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?!始めにクライマックス?! 3/6’(全6話)


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「もどりましたぁ! 見てきましたけど、なにもわかりませぇん!! あのカビ色のが、すんごく強いことだけしかわかりようが!!」


「土魔導科の特技兵とくぎへい、それを集める」


「な、なにをするので……?」



「やつに、対ゴーレム戦闘として、我が隊のゴーレム部隊戦力の総力を持って、交戦を挑む。……了解は?」



「なっ?! い、いえ、そ、そんな……ぁ……」



「キサマに是非は聞いとらん。……特技兵諸君。君らには、センタリア兵としての基本的なガッツはあるよな?」



 無事だった部下達が、ハムスサウゼンの前に集まっていた。

 総勢、六名。

 全員は目で言っていた。「ええ。上等ですとも」……と。




「全く、最高のボンクラどもだ……

 特技兵各員は、各二体ずつのバディを組んだ上で、

 それを三班に分けて配置を構成。


 そこに、私が指揮として追加で、合計七機だ。……


……センタリアのゴーレム遣いの、そのスピリットを見せろよ!!



…………総員、着装!!!!!!」





 直後、陣地の中のこの一角で、眩い魔導錬金の青白い錬成光が、フラッシュの光量すさまじく、

 目を開いて見ていれば眼球にも視界にもこびりつくように焼き付くのではないのか、という程に輝いて……

 士官の方はというと、目を灼かれたようで悶絶しながらその辺を打ち転がっていたが。

 

 ともかく。

 各特技兵と指揮官・ハムスサウゼンの足下の地面が、歪んで持ち上がり、そのまま、“カタチ”を為していく……


 各自の判断で、各自のゴーレムには、“隠し味”……個人的なカスタマイズとして、錬成材料の追加と添加が、プロセス……儀式……の最中に行われる。


 ひとつに、術式経典。

 ふたつめに、コンデンサー魔石、

 みっつめに、演算オーブ。

 よっつめに、通信信号神経線生鮮ツタ。

 そして……


……etc……



 これらが加えられることで、ゴーレムというものは、術者の腕の良さに、さらに取り込んだ材料による能力の良さとして、性能の底上げを、重ねがけすることができる。



 特に、ハムスサウゼンの投下したモノは、ことさらにすごかった。

 己のゴーレム術士人生の今までの総決算をやろうとしていた。……恩賞として授かったり、あるいは自弁購入として日々欠かすことなくマメに買い集めてきたレア素材の数々を、惜しむことなく、己のゴーレムの錬成陣へと投入したのである。

……無論、ハムスサウゼン自身の魔導のセンスも、全開全力で、錬成陣に篭めながら。


 途端、ただ事ではない変化が起きていた。

 魔導の光が脈打ち、今に造られし……しもべの産声が、耳朶の奥にまで届かんばかりに、脈深く鳴動する……

 命ではないイノチが胎動するかの如き、脈打つ地面。


 その様子を、他のゴーレム魔導特技兵たちも、己のゴーレムへの錬成の、その己の術力に自信の不足はないとしながらも、

 ただ、自分たちの普段ではとてもではないが手が届かないような高級素材のカタログギフトの実演を目の前で見せられたから故の憧れと羨望のような表情で、

 そして、こんなに逞しい、頼れる優れたゴーレム遣いが己らの隊の指揮官なのだということに、狂奔したくなりそうな程のボルテージの高まりというのを、尻の底から高鳴って、ときめき、高鳴り、そして渇望した。

……己らの実力を、真に見せてやれるときが、いまからなのだ! ……と



 ゴーレムのカタチの成立ロール・アウトは、もうすぐであった。

 すぐに、大まかには地球人の我々が知るところのゾウやカバ、サイのように、土色をしていて巨大なカタチを為しつつあったのが、

 そこから前部二肢はさらに強大に膨らみ錬金の効果として成長していき、

 そしてさらに……ゴリラの如き、巨大な、“ウデ”までもが、二腕二足のその前肢として構築コンストラクションが為され…………



 そして、六体ともう一つ……

 全七体の、錬金されし土ゴーレム。

 これが……大地に立ったのだ。



「フッ、」



 ハムスサウゼンは自信げに、笑んだ。


 無理も無い。


 その威風堂々たるや!

