2(2/8)-パンケーキ・クライシス!-
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(なにこれなにこれぇっ?!!!)
喫驚していた…このディスクデバイスという新機軸の魔導機の物体に……
(……やられたわ……これ、こないだドウジバシのやつに買わせた、
デンシセイヒン? という仕組みを、完全に対応して取り入れた、人類型魔導としては斬新なシロモノだわ……
いや…このアタシが誰よりも先にこういうのを生み出せなかったのは、悔しくは無いし、悔しくもないわ。
いや、多少どころか、ケッコーくやしいけど!!!!
かなりくやしいけど!!!!!!!
めっちゃくやしいけど!!!!!!!
それでも、こんなシロモノ、どうやって…)
「褒めていただきありがとうございましたっ!
そうなので、おばさま、おすそ分けしたいものがありますっ♪」
「え?」
「はいっ、! とりあえず、このくらいの量でどうですか?」
絶好調で気分の良いルーテフィアは、
その嬉しさと優しさのまま、
ビー玉とおはじきの、お裾分け……、をエリルリアにしたのだ。
「……なによ、これ……?!」
驚きのあまり半腰に立ち上がりかけていたエリルリアは、
それを見ると、めまいを起こしたように、
自分の椅子へともう一度腰を落とした。
「愚姪、あんた、それ……」
それが視界に入ったことにより、
エリルリアは目をむくように驚いた。
プラスチックのネットに収まった、
たくさんのビー玉とおはじき……
先程、駄菓子屋で買ったばかりの代物だ。
「こんなにたくさんの魔導ガラスをっ?!!!!!」
「はうっ?!」
奪うようにルーの、それを握る片手を両手で掴みこんだ、エリルリアである。
「お、おばさま、い、いたい、ですっ、手が…っ…」「…っ、…」
気づいたエリルリアは、ようやく掴む手を離して……
そうして実物の鑑定を実施して行いながら、
「本物っ…!?
質も、とんでもなく良いじゃない……!!!!?
なによ……あのドウジバシの世界には、
マイスターの特級工業魔導師が百万単位で暇やってて、
通年通して一年二十四時間こき使えるのかしら…
…有り得ない……!!!」
そっかー、…
あの異邦人の…ね…
……エリルリアはその鋭敏な知能と頭脳を働かせて、
直感と事実と想定と求める結果との複合とその計算式の冴えによって、大まかな算段を脳内の脳裏ですませ、
そして…
「 愚姪、あんた、
…ちょっとしたおかねかせぎには、興味あるかしら?」
「 ほ、ほぇ…っ?」
邪悪の怪物が顔をのぞかせた瞬間だった。
エリルリアのその眼鏡の双眸が、怪しい輝きに光った……
……翌朝。
なんだよ? げっそりとしちまって。
「 昨日は一日…きょうもこれから…
伯母様にこき使われてます……」
昼時になっても一向に昼飯に来なかったルーのやつ。
なので出迎えにこちらからガーンズヴァル屋敷に赴くと、
食卓の間にて、
いつにもなくげっそりとしていたルーのやつから、
なにやらそのような返事が。
「いまも、十五分間だけの休憩の途中で……
あぁあ、もう休憩時間が……」
……愚姪! ルー! なにをしにどこにいったの!
「ぴぅっ?!!」「……はーん……、、、。。」
そうすると、噂をすればなんとやら…
…エリルリア叔母さんが現れた。
「ほーん、」「…なによ」
ユウタにも、退けないラインというのがある…
友人の窮地、というのがそのひとつだ。
「ルーのおばさんよー、
都度に置いても特に何もしないあんたが、
今回は何をやりだしたんだ…。」
言外どころか、思いっきり言葉の棘を尖らせてやって、
チクチク言葉全開で、誰何する俺……
「ふっふん? なんでもないわ。
ただ、簡単な話……
このあたし……偉大なるエリルリアの、
帝都への返り咲き! 計画よ。
素敵な、バラ色のね?」
な、なんだいそれは……
「しらばっくれてんじゃないわよ。
あんた!も! 私の手札の!コマのひとつなのよ!!!
協力しなさい!!!!」
「ふげ?! ごえっ!!?? ぐぎゃぁっ!??」
「あ、あわわ、」
訳もなく折檻されて撃沈したゆうたは、
需品の融通の優先取り決めなど、
その凶悪なエリルリアの要求を丸呑みせざるを得なかった…
ルーはその場面の光景を前に、おののいていた。
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