4(4/7)-恋のオーバーフロゥ-
「……ん、ガ、んんが、んあが、んが、グゥ……zzzz……」
“ユウタ!? た、たすけて、アリエスタさんが、アリエスタちゃんが!!?”
「ンガ!?」
“ふっ、ふー、ふー、る、ルーさま、ルーテフィアさま、私のほうが身体がすこし大きいから、体格差で、勝負はもうついておりますわ! もう尋常に、お覚悟なされて……”
“ねっ?! ねぇ、ねえって、ねえってば!!
ユウタ、おねがいだから、助けてよぅ!!!”
「……おまえも、男としての華々しい門出を迎えるその瞬間を、その手助けを、この俺がしてやるってんじゃい!」
“な、なにを言って……ゆ、ユウタぁっ?!”
「おまえの、モテモテマン、としての生まれの星がわるかったのだよ……ガルマよ、いや、ルーよ。」
“な、なにいってるか、ぜんぜんわからないよぅ?! た、たすけ……”
“ゆうたぁ、ユウタぁっ、ゆうたぁあっ!!”
“たすけ、たすけ、たすけて、助けてっ、あ、ありえすたさん、ありえすたちゃん、や、やめて、やめてぇっ!!”
どったんばったん、大騒ぎ。
──わたしのほうが、体格は上!
……体術も、護衛とメイドに、教えてもらった!
そして、魔術の腕前も、年長さんだから当然として、わたしのほうが上ぃっ!
うふふふ、ふふふ、あーはははは!!!!
このわたしの、倍力魔法を掛けた状態の、このわたしなら…
…こんなにも、かんたん! に、組み伏せることが、できて……ふふ、うふふふ……
“あっ……”
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「……って、えっ?」
あるべきはずのモノが、ない。
想像上では、見た目に寄らず、逞しくて素敵であったろう、それの不在と、つるりとした、その股周りの、もしそうなら年齢よりも幼いであろうな造作の、そこの存在。
一糸まとわぬルーテフィアの姿に、そのように狼藉を振るったアリエスタの方はというと、しばらく呆然となるしかなかった。
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「えぅ、ぇぅ、ぇぅ、…………――あっ、」
「ね、ねぇ、ルーテフィアさま、? こ、これは、これは…………どういうことなのかしら……」
「ありえすた、ちゃん、………………」
「見たな。」
「…………え、ぇぇえっ、と……………………」
無表情で、そう、とだけつぶやいた、ルーに、アリエスタは、空気の変化を悟って、戦慄し、絶句した。
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「後でおじいさまの話を聞かせる必要がありますね……」
ルーテフィアのその冷眼と冷えた視線に、アリエスタはぞぉっ、となるしかない。
「我がアヴトリッヒ家、最大の秘密……家臣にも知られてはならない、その秘密………」
「あ、あいつに頼まれて、やりました、」
アリエスタはとっさの嘘に逃げた。
ルーはにこっ、となって、
「それって、ほんとう?」
びくぅっ! とアリエスタはなるしかない。
嘘がばれたらどうなるであろうか。
そうとはして、元々己が一番の悪者であるからして、いいわけも否定も出来ようはない。しかしばれたら……
「うそ、ですよね?」
「……──~~~~!?」
「関係を持ったからには、もう、アリエスタちゃん……あなたはボクの秘密と、一蓮托生になりますよ?」
「ひぇぇえぇえぇぇぇ……」
「………」「………」
「………ゆぅたぁ?」
ユラーリ、と、
「いるんでしょ? ねぇ……」
暗黒の気配が、今、
「これって……どういうことなのかなぁ……?」
ルーテフィアから、もたげていた。………
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