




「はぁ!」



「ぐぉっ!」



 シールドの縁で滑ったルーの木剣のひと薙ぎが、

 俺の腹に直撃!



 ゴス、っという鈍い音が響いた。



「えぼっ、えぼっ」



 ぐぉぉぉぉ……


 悶絶しながら地面に転がり落ちるしかない!

 俺は倒された。




「たおせた!」



 勝ち誇るルー。



「フフーン、どうですゆうた、ボクつよいでしょ!」


「ぐ、ぐぬぅぅぅぅ……」



 野原に転がった俺の目と、ルーの殊勝な瞳が合った。


 ルーのやつはフフーン、というどら猫のような顔で、まるでこちらを、苦労せず手に入れた、泥の中の鯉を見やるかのような目線で目を向けてくるばかりである。


 そればかりか、



「さぁ、ゆうた、立ち上がってください。二回戦目です!」


 そのうえルーはまだまだ元気いっぱいだった。

 追い打ちを掛けるルーの無邪気な宣言。



「カッチーン☆」



 おれちゃんプッツンきた。




「……チェストォ!」



「えっ」



 怒りというにはやや子供じみたアリバイの俺のほとばしりのまま、

 一瞬で俺は直立して、目の前に立ちふさがるようにして、

 ルーの目の前に立ってやる。


 直後は早かった。

 その無配慮で脳味噌お花畑なバカなルーの目前で、俺は装備した盾を、武装解除!




「アーマーパージ……!」




 地面に、盾が転がった。





「ふ、ふぇぇぇ~~~ん……」



「おまえ! あほか!」





 そこから俺は数分間ほど、ルーの前で説教をする体制に入っていたのだが、


 それよりも早く、





「ゆうた、つぎやろっ!」





 話がつうじていない……


 俺は頭を抱えるしかなかったが、ふと、思いついたことがあった。




 そうだ、ビデオゲームやろう。









 さて、場所は我が道寺橋ハウスに移って、










「あそび、ですか?」



 おれのおかんがこいつのメシを作っている間、 

 少しばせながら、この異世界っ娘の無柳を慰めてやろう、とする、

 つまるところのあやしつけ……ならぬ、

 俺の配慮、というものである。






「なんですか、これは?」



 パカァ……、と開いた。



「なにこれ!」




 ぷれすて、である。



 それから、うぃー、と、FC/SFC互換機もある。




「ゲェム、キ…………」




 ルーは、恐る恐る、その家庭用ゲーム機へと……指を伸ばして、




 触った瞬間、





「?!!!!!!!!!?ぁ」





 バッチーン! と、頭のくせっ毛が、総立ちに跳ね上がった。




「ぁ、あ、ぁ、あぁ、ぅ、す…………」





「なんだ?」





「す、……すっごい!!!!」




 うむ?よくわからんが。


 そうなのだ、ルーよ。これが、我が世界の誇る、家庭用娯楽電子機器、というやつなのだ!



 という俺の声はとどいているかどうかだったろうが、ルーのやつは、そういってゲーム機たちに目を輝かせた訳だったが……





 まあいいだろう。懐っこいかわいいショタっ娘(?)をかわいがる、というのは自分としてもまんざらではないからだ。






 定年後に遊ぶ目的で買い溜めているという、

 親父の秘蔵ソフトにご役目いただいた。










 すまぶらでぇーっくす





 がんだーめぐりあいうちゅう





 あーめーどこあーな3SL

 



 ぺくみん!




 るーじーのまんしょうんーは、らすぼすがたおせなかった……


 



 じーじぇね、初代、ゼロ、F。





 ゾイドォンPS版!1&2!!




 えふしーのほうのぞいど2




 うぉーしっぷがんなー、1と2




 ぜるだぁのでんせつ、





 なんだか訛ってしまっているが、それはご容赦の程を。



 ……ほか諸々とあったのだったが、これらのビデオゲームなどを、俺とルーはものすごい勢いで、その日の一日中、やりこんでいった……















     * * * * *







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