異世界貴族っ子、お風呂に入る。- 改定・高解像度版(3/6)
* * * * *
「シャンプーハットがないからな……
ルー、しっかり目、おおってろよ!」
「わ、わかりまし…………」
じゃあぁあぁぁ、と、
「す、水量が、ちょっと、おおい、すごいぃっ……//////」
「ちゃんと注意して洗うから、ルーは呼吸と目元おおうことだけかんがえてりゃいい。そら、はじめるぞ!」
「あっ、あっ……」
かしゅ、かしゅ、……
じゃああああぁぁぁ
「ひゃぁあぁっ//////」
しゃかしゃかしゃか……
一気に、しかし丁寧に、髪の毛と頭皮を揉み洗っていく…………
「わっ、ひゃ、ひゃあ♡」
かしょかしょかしょ、と
洗われてくれる、ルー。
「なにか、スースー、します…………////////」
夏だから、メンソール系のシャンプーを使ってしまっていた。
しかし、よくよく考えたら、向こう……異世界は秋の季節なのだし、
もっと選べばよかったか、ともゆうた(オレ)は、終わった後でそう思った……
そう思うくらいのことぐらいしか、思うことも考えることもなかった俺ちゃんだけど、
「ね、ねぇっ。ユウタっ/////」
「ん?」
いつのまにか、気配が変わる瞬間が過ぎていたようで。
なにやら、様子が変わってきたらしい?
「ユウタっ、おねがいがありますっ////」
ルーの気配が、……変わった。
* * * * *
( ボクの髪が、とっても、気持ちよく、洗われていっています……♪)
「はー♡ はー♡ あふぅ…………♡////////」
みみかきの時に続いて、
ふたたび絶頂した、ルー。
(きもち、きもち、ぃい、/////
ユウタにかみを、洗ってもらえるの、とってもっ、
きもちいいよぅ……~♡)
ルーは、なんだか己の心臓の鼓動が、高鳴るように高くときめいている、
とくん、とくん、とくん……高鳴りのような感触。
そのような実感を感じていた。
(ユウタ、ユウタは、ボクに、とっても優しいっ/////
一緒におふろにはいってくれて、
かみをあらってくれる、という、こんな、特別なコミュニケーションを、ふれあいを……
それを、してくださる、なんてっ/////)
こんなに優しくて、自分にとって未知のすごいことをしてくれる、ユウタという存在。
ルーは、もっと、もっと、甘えたくなる衝動を、抑えられなくなった。
……もっと、もっと、これ以上に、もっと、今よりも、高鳴るように……
「ぁぅ、ぁう、……//////」
……心と身体が、だんだん、うずいてくる。
自分にとっての今のこれは、とても素敵な……特別な時間であった。
そうすると、
己がいま浴びている湯の温度というのもそうであろうけども、なんだか、熱に浮かされるように……
ふわふわとしたこころ心地になってしまって、
そのままぽぅっ……と、
己の中の芯のようなものが、輪郭が見えてきて、
その内に、熱を帯びるように、そして蕩けて、溶けるような、
けれども、触ろうとすると、思いがけない涼感が感じて、
まるで清流の、澄み渡っていて良く冷えた湧き水を口につけたときのような、
あるいは身体の中の軸の芯に、口から経由したそれが喉を通り、
浸透したそれがとおってかよった時かのような清涼さが、もたらされるかのような……
なんだか切なくなってくる、そんな感触がした。
(不思議な感触……ですね…////)
そうすると、なんだか、このまま以上に、もっと、もっと、アグレッシブになりたくなってくる。
なんだか、今、こうして背後にいるユウタに、振り向いて……とびつきたくなる。
そうして抱きしめあって、
自分の……ふたりの感情が赴くまま、
ふたりで、もっと愛を、紡ぐように、睦ぐように。
(ユウタ……////)
そうできたら……どんなに素晴らしいのだろう?
