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アルヴィスは太陽とともに……(10/10)

今回の日刊連続投稿も今日2022/03/20で残弾を撃ち尽くしましたので、ふたたび書き溜めに移行します…

読んでいただけて嬉しいです!

それでは、本編の方を、ごゆるりと…






……事態は決しつつあった。





 僚艦、2等戦列艦ジャールフォン、機関損傷!消火できず自沈!!


 フリゲート艦テリストル、やられました!



 随伴スルーブの損失損害、7割以上!!



 

「くそっ、糞、クソっ!」



 慌てふためいた、その果てに……



「……このアルヴィス級を、自爆オーバーロードさせれば……」



 すでに、ブリッジの中では、破損と被害の警報ブザーが鳴り響いている状態だった。

 そんな只中であったが、しかし、そのポツリと呟いただけのはずの譫言は、狭くもないブリッジの中で、やけに通りよく、響いて聞こえた……

 ハッ、と正気を得たマグナホンであったが、もう遅かった。手遅れであった。

 マグナホンのその耄言に、ブリッジクルーは、戦慄に顔を染めていた……。

 そして、



「 に、にげるな! 」



 見切りをつけたのか、すぐに、逃げ出していった。

 手元の魔導拳銃で、制止を図る……が、訴えた相手のブリッジクルーは、目もくれずに、一目散に逃げて、去っていこうとした。



「き、キサマらぁ!!!」



 たまらず、マグナホンは拳銃を乱射した!


 そのうちの一発は、よりにも寄って、フネの統率をしていた副官の脳天に当たってしまった!


 皮肉なことに、この副官の人物は、最後までアルヴィスを見捨てず、マグナホンとともに戦い続けよう、としていた人物であった。

 それによって、艦の自爆コードを知る本人が死んでしまったことによって、

 ついでにいえば手持ちの専用魔導拳銃の残弾も打ち尽くしていたこともあり、

 マグナホンは、自決することも叶わなくなった。





……シミターは?

 この時、

 開きかかった状態でD.I.Sの使用ミスによって破損していた、艦前面の揚陸ハッチがついに完全に破壊され、

 艦の中に射撃を打ち込んでいる感触があった。



 ナイト・ツアーの一周は、もうすでに終わろうとしていた。



 そしてアルヴィスは……

 機関は破壊され、もう、物理的にどうすることはできない。




「 そ、そうだ、に、にげるんだ。」




 このとき、ブリッジの前に、シミターの機体が現れていた。




「 し、CICなら、ぶ、無事な、はず……!  あ、はぁっ!? ァッ?!……──」




 ブリッジに、七発の弾丸が叩き込まれた。


 すべてはシミターが放った、90ミラ・コッカリル低反動速射砲の弾丸である。


 

 告死の響きが遠く鳴った。



 一発打ち込まれるたびに、排出された薬莢によって、鐘の音がなり……



 すべて、打ち切ったころには、すでにアルヴィスは、永久に、沈黙していた……








 日没までには決着が着いた。

 跡に残るのは、やられきって、撃破されきった、鬼車や陸上艦どもの、残骸とガラクタのスクラップのみだ。


 ひときわ大きな残骸があるとしたら、それこそが、この、アルヴィス級だったただの墓標モニュメントである。

 死んだ象のように巨大で、横たわったそれは、陸上で溺れて沈んだフネそのものだ。



 それが、山と積もるように、埋め尽くすように……


 ガリウス要塞・東の渓谷地にて、その全ては広大なジャンクヤードかのようであった、



 夕暮れは沈み、群青色の夜の色が、空の全てであった。

 まるで、戦いの神が、これから寝静まるかのように……




 アルヴィスは、太陽とともに沈んだのだ。





……陸上艦が、沈んだ!




 センタリアが、東に、逃げていく……



「や、やった!」



 エルトールの砦の全員が、熱狂を叫んだ。





++++++


(題案・太陽とともに沈め、アルヴィス/アルヴィスは太陽とともに沈んだ)




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