 壮観であろう。

 陸の上に、高さがおよそ六メイル、肩幅だけで四メイル以上はある迫力ある“イノチを宿した立像”が、

 総勢七体も! 立ち上がって大地から屹立し、ここに存在をなしえていたのだから。


(※1メイル=1メートル)


 ハムスサウゼンはふと、脳裏にノイズが去来した。

 それというのは……

 人間という生き物は、大地に平行になったモノや物体の長さには無頓着だが、

 ひとたび高さ方向に張り出した物体となれば、

 ひときわにインパクト……衝撃……をその感受性に受け得る、そういう作りの動物だとは、なにかの研究者の弁であったろうか?

 そしてなにより、この錬成土ゴーレムというものは、 高さにも奥行きにも肩幅……横幅にも、とかく、ボリュームというのが半端ではなかった。


 そうして、カビ色の~と正対するその半円陣の中心に建つハムスサウゼンのゴーレムの筐体……一回り以上は他の特技兵のより大きく、そして一際、その姿に“オーラ”と強さを持って秘めている、その気配がムンムンと発されて出てきていた。



 そして、老獪ベテランたるハムスサウゼンは、嗤った……

「さあ、戦いかたを教えてやる。教育してやろう」……と。



……



 一連の様子というのを、“カビ色のゴーレム”と彼ら彼女らにあだ名されて呼ばれていたところの、

 そう、すなわち……この作品の主人公コンビ二人組が乗り込んで動かし、今、センタリアとの戦闘まで、此処までの道中にて繰り広げている、

「スタンディングアーマー」……直立型歩行式・戦闘装甲機……

 その機種名こと、「シミター」は、

(特に、その内部の複座搭乗の内の車長担当の一名は)

一連のなにがしかというのを、何事であるかを冷静に観察していた、そして、その後に……



 そのシミター機の胸部ターレット・マウントに懸架された、胸部二十ミラ・魔導ロータリーカノン…

…この世界の技術で翻案再現した、詰まるところのバルカン砲……

 それを、目前の七機に対して、吹き鳴らした。



「「「「「「「な、」」」」」」」



 に、とも言い切ることが出来たモノは、この場合には……幸運だったのだろうか。


 それはさながら、……その発砲は、猪の鼻息の吹き鳴らしの如きマヌケな怪音であっただろう。

 が、

 それを伴って吐き出された二十ミラの魔力弾丸の威力の効果は、まるで天地が暗転したかのような衝撃を、対峙していたセンタリア軍ゴーレム特技兵部隊は、直撃して体感した…………己らの、物理的な肉体の物理的な威力と打撃と衝撃と、その破滅によって。


「ーーた、たった一斉射で、こっちの四機を撃破だと?!!」



 威力だけでもあるが、威力だけでもあるが……


 しかし、それだけではない。



「ーーヤツめ、どんな魔法を使った?!

 或いは、魔術による質量実体を持った分身の類いか…………

 大口径弾ではないとはいえ、この威力の規模のを、一砲門から、こんな弾数多く放射してくるなんて!?」



 発砲を受けたセンタリア兵側は、

 錬金によるゴーレムの錬成とはいえ、

 その実体は、騎兵的な役割のための、術士が己の肉体を暴露した状態で、錬成したゴーレムの背中に騎乗しての操縦が基本にして前提であった。


 遮るモノの何もない、露天状態のその背部座に跨乗して、その姿の大半を暴露したままの状態だったのだ。


 そこに、口径二十ミラの、この異世界の技術で実現したバルカン砲の、その高威力・魔導曳光弾の銃撃が飛んできたらば???



