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アルヴィスは太陽とともに……(1/10)

書き溜めがひとつできたので、本日より10日間にかけて、日刊連続投稿を開始いたします……

今回の物語は、ストーリー最終盤での重大な戦いの、その試作となります。

みなさま、ごゆるりと……

アルヴィスは太陽とともに……






 マグナホンはすべからく不満だった。



 この人物が軍籍を置くセンタリア軍には、陸上艦と航空艦、ふたつの組分けが存在する。


 どっちも水の上に浮かぶことができるのは同じなのであるが、違う点が一つある…

…陸上艦は陸の上を進むことが出来、航空艦はいわゆる飛空艦として、空を進むことができることである。



 特に、いま、大佐であるマグナホンが指揮官として乗艦している、アルヴィス級・大型戦列陸上艦。

 規模からいって大型戦艦に累当するこれは最新鋭の製造されてまもないフネであったが、

 しかし在来型とは違う、新機軸の陸上推進装置…装甲型ホバークラフト…を試験的に装備していた結果、

 公試の際に不具合が多発。

 これの原因は、おおまかな部品をブロックごとに組み上がった状態で他国等のメーカー元から輸入し、こちらの国の国内の建造工場施設で、最終的に組み上げる……いわゆるノックダウン生産の方式を取っていたのであるが、

 こちらセンタリアの国内工場での組立時に由来するトラブル等でそうなったのであろう、と……メーカーの回答としてはそうであった。


 このことから航空軍からは「戦わずにして沈むフネ」「陸上の巨大な墓標モニュメント」「腰の抜けた巨象」

 などと、散々にバカにされ……

 実際のメンテナンス等でも、導入まもないこともありノウハウが乏しい新式機構と構造のために手間がかかることで己自身が手を焼かされたことも在って、

 とかく、厄介なポイントであったろう。──マグナホンは歯を強く噛んだ。



……おそらく、最高司令部内でも、そのことがネックに上げられたかはわからない。

 が、それが遠因となってか、戦力として優先視されなかったのであるためか、

 今回のガリウス砦への第一次攻撃の、そのファースト・アタックの任を、このファルヴィス級、

 ひいてはその指揮官たるマグナホンには、オハチがまわってこなかったのであるのだ。


 なんたる屈辱か。


 なんたる!


……当直明けに副長らと輪番で取るその仮眠の際にも、不満が夢の形となって、満足な安眠が送れなかったほどである。



 実際、このガリウス砦近郊まで到着したのも、

 すでに全軍の総攻撃から2日以上が経過した頃のことだった。

 いくら空を進める飛空艦とは最高速が違うとはいえ、明らかに指示の段階で、本隊とその戦線の移動如何に沿わせた上で、さらに二線ほど遅れた位置速度で、進まさせられていた!

 我軍のタスクフォースの、その正面最前が敵に到達して開戦してから、それから一日近く遅れて! ようやくその日の夜明け頃の朝に到着することが叶ったのである…

 軍令部による作為的なものを感じざるを得なかった。……マグナフォンは呻くしかなかった。



 しかも、そうしてガリウス近郊まで到達したにもかかわらず、

 地域の郊外で、野戦司令部として後方支援に徹するように、と参謀部からは指示がされたのみであった。

 奴ら・エルトールとその籠城しているガリウス砦との、

 直接の交戦には参加することが、3日がたった時点でも叶わなかったのだ。




 マグナホンにとっては、自らへの仕打ちたるこれは、深に嘆かわしい限りのことであった……




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