「4話」カレーの風味は恋のよう?(4/6)
(SIDE:アリエスタ)
……ガーンズヴァルさまは、言葉を続けられました。
「……貴殿の、父君どのには、誠意を示して貰った……
そこで、下手人であり、娘であるウヌは、さすれば、どうルーやに詫びを示してくれるのだ……?」
そ、それは…………
「 ルーやに対して、
今後一切の接近禁止、……といいたいところであるが、」
ごほん、とガーンズヴァルさまはそこで発言を切り、目を瞑った。
そうすると、ルーテフィアさまが、話を続けてくれた。
「 ユウタも、あなた経由でないと、
お金を得れない……
おじいさまの街での換金物品の類の、その確保!
その目星がつくまで、
と く べ つ ……に、
ボクは、ボク自身に振るわれたその狼藉に、目をつぶって…………
あなたに、ひとまずの余地を与える、ということです。」
よいですか?
( は、は、はい…………)
なにもきこえませんね?
「は! はっ! は、は、は、は、、はぃ、はぃ………………ぃ……」
もはや、自分の言葉が、声にすらなっていないことにも、気づけないほど、わたくしアリエスタは、とても、とても、とても…………恐縮していた……
それでも、最後に、
「……あのっ! るー、るーて、るーてふぃ、あ、さ、ま…………」
「……なんでしょう、?」
ドキッ! としてしまった。思わず…………
素敵な笑顔。
わたしの、王子様!
なのに……氷点下の刃物を突きつけられているかのような、
そんな酷薄で温度のない、冷えた笑みを、ルーさまは、わたくしわたし……アリエスタに向けたからだ。
で、でもでもでも、
るーさまは、どんな顔の表情だって、わたしにとっては、すてき、すぎて…………///////……
いけない、わたし、蕩けてしまい、そう……/////
「あ、あの、……わ、わ、わ、……わたくし、わたくし、は…………」
いますぐ、両手をひろげて、
ルーさまに、ルーテフィア様に、
飛びついて、抱きしめてみたい、その感情が、
私の中で、迸っていた!
だから、あわあわとさせながら、私は、手を広げて、
花を追う蝶をつかまえようとするかの如く、
ルーさまの去ろうとするその影を、
腕の中に、捕まえたい……その気持ちが、仕草になって。
すると……
………………はぁ、と、ため息をルーテフィアさまは吐いて、
「また、勘違いですか。」
はぃ、?
「勝手に恋慕して、勝手に発情して……勝手に、劣情を向けてきて………………
あなたは、
それだから、
そんな
汚 物
みたいな人間なのです!」
がぁーーん!!!!????
わたしは絶望の縁から、落ちた……奈落へと……
「端的に、いいましょうか」
あ、あ、あ、………………
「キライ、ですっ」
はぅゎっ?!
あう、あうあうあう、る、ルーさまぁぁぁぁぁ…………
わたしは、涙を溢れさせて…………立ち去ろうとするルーさまに、追い縋ろうとして…………
「この、汚らしい手指を、退けてください。」
あああああああ………………ルーさまぁ……………
それでは、さっさと出て行ってください。
かえってください。
ボクは、これから……ユウタと、ね?
ボクたちはね、
ふたりで、濃密で優雅な、
素敵な時間を楽しみますので、それでは…………
「あああっ?! るーさまぁぁあっ」
がばり、とわたしは、起きた。
「……きょう、って、なんにちだったっけ…………」
「あれから、……いちにち、かあ…………」
……そうなのだ、あの後、わたしは帰る馬車の中で気を失って、
そのまま、屋敷の自分の寝室に運ばれてしまった…………みたい……
目覚めると、朝のわたくしの部屋だった……
はあ…………
…… ── ……
「ん?」
みると、振動しながら、虹色に光を放つ……
銀色の円盤。
嗚呼、今から思えば、遙かに遠い、甘き日々……
そのころに、
かつて、るーさまに頂いた、情報処理端末、というやつだ。
だれから、かしら。
……もしかして、るーさま、からっ?!
布団からすばやく出ると、
がばりっ、と取り付いて、
端末を起動させようとして…………
「え、ええっと……」
こうやって、起動、してっ……
ふむふむ、
……あっ、
「なーんだ、ドウジバシからか………………」
差出人の名前を見て。わたしはがっくりしてしまった………
「………………」
…………、、。。
巻き込んじゃった、アイツ。
申し訳なさは、ないわけではないけど…………
(…………あ~~~~っ! アイツがルーさまのお手つきになるのに、
なんで、わたしが、わたくしだけが、失敗しちゃうのよ~~~~~~~!?!?)
おもいかえすと、なんだか、イライラしてきますわね。
そんな事実が、因縁が、あるのだから……
いつのまにか、あいつが、ルーさまのさいしょの、
はじめてのともだち!ってことになってるし!
“ ほんとうの、 はじめて の ともだち ”…
…は、
このわたくし、だったのに~~~~!!!!!??
あのとき、“ あの場所 ”で、絆を作れたのは、!
この! わたくし、でしたのに~~~~!!!!!
………………、、。。。
おもわず、そう唸りたくもなる…………
「……まあ、メッセージの内容くらい、見てやりますか…………」
そうおもって、端末を操作する。
…………すると、
“用件がある。今から会えないか?”
「な、なによっ?!」
…………、、。。、……
「……いいでしょうわよ。会ってあげる。あってあげるんだからっ」
まったく、わたしというのも、奇特なやつだ……
* * * * *