3(3/8)-パンケーキ・クライシス!-
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屋敷の応接間。
……速達便で送るわ。
うん、うん。それで、それから……
……エリルリアさまが、朝から電信を使いっぱなしなのだが、
「 む、むぅ、」
……電信の代金の方は……
「 う、うむ、ぅむ……うむぅ……………っ」
ガーンズヴァルは応接間で…開拓街…領都…から来た家臣との打ち合わせの最中だと言うのに、
エリルリアは傍若無人にも、
その応接間に屋敷で唯一ある電信の魔導機を用いて、
帝都の旧友やかつての元の交友関係らの相手たちとの、
セールス・トークに打ち込んでいた。
「 ……娘よ、……」
「安心してよ、お父様!
今回のこのビジネスの稼ぎで、電信の利用代金くらいは、楽に稼げてみせるわ!
あっはっはぁっ!!!!」
エリルリアの高笑いは、
虚飾のように重量なく、部屋に響いていた……
* * * * *
「錬金レジンの解析の経験知を経た上で、
現在の知見で錬金木質液を抜本的に発展させた、新素材ねえ…」
「魔導ポリマー、という便宜名をつけてみました」
「ほぉ、」
「これは、伯母様の監修付きです。
帝都の国立研究所の主席研究員を務めていた伯母様が渾身の配合として作ったもので、
特性としても性質としても、
前例が無い、かなりのすごいシロモノという具合です」
その日の正午ごろ……
「おばさまに、サンプルがほしいと言われて……
昨日は一晩中、作るのに忙しかったです……」
なるほど……?
それで、ふんふん、……
……ん?
「…干し芋使い切ったっ?!!」
「は、はぅ、」
「4キロ以上渡したはずだが……嘘やろ……」
「おばさまは受注をどんどん取っているようなのですが、
材料が底をついてしまっては……ですね……
ボク、これで楽になれるよね…、、、…はゎぁ………」
「おーい、天に召されるなー……
…………、、、、。。、、
まったく、とはいえ……
……
近所の人たちが~……、
なんかキロ単位で、生芋売ってたな。
錬金釜での製造の要項は前聞いたけんども、
たしか、皮と泥付いたままでもいいのか?」
「はいっ!」
「よしっ! なら、安心……」
「愚姪!」
「ぴゃっ?!!」
「追加。さらに20キーラ、作っておいてね。
わかった?!」
エリルリアはそう吐き捨てるなり、踵を返して去っていった……
それを見送るしか無い、俺ちゃん。
「あ、ぁあぅぅう、…………」
ん??
その時、ルーのようすが……
「はぅ、きゅぅぅぅ……」
「おい、ルー!?」
ぱたり、……