「第百十話」デジタル錬金釜への挑戦(4/5)
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…………へぇ?
やるじゃない……
ど、ど、ど、どうでしょうか???
「…………、、、。。。。。」
エリルリアが、メガネの向こうの目を、怜悧に、ルーにへと向ける…………
場所は代わって、エリルリアの部屋の中、
その書斎に居るエリルリアの片手には、
果たして、先日のルーの発明であるところの、
ディスク端末が、その手に握られていた……
「愚姪、わたしのすべて、あんたに使わせるわ。」
「ほえ?」
「錬金チャンバーも?」
ええ、それもよ。
「魔導釜も? 叔母さまが余暇の時に少しずつ作られて、作り貯めされている、錬金用の素材も、いつでも?」
ええ、存分に使って良いわよ……。
「叔母さま、だいすきっ!!!」
ふわぁっ?!
エリルリア叔母さんに飛びついてはしゃぎ喜ぶルーの奴である。
はてさて、なにがあったのか、そしてそのもくろみとは?
というのを、わたくしめ、ことゆうたが、解説いたしましょうかね…………
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さて、思い当たり、というのを実行する前に、
ありそうなところを探ってみる、という行動を、
俺ちゃんは一度、試してみた。
するとすると……
「エリルリア叔母さんに、話は付けてきた……」
仕様を記した、記録魔導球と、
魔術経典、その他のソース・コード類、
それも、融通を効かせてくれる、ってことだそうだ。
「あの、錬金チャンバー、を?」
ああ、それもだ。
「その仕様書、設計情報を?」
ああ、存分に買って良いぞ。
「ユウタ、だいすきっ!!!」
どわぁっ?!
まあこれというのは、
家にあった菓子類の備蓄を、いくつかピックアップして、
エリルリア叔母さんに渡したら、すんなり話が運べた訳なのである……
はてさて、
「ボクが生まれた頃に、エリルリア叔母さまが帝都のアカデミァで研究なされていた、
魔術経典を記録読み出し媒体に用いた、
魔導錬金チャンバー、
それの試作品になりますね……」
車輪の再発明、という言葉もあろうが……
果たして錬金釜の現代版、というのを我々がこうして形作ろうとした時、
類型の、プロトタイプをそこに求めた、という形である。
「魔導器械自体が術者と独立化されていて、
魔術経典に設計情報を突っ込んで置いておけば、
あとは念思や術の継続も術者の配置も省ける、
こちらで言うところの、
紙テープで情報入力してたようなくらいの、
黎明期の数値工作機械みたいなそれ…
…の、試作品、か…………」
そんなすげーモノ、なんで流行らなかったんだ?
「この規模になると、稼働させるために、高濃縮かつ高純度の魔力媒体が必要なのだそうで……
それというのが……」
クレネンク、……というわけか……
さて、納戸にあった、それの前に、俺ちゃんとルーは来ていた。
「えぃっ!」
ぺたり、と触れて、
「むふ~、♡」
設計構造情報、ゲット!
「……それから、すこし、試してみたいことがあるのですが、」
ん??
まあ危なくないことならやってみいさい……と俺は答えて、
「えいっ」
ディスク端末を起動させて、その片面を錬金チャンバーに触れさせた。
すると……錬金チャンバーが、起動できた!
「ディスク端末の内部の魔力生成回路を起動させて、
変圧……濃縮圧搾をかけたモノを流し込んでみました♪
これができた、ということは…………もしかしたら……」
なにか、についての、そのとっかかり……を得れた、ルーのやつみたいである。
そして、話の順番はやや遡るが、
『そういえば、ゲーム機、というのは、
デジタル?というもので、動いているのですよね?
なにかで似たものを感じたと思ってたのですが、
そういえば、この試作魔導錬金釜、と、試作錬金チャンバー、が、
どうも、中央処理の原理が、似たような構造かな?って……』
俺ちゃんの話を聞いていて、ルーはそのことに気づき、そして足がかりを得つつあった。
『すりーでぃーぷりんた? なら、マイクロコンピューターボード、というのが、データの処理をやってくれますよね?』
「だから、そうしたら……」
「……あれ、? もしや、?
もしかしたら……」
これ、と、それ、を、…………
「つないで、みる、の?」
「…………」
「……なるほどぉぅっ?!」
うぉっ!?
「ユウタ、ユウタは流石っ、さすがですねっ!
さすが、ボクのユウタっ♪ ユウタといっしょにいれるボクは、なんて幸運なんでしょうか♪」
アルボーノ、か、らずべりーぱい、
それに相当するものをつなげれば……いや、データ交換形式だったりが、かな?
そこは、これで、なんとかできるね。そうしたら…
しかししかし、だけどだけど、…………
などと、ひとりごとをぶつぶつ譫言させる、ルーのやつ。
俺ちゃんは、黙ってみているだけなのだが……
「ユウタ、いまからやりますよ!」
「や、やるって、なにを……」
「ボクたちふたりの、偉大な挑戦です♪」
「できあがったら、前例なんてありませんよっ♪
わくわく、わくわく♪」
ひとりで気づき、ひとりで考え、ひとりで思い立つ。
そんなルーのやつである。
………………、、、、、
まあ、俺ちゃんは、見守ろうか……。。。。。
魔法や魔術や錬金術類の行使は可能とは言え、
ディスク端末単体では物質物のモノは作れないため、
なんらかの加工製造工作機器が、必要となった……
というわけであるのだが、そのプロトタイプに近しいモノはすでにあった……エリルリア叔母さんがかつて手がけたモノとして。
ならば、それに範疇を執りつつ、
より簡便に、なおかつ、アップツーデートと、現代化を図れば……
(つづく)
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