異世界貴族っ子、お風呂に入る。- 改定・高解像度版(2/6)
「あぅ、その、ぇぅ、ユゥ、タ……//////」
「どうした?」
窮したルーは、一言ずつ、たぐり寄せるように言葉を口に出していきながら、
「一緒に入るのはやぶさか、じゃ、ない、というか、
拒まないです。、むしろ、ボクも、一緒に入りたい、と、は、
おもうの、ですけど、、、////
ただ、その、…………//////」
と、そこまでルーはいいかけて、
「あっ、」
一方この時、ルーは、
洗面台の脇に積まれたタオルケットの山を、発見した。
「…………、、」
それを一つ取り、
「………………、、//」
ぬぎ、ぬぎ、と、
「あぅ……//////」
(ボクのひみつが、ばれる事は、なんとか阻止できそうです//////)
しゅる、しゅる、かちゃ、…………
ルーが、脱衣を始めたようだ。
流れてくる空気、というか、
そう大きくはない脱衣室のなかで、
ルーの体臭が、満たすようにたちこめる。
なんというか、乳の匂い? というか、なんというか、
汗の匂い、も、まあまあする。
そんな、混じり合った香り…………
そんな折り、
ゆうたはがちゃ、と浴室の扉を開く……
急に背後を振り返り、
「おん? ルー、身体にタオル巻いたのか……」
「ひゃっ?!」
驚いた、ルー。
…………バスタオルで、その胴体に巻く、そのさなかだったらしい。
「は、はいっ/////」
「何へのはい、なんだろうね……?」
いいながら、ゆうたは、ルーの様子を観察しながら……
ルーの方はというと、
(は、はだか、、はだかなのにっ、
上も下も、はだかなのに、
せ、背中を、せなかをみられちゃった//////////////
ま、まえはみられてないから、だいじょうぶ……なはず…………)
……
(…………、、)
「…………」
まきまき、
「……………、、、、」
まきまきまき、
「…………、、」
(こころのじゅんびができてないよぅっ!?……//////)
(あ、そうだ、)
まるで、茶筒のラベル被いを回すかのように。
すこしずつずらしながら、ルーは、自分のからだのタオルを、自分の身体に沿わせながら、ずりうごかしていく……
「…………、、」
「俺は暗器使いじゃないんだからさ……」
ゆうたからしてみると、奇妙でしょうがない……
いったい、ルーの急所に、なにがあるというのか。
「えぇと、えと///、、、、」
まるで暗器使いから己の急所を隠そうとするかのように、
己の胴体に巻くタオルケットを、徐々にまきまきとさせて、
やがて最終的に、自分の身体に巻き終えた。
「これで、よしっ////」
自分を自信付けさせるかのように、鼓舞するようにルーはそう言った。
(なんなんだろね……?)
なんの事情も知らない、
お気楽極楽なゆうたの側としては、頭を掻くしかない……。
はてさてそれでそれで、
「まあいいぞ、さあ、入ろう。」
「わっ、わっ、ふゎぁっ//////」
リノベーションされた浴室。
その中に後続のルーも入った頃で、ゆうたは背後を振り返り、
「先に湯船入るか? それとも、髪洗っちまうか??」
「あっ、あぅ、あの、その、洗う、とは?/////」
「これ、」
「シャンプー、やったことないか?」
「頭髪用の、洗浄剤……?! す、すごいっ!!」
ルーは、はじめて見る物だ。
「それに、これは……、お湯!?
温泉、なのですか?! ユウタ!??」
「あのね……給湯器、というのがあってね……」
室内に温泉があるなんて!? と驚くルーである。
それにゆうたは、かいつまんだ概要を話した。
なるほどなるほど、
説明を聞いた。
「人工の、温泉?!しかも魔法も薪もいらないなんて、すっごい!!」
「おいおい……」
ゆうたはあきれたように声を出すしかなかったのだが、
ルーは、確かめるために、ルーはシステムバスのコントロールパネルに、己の指を触れて、異能で確かめたりして、
そんな後なのだから、一方のルーはすっかり感極まってしまっており、
(やっぱり、このせかいって、すごいっ!)
手足をばたばたさせて、
驚いてはしゃいだ。
「……?」
その直後、ルーは湯船の湯を見て、
「なんか、ほかほかしてる…………」
お湯に手を触れさせようとして……
「ああ、そしたらな……」
ゆうたはそれをみて、シャワーのスイッチを入れて、お湯を出し始めた。
それをルーの手そばにさしだして、
「おふろに、こんな新鮮なお湯が……!」
ルーは喜色に顔を溢れさせて、そのシャワーの湯をのぞき込んだ。
そうして、己の手の指を伸ばし…………
ここまでのこの異世界での過ごし方で、注意が鈍っていたらしい。
それとも、自分の異能で、どんなものなのかを早く確かめるためだったのか、
何もためらいもなく……
じゃっ、と手の指にお湯に浸けたルー。
「あついっ!!」
目をバッテンにすると、
「やっ、やだぁっ! 熱いお湯はこわいよぅっ?!」
「…………」
……
なんともいえない。……
「俺も、小さい頃は熱いお湯が厭だったな……」
お湯の温度を、……まあなんというか、こんなもんだろ、
的にではあるが、ちょうど良さそうな温度まで、設定ダイヤルを回して、温度を下げてやる。
「ほれ、こんなもんでどうだ?」
「これなら、だいじょうぶ、かも、」
「そうか、……」
まだ湯に手を付けていなくて、目でそう判断したルー。
それをみて、ゆうたは、考えて、
さらに一段階、温度を下げた。
「ひゃっ?! つめたっ!」
「~~っ」
こんどこそは、…………
ダイヤルを再び調整した。
「えふ~っ、……/////」
(手だけで気持ちよくなってどうするのかね……?)
湯船の湯の温度は、シャワーよりも若干熱く感じられた。
――それなら、先にシャワーしたほうがいいな……
と、ゆうたは判断するに至った。
そんな過程を踏みつつ、
ゆうたはルーの洗髪を開始したのだが……。