8(8/17)-異世界っ娘がやってくる-
本日から、九日間連続投稿を開始します…
###8(8/17)-異世界っ娘がやってくる-
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…………道寺橋家 浴室 …………
がちゃ、と。
「おっ、ラッキー!
湯船に、お湯張ってあんじゃん。」
再び、ばたん、
…………
「おふろ♪ おふろ♪」
よろこびはしゃぐ、ルー
ルーを伴って、ゆうたは自宅の脱衣所の中に居た。
(どうする、か…………
ひとりで入れさせるか? いやいや、なんか水の事故とか起きたら怖いし、
そうしたら……)
考えるゆうたに、ルーは顔を何も考えていない笑顔にさせながら、
「ユウタ、ユウタ♡ おふろ?というものに、いっしょにはいりましょうっ♪」
「とはいってもな……」
「ボクはよくわかってないですけども、清拭ということなら、家ではメイドがしてくれますよ?」
いや、おまえさんちではそうなのだろうが、ってなわけだろうて、
ともあれ、あの銀髪メイドといっしょに風呂か…………
うらやましい……
ユウタはそう雑念を譫言させた……
はてさてそれで、
(おふろ、オフロ♡……////////、……///)
…………
(…………、、、)
(おふろ、ってなんだろ……?)
ルーは一瞬、はてな? と考えた。
(大陸北西の寒い地域に有る、さうな?というものなら、物語の本で知っています。
おそらく多分、この“オフロ”というのも、それのたぐいなのでしょう。
けれど、ユウタの素振りを見るに、どうもそれ以上のすごいもののような気がしますっ)
この世界の未知のてくのろじぃというのに、技術事に目がないルーは、完全にメロメロになってしまっていた……
(けれど、今はこうして、服を脱いで支度をして、って言われているから…
…もしかして、ボクも物語の本のお話でしか知らない“温泉”というものが…?!
いやまさか、こんなヤスブシン?なおうちの中に、沸いて出ているはずが。)
せっかくの体験なのに、期待をしすぎるのもユウタに失礼だ、と己で考えてルーはそれに頷きつつ、
(そうすると、やはり、水浴びということなのでしょうか?
もくよく、沐浴……だったら、きれいで気持ちの良い湖の水で、
身体を清めるのですけど……)
なにせ、湯の中に入った記憶と経験は、実のところ、このルーには、産湯以来の経験は、なかった。
ルーは目を瞑って、
勝手口の境にした向こうの、自らの生活のなかの“入浴”を回想した。
(……沐浴……)
自分の住処の、祖父の屋敷。
その近くにある、ちいさな湖に、一週間半に一回、メイドと家族総出で沐浴へ行く。
なにも特別と言うことはない。
しかし、屋内で、薪を用意して、熱い湯につかるとしても、水の都合がつかないのだ。
必要から逆算された、ではなく、できない、から逆算された、
消極的な結論づけによって、その習慣に収束したといってもいい。
とはいえ、悪くはない、とルーは感じている。
(むふ~、……//////)
冷たい水の温度で、己の躯が磨かれたような感覚がして……
そのときは、ルーにとって、自分の、“男子、として振る舞う為”の、この嘘の格好からほどかれて、解き放たれる、わずかな瞬間だ。
冷たい、ひんやりとした水で、己の躯……肉体を、荒い、清める。
髪はもちろん、脇……胸……背中……それから…股など…。
自らの“本当の性別”からは肉体のつくりは逃れられないが故に、特に、清めは念入りに行う……
肉体の芯まで、骨身の随まで、内側まで、肉体の中の心まで、磨き濯がれるような、そんな体感をすることが出来る。
(でも…………、、、)
開放的になれるのはたしかで、
しかし、思わないところが、ないわけではない。
(でも、冷たい水……は、“終わらない秋”のアヴトリッヒ領だと、すこし身体が冷えすぎてしまうのです……
おふろ、って、なんだろ?)
なにせ、このめずらしいだんじょんのことだから、きっと驚かされるようななにかが、あるのだろう。
期待に胸打ちときめかさせる、ルーである。
なので、
まず、誰に隠して、誰に秘めるべきなのか。
そんなこんなで、ルーは、まず大前提である、己の“秘密”のこなしかた、について、失念してしまっていた……
「ユウタといっしょに、おっふっろっ、♪……」
「ん?」
そんな時に、ルーテフィアのその時の姿を見たユウタは疑問に至った。
「あいやルーさんやい、下着のままじゃんよ?」
「ふぇ? 沐浴着が今はないので、こうするのが当然ですよね?」
言われたユウタの側は、「そういえば、ヨーロッパ?の方は昔はそうなんだったっけねー」と言いながら頭を手で掻きつつ、
「なんだかねー、」
「えぅ?」
「下着のまま風呂入っちまったら、風呂からでたあとにどうするんじゃいな?
妹の下着でよければ用意できるけど、おめえは仮にも男だっつーことだし、そんなことしたら妹様がどう荒ぶりになられるか……わからんからな。
とりあえず、下着とその……胸のサラシ? も、脱いどいでくれよなー」
「…………」
「!?っ」
ぽかん、となにも考えずに、ここまで来たルー。
しかし、そのとき、肝心なその事を失念していたことに、いま、気づいた。
「どうした、ルー」
「あの、あの? ぁの、やっぱ、り、というか、その、ボク…………」
そう言いつくろいながら、ルーがゆうたの方を見やって…………
ルーは驚愕した。
「ユウタがはだかになってる?!」
「そりゃあ風呂だから、脱ぐさ…………」
そんな、ゆうたは、というと、
(手元のタオルで、俺は股間を隠しながら、である。
女々しい? かもしれんが、しかし、こいつ相手には、なんというか、、…………)
そこまでユウタは考えて、
「なんだよ、俺と入りたいのか? どうなのか? どっちなのさ」
「あの、あの、あの、その、ボク、実は、その…………/////」
一方の、ルーは……
(言えないよぅっ?!/////)
お風呂に待望して顔を元気に色づかせていた数瞬前から打って変わって、
真っ青……とまではいかなくとも、真っ白、に、表情が変わってしまっていた。
(ボクが、じつは、その…………)
(……おんなのこ、の、からだ、……で…………)
(おとこのこ、……じゃない、なんて……)
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