7(7/8)-パンケーキ・クライシス!-
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「おとうさまー!」
「もし、なノーネ。」
おお、テュポンの親父! 来てくれてたんですね!
いつも世話になってます。
「オマエに、オトウサン、と呼ばれる義理はないのーネ!!!!
マア、それはさておき……」
「お父様! お姉さまに習ったとおりに行かない!」
「それについては、まだまだ未熟モノだということなのーネムスメちゃんよ…
もっとも、ヒステリーの気があるオバンに、してやれることなんてのはそうないのーネ……」
まあそれはともかく、…とテュポンは咳払いした後、エリルリアを一瞥し、
「ウチの商会が、アータに取次料の代金をはらってやるノーネ。
額は……これくらいで、」
……
にんまり、とエリルリアは醜い笑顔を作った。
「以降の関知は、建設的に、を心がけるコト。
イイネ?」
エリルリアは、怪しい笑みを満足であると浮かべ、
肩を揺らしながら、くくく、ははは……という引き笑いを繰り返すだけのばかりになった……
「あんな端金でああも大喜びできるナンテ、
アータらのとこのオバンは、
商売の才能、ナシっぽいのネ…」
「あ、あの」
「ドウジバシ? まあ今回は、有意義な商材に当たりを付けてくれたとムスメちゃんがいうから、ワタシ直々に来てみたのーネ。
それでも、いくら主人を守りたいからって、
自分の分の権利の譲渡だなんて、思い切ったことするのーネ?
マッタク……」
「いやあ、その、アハハ…なんというべきか、持たざるモノの強み、といいますか」
テュポンの褒めか冷やかしか呆れかわからないそのどやしに、
ユウタは、
ごもっともです、と…さながら苦笑するしか無い。
(後で、権利の共同管理依頼、
に書類と合意の内容のあらましを変えておくノーネ)
テュポンは、そんなユウタの今後への、若干の期待の気持ちとともに、
そう、ため息を吐きつつ……
一方のアリエスタは、ルーの元へ駆け寄り、
「 ルー様っ?! 無事でしたかっ!!?
あんなイビリのオバサンに、お家の中でひどい目にあわされてばっかり、だって、!」
「…ユウタ、なにかこの女に言いましたか?」
……ノンノン、と俺は仕草をやりかけて、
「ええ、そうですとも。聞きましたわよっ!!!
ドウジバシのやつから又聞きに聞いて知らされたってのがシャクにさわって来ることうってつけでこの上ないけども!
ルー様の窮状とあろうならば、この私は、命を引き換えにしてでも! 絶対に守ることを貫き通す、その所存なのですわっ!」
…ユウタぁ…?
ノンノンノンノンノン、ノンノンノン!
「………、、、。。。」
ルーのユウタを見る目は、ますます生乾きの色となった……
* * * * *
その日の夜……
「なんでおれが……」「うぃー、ひっく、!」
酒で荒れている、エリルリア…
その晩酌の相手を、ゆうたはさせられていた。
(くたびれたルーは早くねちまって、俺も退散しようとしてたら、
首根っこ掴まれちまって、逃げるにも逃げれなくなっちまったぁ!?
クソー、見たい深夜アニメ、みれないかもじゃああん…)
「あたしだってぇっ!
あたしだってぇっ!
ぐすっ、うううぅっ、」
ま、まあまあ、まあまあまあ、…ままま、ま。…
……
「さっき、本人から渡された、
かあちゃんのつまみの……
かぶの漬けもんです。」
……。。。
ぽり、かりっ……
なぁによ、けっこー、…イケんじゃない。
「ふぅっ、」
サンキュー、かあちゃん……
差し入れもらってよかったぜえ。フウ…
「もしかして、もしかして、さ!
あっはぁっ! アンタ、アンタが次の金づるになってくれんの?!」
えっ、えぇ……
だめだぁ、このオバン、弱みっぅうか優しみ?見せたヤツに、とことん食い荒らしてくるタイプのやつやぁ……!
ゆうたは内心で、エリルリアは、無いな、と総括した、
一方の、エリルリアは……
(酔ってるからって何破滅的なことしか言えないのよぉぅっ?! あたしっ!!)
「あ、あた、あたっ……あたっ……しはーー、~~~、~~!!!!」
(どうしよう、思いっきり機嫌悪くしてんじゃん、コイツ!
ええ、えーえー、そんくらいの、感情の機敏は、わかりますわよ! あたしも!
だって、こいつ、顔の表情にすぐ出るし~?
今だって、なによ、まるで、クマの剥製みたいな顔だし!
って、そうじゃねえ!?
とりあえず、とりあえず……謝る? 謝るっ! それ、一択!
あやま、謝る…あやま……)
「あ、あーー、あーあー、あ、あの、あのね、……」
なんすか、と眼の前の、コイツ…
あたしに、後はもうない…?!
「わ、わるぅ……わ、悪かったわ!わるかったから、その、ぉ…「睡眠魔法・強!」ひゃわっきゃわっふぅっっ?!! くか、スコー……」
とりあえず、娘が世話をかけて、すまんかったの……
は、はぁ。……
それじゃあの、
……
「……、。。、、。。…帰るかっ」
……エリルローズ婆…謎が多い。
* * * * *