1(1/8)-パンケーキ・クライシス!-
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「ルー、おまえを連れていきたい場所がある……」
向かった先は、駄菓子屋。
みーんみーん、みーん……
「ここが、ダガシィヤ…!」
その日は近所までおでかけな俺とルー。
ルーのやつは、お出かけルックで、
その光景に感激と感動と羨望の念を垂れていた……
「これだけ魔導ガラスが手に入り放題なら、
ボク、いくらでも魔導呪術作り放題の書き放題ですっ!!!!」
かくして、魔導ガラス…こと、
ビー玉、おはじき、
異世界では記録装置や、
魔導デバイスの作用媒体に使えるということによって、
俺とルーらによる、
これらの大量調達が開始されたのである……
「ガラスだまが、いっぱい!」
ルーも、大喜びである。
「ガラスの宝玉…!(ただのビー玉だよ)
同じ材質のマーブルまで?!
(それもただのおはじきさね…)」
この一件に関しては、よもやま話があり……
ご家庭での魔導ガラスの手に入り具合によって、
異世界の学童は、その学習させられる内容とその規模が変わってくる。
という話もあるそうで、
錬金術や魔法術の習得と使用行使の習熟度において、
ルーが落ちこぼれだったらしいのには、
そうしたわけがあった……とのことで。
とにかくもまあ、俺を経由して、
異世界で独占的にこれら現代地球製ガラス製品を溢れるがままに手に入れることのできるようになった、
このルーというちみっこにおいては、
これからはいくらでも!
学習も自習も練習も実験も研究も開発も、
いくらでも充実して! 魔法や魔術、錬金術の勉強ができるようになる、というわけである……
ルーの身の上にとっての憂いが、ひとつ取れたわけだ。
俺が友達と名乗っていいのかはわからんが、
一介の友達としては、
思うがままに勉強や、やりたいことが出来るようになったこと、
このことのこれはうれしいことである!!!
…ということであったわけなはずだったのだが…
* * * * *
「あるふぉおと、これで最後のいち枚か~…」
……ガーンズヴァル屋敷の離れ……
「ハァッ…」
帯魔化のための魔導実装機。
それをこの屋敷で持っているのは、
…開店休業中ではあるが…研究職の職業を持つ…
…この、エリルリアである。
(また愚姪に協力してやれば、あのドウジバシのヤツ、またアタシに、うまい食いもん、くれるわよね?)
と思っていたら……
「ふふー、んっ♪
もう伯母様の持っておられるそれより、
取り回しの良いものを自分で作ってしまいました!」
「は?」
エリルリアは、
自身の姪であるところの、
そのルーテフィアの言葉に面食らった。
「なにこれ?
あんたみたいな下手くそが作ったごっこ遊びの天使のわっかみたいわねぇ、」
「むぅ?! こ、こほん……」
「わあったわあった、アタシが適当に視てやるわよ…
隠居と言うよりは殿堂入りしてるみたいなエリルローズお母さんを除けば、この家で現役の魔導士はあたしだけしか居ないんだから…
まったく変な形と構造の魔導機ね、
愚姪、
あんたの愚図な性根が見た目通りになったかのようだわっ…
…って……?」
己の類まれな魔導のセンスで簡単に占って見透かしてみたところ、
……エリルリアは、見抜いた。
「 あら、……
……なかなかやるわね。」
「 ! そうですかっ!」
鬼よりも怖くて当たりのキツイ叔母からの
その言葉を聞いた途端に、
ルーは顔をぱぁっ……と輝かせて、
「やったぁ! ボクの、ボクとユウタの、愛の共同作業の、その成果なのですよっ!
それが、伯母様にみとめられたっ…!
やった、やった♪
やりましたよ、ユウタっ♡////
ボクの“さくせす・すとーりーぃ”の、
その第一歩が、これなのですっ!!!
やったやったよー!!!!」
よろこびはしゃぐルー。
…一方のエリルリアの方はというと……