6(6/8)-パンケーキ・クライシス!-
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「…来たかっ!」「え?」
その訪問者にルーはきょとんとなり、
ゆうたは歓喜に顔の色を明るませた。
「アリエッタ!!! 待ってたんだぞ!!」
「エッタって、よぶな!!!! 全く……
それで、
通告する要項としては、こうです。」
「紙の書類ィ…? …なによ、これ」
「ルーテフィアさまの発明品は、
開発にあたっての共同協力者であるユウタ・ドウジバシ氏が当人分の帰属権利を当商会に寄贈譲渡したことを受け、
共同管理として、このハーレンヴィル商会の預かりとします。
譲渡者の意向があり、
以降は我が商会に代表パテントの権利があるものとして、取り扱わさせていただきますわ。」
「な、な、な、……?!」
「平たくいえば、独占代理店になった、ってこと☆」
アリエスタは、生き生きとしながら、爛々とエリルリアをそう煽ってみせる…
「そ、そんな……ハッタリよ、ただのハッタリじゃない!!」
「ええ、今はまだ。…」
けどですわねえ、とアリエスタは態度と言葉を続け、
「ドウジバシ? 血判による捺印か、サインを」
「そうだったな、応っ」
ちくっ、……
ぺたり、と。
「これで、この書類は、晴れて効力を持つものとなりましたー。
拍手!」
「そ、そんなぁっ?!!」「おー」
アリエスタは、にやり、と、
悪童のような笑いの笑みで微笑み。
その美少女からの聖なる威光は眩しいというどころではなく……
闇の坩堝の中で逆上するエリルリアという悪魔を祓う、
祓魔の光かのようであった。
「あ、あ、あんたら~~……ッ~!!」
「悪党のヤミ商売は、金輪際ナシなのですわっ。ふーんっ」
……以上で、ケリはついてしまった。
「みろよ、このスマートヒット! 痛快だ!
バンカーバスター並だぜぇ… サイコーだ、
対艦ミサイルの直撃で、
あの不沈戦艦が一撃で轟沈できやがった!!!
やっぱ餅は餅屋、商売沙汰は商売人に、だな!!!」
「く、悔しいですが、
あのアリエスタ……そらいろ髪おんなを、今回は頼るとしましょう……」
ユウタは内心少々あった…暗い復讐の達成感にうそぶき、
ルーはそんなユウタの一連の仕掛けに、感謝はしつつ、
感動という意味では、やや、期待透かしを感じてしまった……
、
「勝手なこと言わないでっ!!!」
すべてが決してしまったあとのこの場で、
エリルリアの叫びが轟く……
「私はとっても便利な金づるを得たのよ!
だれにも、そう、だれにだって、渡すもんですかっ!
そう、絶対に、ぜったいに、絶対に!!!
そうなのよ!!!!
おーほほ、おーほほほほーっ!!!!ほーっ!!!!!」
「びき、☆」
あっ……美少女のこめかみに青筋立った……
アリエスタがマジギレしとる……
「 ……往生際よく、引導わたしゃああれ!!! キサン!! 」
おー、ついに、アリエスタがキレてしまった……
あんな語気使うアリエスタは、初めて見たぞ……
「そ、そんなに、ボクのことを気にかけてくれているのですか??? あのアリエスタは????」
オマエねぇ……
けれども、
アリエスタという最終兵器の手札を切ったユウタであったが、
エリルリアが一撃轟沈とは行かず、未だ抗戦の構えを見せている、という状況は、ユウタには計算違いとなってしまっていた。
だが、二番底があった。
「こ、こうなったら~…! おーい!!」
アリエスタにも秘密兵器があったのである。