 たいへんなことになるだろう。

 そして、事実……たいへんなことになった。



 吹き飛ぶ肢体、迸る血潮の滾り、はじけ飛ぶ肉体の各部位……




「神よ!!!!!!!」



 センタリアの彼ら彼女は、叫ぶしか無かった。



「ヤツは一機のみなんだぞ?!!!

 ……散開!!!!!」



 だが、やられてばかりというのはハムスサウゼンの辞書には無い。


 まず、自身のゴーレムは損傷は致命的では無かった……

 その脚部部位の接地底面で、土魔術と水魔術を同時始動させ、

 自機とシミターを、我彼として見たとき。

 こちらからシミター側へと、液質化させ泥水同然とした接地地面の土を、

 シミターへと向けて、放出噴射!

 これを、正規ならば煙幕弾によるであろう目隠しの代わりとする。

 これで、自機後方左右の、両翼の特技兵たちのゴーレムらは、水泥によるこの簡易のスクリーンで、あのカビ色の相手から、遮ることが出来たはずだ。

 手慣れの魔道士ならではの、なかなかできない立ち回りだった。


 そして、次に……目前の大地から、土塊を摘出……なるべく巨大に。

 直後にはそれをスタンディングアーマー・シミターへと投げつけ、

 生き残りの部下のゴーレム二体に手筈を送り、それと合わせ、

 ゴーレムの形態状態を、“硬質ソリッド”から“液質リキッド”に状態移行シフトさせ変化。


「……各員、フォーメーションを“S”から“L”だ! そして散開しつつ、タイミングを見計らい、再集合して包囲……まず、ヤツの注意を散漫にさせる!!」


「「了解!!」」



 これとは?

 このワザは、余程優れたゴーレム魔道士にしか出来得ない、名人芸とも言うべきテクニックだ。


 そうすると、なにが出来るか?

 スライム程とまでは行かないがふるふると柔らかく、、それでもナメクジほども遅くは無い……

 いわば、自在地形追従が可能となる……魔力の消費は激しいが。

 そこに、さらに多量の魔力を注ぎ込んでやると、

 シミターの速力の11分の1しかなかったところの土ゴーレムの機動力というのは、飛躍的に高速化できる!……無論、デメリットというか副作用はある……


 そうして、土塊の“ゴーレム乗り”から土色の“スライム乗り”になったかのような彼ら彼女らは……“動いた”。

 周囲の障害物……土嚢であったりの陣地内の隔壁や、コンテナ類の障害物など……

 それらに自分らゴーレム遣いのひとりひとりがそれぞれ通り抜け出来る程度の破壊排除を施しつつ、

 そのまま、周囲の障害物を盾に取りながら、

 補給陣地内の中を、隠覆しながら遁走する……



(さあ、しかし、ここからどうする?)


 自分たちに残る勝利のための策は?

 それへの答えは、「やれることはそうない……が、やらざるを得ないし、やれることは全て、やる」

 誇りと栄光あるセンタリア軍部隊の指揮官であり、誉れあるゴーレム遣いたるハムスサウゼンはまだ闘志を捨てては居なかった。




 さて、一方のシミターは? というと、



 べしゃしゃしゃしゃ。


「うぉ?! なんだぁ!?」「目くらまし?のようですね……うーん」



 目隠しの泥を引っ被りながらも、



 ぽいっ。ひゅぅん……



「つぉっ?!! る、ルー!」「まーかせて、えぃっ!」



……ぼがっ!



飛んできた土塊の大きな塊は、ハードナックルの一撃で粉砕しつつ……


 引っ被った泥については、胸部前面に装置がある頭部センサーユニットの、保護バイザー箇所への洗浄液の噴射によるそのセンサー部清除を行いつつ、

 それらの困難を排除した後、だ。

 まず、前方、それから前方左右、それから左右。

 それへと、バルカンなどの搭載火器にて、射撃の掃射を発砲する…………



……。。。。。



「目標に当たった感覚は、ないね……」


「なら、よかったさ! こりゃあ、ヤッコサンどもは逃げてくれたんじゃないか……?」


「うーん? 油断は大敵……って、ユウタが普段ボクに言ってくれてた言葉じゃないかなぁー?

