イメージテキスト・鏡の地平(1/9)
イメージテキストですが、書き溜めが出来たので投稿いたします…
今回は全九話立ての短編となります
各話の文章量は読みやすい分量としております
それを、一日三話ずつ、合計で三日間、連続更新をしたいと存じております。
みなさま、ごゆるりとお楽しみください……
……やることは単純明快だ。
刺し違えたとしてでも、ヤツラのメンツは潰してこい!
「で、でも、わ、わたしたちは、本来は儀仗兵であり…」
「魔法が使えるんだろう?!
だったら、なら、我が国の直面した、この国家の苦難というときに、貢献するべきなのが筋だろう。」
エルトール国首都・エルトテールの、エルトール国防軍省舎内・その幕僚会議室のひとつ。
時刻は、正午過ぎ。
しかし……ブラインドの降ろされた薄暗い密室の中で、
並べさせられたそのモノたちと、長卓を挟んで、壮年の将官らが正対している。
出頭を命じられたそのモノたちは、
居並ぶ幕僚の中の、その自ら達、魔導科部隊の、その責任者級に、罵倒か叱責の如きなじりを浴びせられていた。
そのモノ達の、それらとは?
場に不釣り合いな程……しかし、その服装は、エルトール国軍・魔導科部隊の、れっきとした軍装だ……、
若く、ともすれば幼いほどの、その少女たち……
そのモノらが、将官達のまえに、まるで奴隷の競り市会場かのように…
並べさせられていた。
一列に並んだそのモノたちの背格好は、成長途中ということでもありバラバラで
まるで、歯のかけた櫛のようでもあった
「多少、少しでも良いんだ!
役に立っている、実績になっている、
なにかそういうのが、なにか、すこしでもあればいいんだ!」
自分たちからすれば遥か上の高みに隔絶されたような階級の、
その将官級の軍人らが、己等に対して、こうまで怒鳴ってきている。
……はたして、じぶんたちはこのような罰を受けるような、そのような罪をかつてまでに犯したのであろうか。
困惑と恐ろしさで、理不尽を感じて、目の涙がうるんできた。
「我々上級がなんら事態中の役割に噛められなかった一方で、
アヴトリッヒの連中は!
なんやらよくわからん、あの灰色のゴーレムで、
途方も無い大戦果をあげた、上げてしまった…
ついこないだの開戦直後でのことだ。
わかるな!?」
は、は、はぃ、…
「我々帝国軍の既存の組織組分けの存立の意義にすら、疑いの目を貴族院や元老院は向け始めている…この有事事態において、
いかな貢献を、だれが果たし、だれが収め、
そして誰たちがそれを達せられなかったか、……」
忌々しげに……あるいは多少微塵でも、己等に非の落ち度の欠片ほどはあったのだろうか、
という程の表情で、将官の一人は瞑目して、
「手立てが、必要なんだ!
意義!功績!それが必要なのだよ。
われわれの名誉のためには!」
は、はぁ……
「そこで、だ。
……今回の拠出派遣において、
きみたちはモデルケースとなってもらう。」
は、はい、
「わが魔導科兵団部隊の若年魔道士隊員の出陣投入のその先鋒として!
最前線にて、なんらかのめぼしい手柄と戦果を、納めてくること。
以上!」
「は、ぃ、……」
辞令が下された。
如何に年少であるとは言え、たしかに自分たちは軍属であった。
……最前線への、異動である。