18(18/18)-黄金色の森の向こうへ-
###18(18/18)-黄金色の森の向こうへ-
・その日の夜:家
「はぁ、」
家に帰った俺である。
もう、だいぶ時間は経った……
俺も、案の定通りの、…母親たちがデパ地下で買った、カニクリームコロッケなりカラアゲなりホタテとブロッコリーのサラダディッシュなりの、お総菜物をおかずにして、…晩飯を終えた、その後だ。
さて、異世界の件である。
念入りに母親に、話は説明した……無論、隠すところは隠して、だが。
「はぁああぁ……」
なんというか、一日のうちに…大変なことになってしまった。
一応母親には、扉壊れてた!開かない!という風に丸め込んでおいたが、はたしてしかし、
「……」
登山用具を部屋のクローゼットの最手前に置き、しばしの休息……と意気込んで、もう二時間。
手には、登山靴に付いていた、異世界の枯れ木の葉。
「……、、」
明日はどうしようか……
やっぱり、生きた人間というのがいちばん怖いものなのだろう、そのような一日だったな。
そんな感じで、この日は終わった。
テーブルの上には。
溶けて液状になったアイスを、残したままだった。
* * * * *
「なんてことだ! 孫よ!!」
「ひゃ! お、お爺さま……」
翻って、異世界……夜中の、古びた辺境伯屋敷。
「……あの扉が開いてしまった、このことは、」
「わかっておる。だが…なんの魔力も…感じん」「のぅ」「うむ」
「あの……」ルーテフィア様、口に粗相が、」「あっ、もぐもが……」
ごしごしと口を拭われて、今日の晩餐である黒麦くずの塩茹で粥……を、粗末な白切れで、さらにすり付けるが如く、……さらにかゆさが口の周りに広がった! とルーはじたばたしたくなった。が、ここは騎士の名にかけて! 我慢………
…我慢……
「あっ、!」
窓を見ると、夜空には満点の星空が、微笑むように広がっていた。
そこに、流れ星が一条。
「あしたも……会えるといいなっ」
今日の出来事についての聴取が、祖父……辺境伯、ガーンズヴァル・ベルク・アヴトリッヒとメイドたちからの追求によって始まるのは、この直後からのことである。