想像してみる……イメージしてみる。
今以上に、触れ合える関係になれたら、どんなに素晴らしいのだろう……のか。
今のこの深まり合い。
こうして、裸同士の付き合いになれたのだ。
髪を洗う、だなんてことを、生まれてはじめて、自分は家族とメイド以外の存在に、任せている!
絆はたしかな物になれたと、ルーはこの上なく嬉しくなっていた。
これ以上になるには、あとは、どんなものやことが、残されているというのだろう?
……ルーは、イメージしてみる。
(ぁ、! ぅ、……/////)
途端に、顔が火照って、紅顔してしまった。
その想像というのは…
…騎士物語での姫君と結ばれた主人公の、その秘めし夜の、夜伽かのような……。
なんとも……いや、自分にとっては、先程の脱衣の時の追想の言葉を、そのまま思い出していた。
(えへへ、ユウタは、ボクのことを、たいせつなたからものみたいにしてくれてる……/////)
そのことだけで、ルーは、どこまでもこころと感情が、溶けていきそうになりかけていた……
この瞬間、
蜜瓶の封が切られるような、そんな感覚が、
体感として、自分の体の奥のどこかで、たしかに起きた。
外された瓶の栓の口から、蜜が垂れ落ちてくるような……
そのしずくが、……たらぁり…、と、
「あ、ぁ、あ、ゎ、あふ、////」
ルーの身体とこころは、もうこれだけで、くんにゃり、と、
テンションの糸が伸びきったようになってしまった。
代わりに……どくん、どくん、どくん、
と、心の在り処であろう胸と身体の奥から、心臓の大きな鼓動と、
それから、脈動する感触が……伝わってくる。
( ボクの異能も、なにもかもを、受け止めて、ボクに絶対の忠義と無二の愛情を尽くしてくれるような…………////)
ルーは、その先程のときの、
自分のユウタへの好感の感情を、自分のそのユウタにへと感じた感謝と信頼の感情を、
さらに確信のものとしての度合いを、密かに深めた。
(ぁぅ……、/////)
まるで、心同士が繋がれあえてる感覚が感じられる今だ。
なら、いっそのこと、これならどうだろうか?
素肌同士で、肉の肌同士を、こう、密着させたかのように、
(あっ♡あっ♪ あっ////)
ここに居るのは、己と、ユウタのふたりだけ。
いまこうしているのは、とくべつな、コミュニケーションだ。
……そうして、ルーは解きほぐれた己の心のなかに、
こうして心を許した存在の、そのユウタを受け入れたい、
──さらに……奥に……──
という情念を抱くように、宿しつつあるようになった。
もっと深め会えるなら……やり方は夢想の中でしか経験したことはないけど……
(ぁ、ぁぅ、ぁぅ……/////)
…体同士を、交わし合いたい、という…
…もっと高度な、ボディランゲージ。
それを交わしあいたくなった。
ルーのまだ短いこの生涯において、
自分の家族と使用人以外にこんなに心を開いた相手だというのも初めてのことであったし、
こんなに距離が近くに触れ合うことも、
こんな気持ちを抱くのも、また初めてのことであったのだから……。
だから、ルーは決意して、
「ね、ねぇっ、ユウタっ。」
「ん、なんじゃい…?」
「からだっ、ボクの、からだっ、洗ってっ。きもちよくしてっ/////」
「ん?!」
ルーのおかしな様子に、ユウタは一瞬、たじろいだ。
「かまわないのですっ、
ボクの、ボクの性別は、ユウタとおなじ、おとこのこ…ということなのでしょうからっ、
なにもまちがいの必要は、ないのですっ。
だから…ユウタ…ユウタぁっ……/////」
「そ、そうか…?(なんか、様子がおかしい……)」
言いながら、
ルーからの、求められる声のまま、
ユウタは己の手を、ボディソープを点下した己の手のひらを、ルーの体に触れさせた……
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