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9(9/16)-500円のファンタジー-

###9(9/16)-500円のファンタジー-


 






「やろぉぉぶっころがしてやるぁぁぁぁぁ」

 

 


 ぶっころがしてやる!

 

 

 

「フン、」「ぎゃふっ」



 べしゃこ、



「ま、まだまだぁ……ぁあらァォん!「ふむ、」ビャハッ」




 さしずめ、ナイター試合の決めの快打撃にしては景気の良いことであろう。

 だが、それは始まったばかりの“試合ゲーム”の、その幕開けでしかなかった。



 木剣の先の平たい横っ腹で、はたかれた。

 それが、二連続。



「ぐ、ぐふく………っぐ、」「ふむ、この程度か……」「お、おじいさま、やめ……──」




 !、んなくそーっ! 




 フォン!




……この一瞬、ジジイの顔周りをどあっぷで丹念にみる瞬間があった。


 そうすると、なんというか吹き出してしまうビジュアルだったのが肝に悪い。

 


 海外のご老人とかである、あれ。 



 じじいはたっぷりと髭を蓄えているのだが、その髭は、

 水色だったり仄かに紅いピンク色だったりの、ちいさなリボンで先端が細かく纏められてられてあって、括られていた。 

 

 なんだあ??? なんてぇ間抜けな恰好してやがる。ぎゃはは。

 


 

 というのは、

 

 

 

 ステッキの先端が、ジジイの顎の先の、リボンで括られた髭をかすめた。

 


 その時に、髭のリボンに当たった。

 

 


 リボンがほどけて、落ちた。

 

 


……という一連が完成して成されてしまった、その後で、ふっ、と脳裏に去来した物だったのかもしれない。


 

 

 ふと気配に振り返った時、俺の後ろにいたルーはそれの一部始終を目撃した後で、

 おおきな瞳がまんまるに見開いて、そうなったまま、うるうると涙がたまり始めた瞬間だった。

  

 

 もっかい今度は前を向くと、紅蓮のマグマが地を割って湧き出たかのような殺気と怒りを迸らせながら、ジジイはわなわなと震えながら、 

 


 

「……我の、我の……儂のルーの、わしの孫からの、大事な誕生日祝いをぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」




 吼えた。

  

 

 

「ぐぉっ?!」



 次の瞬間、木剣の腹が俺の頬っ面に直撃した。

 ただでさえ鋭くて隙がなかった、その剣のさばきが尋常じゃなく早くなっていた。


  

 

「このぉっ!」「くべっ」

 

 


 もう一回、こんどは反対の頬に直撃した。

 この二発とも、最初のさっきよりも段違いに痛い。こ、ころされるぅっ

 

 

 

 そのままはたかれどつかれるのが、六往復ばかり続いた。

 


「ふう、ふぅ…

 む…メイドよ、爆裂冊を、」「はい」「! お、おじいさまぁっ」


 

 倒れ伏せる俺に、どうやらジジイはとどめの一撃を見舞おうとしている所だった。 



 顔を上げると、なにやらメイドの一人から、冊子状になった何物かを受け取る瞬間であったらしい。


 

 

「この英雄、ガーンズヴァル、こんな青二才のひょろいのに負けるどぉりは!!!」

 

 

 

 

 じじいはフォームを決めた。

 

 有名な忍者マンガに出てくる爆弾札のように、

 そのまま放るように投げ射る、その瞬間! 

 

 

 

 

 

 

 


 

「あへっ、」

 

 

 突っ張った腰が、ぐき、っという音を立てた。

 腰を痛めたらしいジジイの手から、勢いのまま離れたその爆弾冊が、ぽとり、とその足元に落ちて、

 

 

 

 

  

「ぐぉ―――っっ?!」

 

 

 

 

 

 どかぁん!と炸裂。

 

 

 

 

 

……




…………






……、、、、

 

 

 

 

 

。。。。。。

 



 

 

 

 

…──自滅かよ!?

 

 

 

 

 






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