14(15/17)-異世界っ娘がやってくる-
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あと三話!ございます…
###14(15/17)-異世界っ娘がやってくる-
「……はぁ、」「!」
俺のためいきに、この目の前のちいさなルーはなにを感じ取ったのか、
「ゆうた♪ ユウタ♪ 折れてくれるのですね?」
「はぁ? おれりゃあせんよ??
この俺は意地汚いだけが取り柄でね……、、」
「?」
とする、ルー。
「……フフフっ、」
俺が、無言で、その黄金の構えを取る。
すると、
「!」とルーは目を光らせた。
「さいしょはぐーっ、…………って、???」
「……――揺るがされぬ神々の律令に乗っ取って、このボクが代言せし、勇者の奥義!!!」
「ボクが放つは、双剣の型!(ちょき)!!!」
と、まだ俺が指の形を出してないにもかかわらず、ルーは自分の手と指で、“ちょき”の形を、繰り出して見せた。
「フフーン、」
ルーは得意そうな顔になって、
「“勇者の三竦みあそび”、ですよねっ。
このボクが知らないわけないじゃないですかぁ♪
なにしろ、その由来となった、あの、おじいさま……を祖父に持つ、孫、の、このボクなのですから!!」
そういいつつ、ルーはふたたび、繰り出す構えを取った……
俺はそうならば、と構えを取り…………
「ボクが放つは、大盾の陣……――!「ちょき、」!!…って、え?」
おれが指をちょきちょき、とさせると、ルーのやつは目を点にして、
固まった……
ぶへっくし、と、どこかで、あのじーさんがくしゃみをしたような、気がする。
ま、今回のじゃんけん対決は、俺ちゃんの勝利であるわけだ。
まあそれはさておいて、
「あー、さっき風呂出るときに、指突いちまったから、利き手で、
卵が割れねえ……、、、、、」
「もー、まったく、しょうがないですねーゆうたは……
ボクが代わりにがんばってあげましょう」
かん、かん、がちゃ。
……、
かんかん、かん、ぐちゃっ、、、
………………、、、、、
、、、、、。 かちゃ、か……ぐちゃん。
ここまでみっつのたまごちゃんが、卵の中身を入れる用の小さなボウルの上で、
ルーのそのちっちゃなちいさな手のひらの中で、潰れて、あるいは割れ砕けて、
卵のなかみが砕けた殻ごと、そのボウルの中にへと、まるごと入ってしまった。
卵を割るのを、何回何度も失敗してしまう……
「あーぁあ、コリャ。」
「………………、、、、」
……。、
「えぅーーーーーーー!」
「まーいいじゃねか。おむれつ、くいたいんやろ?
たまごもよーさんようまざって、これじゃあ目玉焼きなんてつくれんばいな」
「わ、わざとじゃないよぅっ!?」
ルーは目をぐるぐるさせると、
「そ、そんなこというならー!」
「あっ、おい、よせ!?」
ぱらぱらぱら……
「あぐあぐあぐあぐ、ごっくん」
「!」
「おいしい!!」
こ、こいつ……
容器から砂糖を直食いしよった!
「えふっ!ユウタ、きょうのボクらのお昼ご飯は、これで決定です!」
ならんやろ……と言うしか無い。
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15(15/17)-異世界っ娘がやってくる-
「はー、」「えふんっ? ユウタ?」
そうなりゃ、作戦変更、プランBという奴だ。
とはいっても…………
卵の殻のかけらを、箸で丁寧に取り除いた後……
すでに切ってしまっていたウィンナーと一緒にフライパンで炒り卵風にして、ラーメンの具にする。
つかうのは、インスタントラーメン、といっても…………
棒ラーメン、というやつだ。
一般的な袋入り即席麺に比べて、
あぶくがわきやすい感覚はあるが、
ゆでる時間は短く済む。
なにより、おいしい!!
「さて、できあがりだ。」
「すごい! はやい!!」
まあ、正味十分以内には、できあがった感じではあった。
「あじみ、味見…………」
ずずっ、と、
「!!」
炒り卵を浮かべたスープを入れた匙を口に付けた直後、ルーは目を輝かせて、
「なんだか、とっても元気がでてくるおいしさ、ですね?!」
おこさま掴みした肉刺し(フォーク)と匙で、一口づつたべるルーである。
おれも、このラーメンへの食事を開始しようとして……
「あら、アベックラーメンなんて、あんたたち仲良いのね!」
ぶふーっ! っと、俺はスープを吹き出した。
「ゆ、ユウタ、だいじょうぶですか?!」
「ごふっ、ごひっ、ふぅぶふっ、ぜー、ぜー、……おぉっふ……」
まったく、かあちゃんのせいで麺を喉に詰まらせるところじゃったわい!!
まあ、とっさに心配してくれた、ルーの奴に、問題ない、と手を振る。
しかし、、、、そこから、
ルーの怪訝は続いて、
「その、アベック、って、どういう意味なのでしょうか……?」
「恋人とか、連れ合い、とか、そういういみ!
かあちゃん変なこというなっつにー!」
新種のモンスター?! とおののくルーに、おれは、ちゃうちゃう、とゴメンネ・チョップの手を振ってかざし、
そこまで一気にしゃべった。
一方のかあちゃんは、あらあらまあ、とたじろぐそぶりも見せずに笑っているわけであるが……
「ええ。へ、……へ、、え、っ、? /////////////」
一方のルーは、一瞬目をぱちくり、とさせたのちに、
かぁぁぁ……と顔をまっかにさせて、
「こ、こいびとっ?! ――……ゆ、ユウタ、このラーメンは、その……」
「なんだよ、」
「……、、///////、、、、」
もじもじ、というか、ごにょごにょ、というか、そんな感じに、
声としぐさをたじろわせて、
「……そ、その……、」
……、
「……精力剤とか、そういうのが入ってる、わけじゃ、ないです、よね?……///////」
「はいってるわけねーやろがい?!」
まったく、とんだ飯の時間になってしまった。
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