異世界貴族っ子、お風呂に入る。- 改定・高解像度版(4/6)
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(SIDE:ルー)
「はうっ、」
「ぁぅっ、」
「あぅぅ……////」
ユウタの手がおのれに触れるたびに、己の幼い心と身体が、ときめく感覚がもたらされる。
シャワーの湯の感触が、己の肌と気持ちを優しく温めて、やわらかく刺激してくれる。
そうして、おのれが脈打つ感覚があるたびに、体の奥から……“──雫が落ちる──”感触がした。
「あぅ、あぅぅ……♡」
もう、この小さなルーのあたまはまっしろだった。
こんな体感は、己の短い人生の中で、初めてのことだったのだ。
そんな時、
「ひゃっ?!」「あっと?!」
胸にふれてしまった。
ルーのからだを洗っていたユウタの腕の手のひらが、
手の洗う動きが余って滑り、
ルーの胸の上を、バスタオルごしに触れてしまった瞬間があったのだ。
アクシデントだ! ごめん!
──同性同士、ということなら、
ユウタは己でもよくわからないけども、そのようなことである、とみなして、即座に謝罪した。
ただ、ルーは別の感覚だった。
「え、えぅっと、す、すまねぇ……」
「ユウタっ♡」
「ん……ん゛っ?!」
怯えるように戸惑うユウタに、ルーは、
その艷やかに、血と肉の……粘膜の色の朱に色ばんでなった、小さな唇を、開き……
「 ユウタっ/////
肌が触れ合うだけで、くすぐったく感じる。それだけですよ?
なら、今の感触は、ボクはすごく……心地がよかったです……/////
だから……/////」
次の瞬間の出来事も、ユウタには予測もつかないことであった。
そのままユウタの手のひらを、ルーは手にとって……
……おのれの胸の上に、心臓のある位置の上に、そっと、触れさせた……
「ぬ、ぬぅっ!?」
やわらかく、そしていて、ふわり、としていて…
…なんだか薄く、もっちり、しっとりともしている。
この感触は生涯忘れまい……とする、後のユウタの言葉ではある。
ただ、今のここのこの場では…
…無言に成るのか、言葉が出てこなく、出せなくなるのか。
しばらく、シャワーの湯が流れ続ける、その音だけが、浴室の中で経過する時間となった。
そうして、一分が経ち……
なんだか、気配の違うルーの様子に、
ユウタは浴室の中だというのに冷や汗をかいて、おののくしか無い……が……
ルーはさらに、そこに、己の言葉を繋げ……
「ユウタ……聞こえるでしょう?
ボクの、ボクの胸の高鳴り、鼓動の音と、感触が……」
確かに、それを感じる。……言葉を伝えられたユウタは、そのことについては、首肯するしか無い。
ルーにとっての、心のふれあい。
ユウタの手のひらもドキドキと脈打っていたが、
ルーは、それが己のユウタの鼓動の、血の通う感触が、通い合ったものだとも取れて、
さらに満足の度を深めた……
「………の、ノーコメントで、お願いしたい。」
ユウタは、もう太刀打ちできない。
「むふ~、♡」
(ユウタ、ユウタ、ありがとう……♡)
ルーは、とくん、とくん、と、ときめく。
その時に、体の芯から、雫が流れ落ちる感覚を感じた。
ユウタとのふれあいを、触れ合える仲を、ここから、もっと親密になったら、いったいどうなるのであろう?
ルーの幸せな想像だった。
今の己は、ユウタという人間にとって、どれだけ特別な存在なのだろうか?
それが知りたくも有ったし、知るのが怖くもある。
けれども、ひとつ意思として確固として感じたものが一つ有って……
……親愛という感情から、さらに関係を進めたくなった。
心のときめきが、心の形に水滴として付いた、愛の感情の露を集めたようにして、
そのしずくが体の奥から、
肉体の奥から、
……おなかの肉の奥、腰のつくりの中の奥のあたりから…
…今の己の帯びた体温から、お湯の温度から、熱されてときめいている己の器官から、
熱い温度の露だけど、
だが今の己の体温からは涼感の感じることもできる雫が、垂直に垂れ落ちるかのような、
零れ落ちたような…流れ落ちる…その感情と感覚を、己の体感として、感じたのだ……
──愛を睦ぎあえる、そんな関係に、なりたい。
ルーは己の髪と身体を洗われながら、
そのようなつもりを、感情を、ユウタに対して、明確に抱いたのだ。
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