 なにより、その……巡航速度も最高速も低速にならざるを得ない錬金ゴーレムじゃ、どのみちボクたちから逃げ切るのは、難し……」



“めぎ、っ”



「「!!!!?」」




 辺り構わずの銃撃の撃ちっぱなしにより、もし相手が擱座していたなら……のトドメ撃ちと、牽制及び標的捜索の二重をやらんとしていた、シミターとその中の二人。

 だが、そうして機体の動きが緩慢になっていたその隙を……

 ハムスサウゼンらは突いた。



「いまだ!」


 

 生き残りの特技兵の二体のゴーレム、そのうちのひとつ。

 その一体はシミター機の背後に回り込み、死角から攻めん、としていたのだ。

 ハムスサウゼンの部下のゴーレムの一体が、

 シミターの機体に組み付いた!



「仲間の敵は……取らせて貰うぞ!!!」



 若く、熱血という言葉の似合う、勇敢な兵士がこの彼であった。

 仲間思いで、この中隊に配属されてから、ずっと皆と等身大の友人として交流を深めてきた。

 故に、ぎらついた復讐心の殺意で、シミター機への接近とそこからの格闘戦の流れを、“急いていた”。

 単調に言うならば、“早まっていた”のだ。




……が、それ故に、



「ボクらから……その手を退けろーっ!!!」


 シミター機・後席車長コマンダー兼・腕部統制系担当の、ルーテフィア・ダルク・アヴトリッヒ……


(本作のメイン主人公の一人の、先代勇者の孫の男装ロリ騎士(見習い)、

 そもそもこの子のお爺ちゃんの領地が侵略を受けたので、必死こいて戦っているのである。

 今現在はろくすっぽ休息しないまま、三日以上続いている連戦のため、余裕がないのでテンパっている)


……は、叫びながらシミターの機体を、腕部を暴れさせることでゴーレムから振りほどき、



「恨みはないぞ……が、頼む、今だけは、やられてくれっ……!」



 シミター機・前席操縦手ドライバー、及び脚部統制系担当の、道寺橋 祐太 ドウジバシ ユウタ……

(メイン主人公のもう一人のニート青年。現代地球の日本人であるが、なぜ此処にいるのだ?というと、長い永い理由わけがある。

 今現在は従者(見習い)としてルーとそのおうちを救うべく粉骨砕身しているが、慣れない実戦によって、だいぶグロッキーを来してきている)


……が、シミター機の脚部によるヤクザキックの如き踏みつけをそれに入れることよって、

 その崩れ落ちたゴーレムに、トドメを入れた。


……すると、その刹那、



…… ~~~~~ぁっ ……




 ばき、ごき、ぶちん、ごりっ。



「っ!!!…………ッ……」「ユウタ、だいじょうぶ?」



 シミター機の脚部の裏での、感触。

 接触の間際か最中にかすかに聞こえた……断末魔。

……ナイーブにもなるでしょうよ、そりゃあ。……と内心ゆうたは譫言しつつ。

 だが、ルーの状態は? と残り僅かな余裕の中で思考が及ぶ。

 ふともものポケットにしまっていたハンドミラーをつかって、後部座席の車長たるルーの表情をのぞき込んで……



「ルー……、、、、……ひっ!?」「なぁにー?」



 目が、お亡くなりになっている。

 あれだ。冷凍イカだ。冷凍イカの目ってやつだぁ……

 あるいは、覚醒した状態。……種割れ……

 いや、もう、覚醒しきってしまっていて、もはや肉体と精神が乖離し分離してしまっているのか、起きているのか寝てしまっているかも、わからなくなってしまっているかの、如くのような……



 ともあれ。

 そうして、この二人の連携によるシミター機・一台の反撃により、

 このゴーレムは撃破がされたのだ。



「……まだだぁああああ!!!」


「「!!」」



 されど、残りのもう一機の土ゴーレムが、

 すかさず次波の攻撃をシミターへと入れる。



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