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異世界貴族っ子、お風呂に入る。- 改定・高解像度版(4/6)

*****



(SIDE:ルー)





「はうっ、」



「ぁぅっ、」




「あぅぅ……////」



 ユウタの手がおのれに触れるたびに、己の幼い心と身体が、ときめく感覚がもたらされる。

 シャワーの湯の感触が、己の肌と気持ちを優しく温めて、やわらかく刺激してくれる。

 そうして、おのれが脈打つ感覚があるたびに、体の奥から……“──雫が落ちる──”感触がした。



「あぅ、あぅぅ……♡」



 もう、この小さなルーのあたまはまっしろだった。

 こんな体感は、己の短い人生の中で、初めてのことだったのだ。



 そんな時、



「ひゃっ?!」「あっと?!」



 胸にふれてしまった。

 ルーのからだを洗っていたユウタの腕の手のひらが、

 手の洗う動きが余って滑り、

 ルーの胸の上を、バスタオルごしに触れてしまった瞬間があったのだ。



 アクシデントだ! ごめん!

──同性同士、ということなら、

 ユウタは己でもよくわからないけども、そのようなことである、とみなして、即座に謝罪した。

 ただ、ルーは別の感覚だった。



「え、えぅっと、す、すまねぇ……」


「ユウタっ♡」



「ん……ん゛っ?!」



 怯えるように戸惑うユウタに、ルーは、

 その艷やかに、血と肉の……粘膜の色の朱に色ばんでなった、小さな唇を、開き……



「 ユウタっ/////

 肌が触れ合うだけで、くすぐったく感じる。それだけですよ?

 なら、今の感触は、ボクはすごく……心地がよかったです……/////

 だから……/////」



 次の瞬間の出来事も、ユウタには予測もつかないことであった。

 そのままユウタの手のひらを、ルーは手にとって……

……おのれの胸の上に、心臓のある位置の上に、そっと、触れさせた……



「ぬ、ぬぅっ!?」



 やわらかく、そしていて、ふわり、としていて…

…なんだか薄く、もっちり、しっとりともしている。

 この感触は生涯忘れまい……とする、後のユウタの言葉ではある。

 ただ、今のここのこの場では…

…無言に成るのか、言葉が出てこなく、出せなくなるのか。

 しばらく、シャワーの湯が流れ続ける、その音だけが、浴室の中で経過する時間となった。



 そうして、一分が経ち……



 なんだか、気配の違うルーの様子に、

 ユウタは浴室の中だというのに冷や汗をかいて、おののくしか無い……が……

 ルーはさらに、そこに、己の言葉を繋げ……



「ユウタ……聞こえるでしょう?

 ボクの、ボクの胸の高鳴り、鼓動の音と、感触が……」



 確かに、それを感じる。……言葉を伝えられたユウタは、そのことについては、首肯するしか無い。


 ルーにとっての、心のふれあい。

 ユウタの手のひらもドキドキと脈打っていたが、

 ルーは、それが己のユウタの鼓動の、血の通う感触が、通い合ったものだとも取れて、

 さらに満足の度を深めた……



「………の、ノーコメントで、お願いしたい。」



 ユウタは、もう太刀打ちできない。



「むふ~、♡」



(ユウタ、ユウタ、ありがとう……♡)

 


 ルーは、とくん、とくん、と、ときめく。

 その時に、体の芯から、しずくが流れ落ちる感覚を感じた。

 ユウタとのふれあいを、触れ合える仲を、ここから、もっと親密になったら、いったいどうなるのであろう?

 ルーの幸せな想像だった。


 今の己は、ユウタという人間にとって、どれだけ特別な存在なのだろうか?

 それが知りたくも有ったし、知るのが怖くもある。

 けれども、ひとつ意思として確固として感じたものが一つ有って……

……親愛という感情から、さらに関係を進めたくなった。

 心のときめきが、心の形に水滴として付いた、愛の感情のつゆを集めたようにして、

 そのしずくが体の奥から、

 肉体の奥から、


……おなかの肉の奥、腰のつくりの中の奥のあたりから…


…今の己の帯びた体温から、お湯の温度から、熱されてときめいている己の器官から、

 熱い温度の露だけど、

 だが今の己の体温からは涼感の感じることもできる雫が、垂直に垂れ落ちるかのような、

 零れ落ちたような…流れ落ちる…その感情と感覚を、己の体感として、感じたのだ……



──愛を睦ぎあえる、そんな関係に、なりたい。

 ルーは己の髪と身体を洗われながら、

 そのようなつもりを、感情を、ユウタに対して、明確に抱いたのだ。





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