4(4/8)-パンケーキ・クライシス!-
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「頼れるのは、君くらいしか居ないんだ、タチアナさん」
「そうでしょうね……」
傍らのソファーの上で、気を失ってなおもうなされているルーのやつ……
それを傍らに、
俺は呼び出したタチアナに…たのみごと…をしていた。
「ルーのやつが昏倒するほど、あのエリルリアのバアサンに、苦しめられている、ということなんだな……」
「貴方の手も、本当ならば借りたくはありませんが、」
タチアナはそうといいかけ、
「……けども、仕える身では、そう取れる行動は、ありません……」
「だが、……つてはある。」
ユウタはそう首肯として促した。
「果たしてこの作戦で、いちかばちか、サヨナラ逆転ホームランといけるか、だ……」
「…ですか。」
「というわけで、タチアナ、頼まれてくれるな?」
「まあ、いいでしょう。……」
外套を着たタチアナが、
開拓街のその場所までの“おつかい”に、
出撃していった……
………
* * * * *
……一時間ほど後、
「ぁ、ぅ、?」
「ユウタ……」
「…いない、」
ルーはソファーの上で目を覚ました。
体の上には、ブランケットがかけられている。
それをちいさな両手のほそい指で、ルーは丁寧に下ろす……
すると、
「おやぁ!
ルーテフィアさまっ、目を覚まされましたか?!」
「イリアーナっ、……」
イリアーナがそこにいた…
ゆうたとタチアナに後詰を任され、
ソファーに座って、編み物…へたくそで網み目が安定していない……をしながら、傍らで見守ってくれていたのだ。
…… ……
「あぅ、/////」
「おやぁ、?」
そうしてそして…
ルーの腹の虫が鳴いたのはその時のことだった。
「おなか、すいちゃった……」
「そうですね? ちょうど、昼の間食どきですし、
おやつのパンケーキを、焼いてあげましょう…」
「ほんとっ?!」
ルーは喜びを浮かべ、
「イリアーナの焼き菓子は、ほんとうにおいしいからねっ…♪」
「あは、あはは、褒められるほどのモンじゃないっすよー!
悔しいですが、ドウジバシが持ってきてくれるモノだからこそ、これだけ美味いってことでもありますですし!
あは、はー!……」
イリアーナは、
病み上がりのルーに、そう言葉を柔らかく宛てて、
「さあ、やるならば、支度をしましょう。」
「うんっ、うんっ♡」
「ドウジバシの持ち込んでくれたあの糖蜜漬けにして食べたいですねっ!
たしか、ほっとけーきしろっぷ、とかいう! それでそしてぇっ……」
……「ルー(愚姪)、なにやってたの?!」
「…ぁー…」「!」
そのイリアーナの言葉が途切れる前に、
現れたエリルリアが、言葉の切っ先をルーに向けてきた。
「お、おばさま?!」
(ひぃぃ……ぼ、ボク、いったい、どうしたら……)
「……」「……、。、」
……
「…伯母様、?」
……様子で、なにがあったのか、の把握をしたらしい。
そんなエリルリアはしばらくルーとこの部屋の間を睥睨し
、
メイドのイリアーナの存在に気づいた、かのように視線を一瞥させ、
「わたしにも、ぱんけぇき、お願い」
「は、…はい…」
……状況の不透明さがある……
イリアーナは一秒一分でも早く帰還するべく、
ぱたぱたと駆け出していって、
慌ただしくパンケーキを焼きに厨房へと行った……
「……」「あ。ぁ、あの、…」
……ふたりだけとなっての、沈黙……