「第百六話」理由の開示とそしてそれから(10/10)
「わはは!ひゃひゃひゃ!!」
俺ちゃん、大笑い。
「 なんでぇ、ポータブルプレイヤの機械としての重厚感に比べて、見た目があっさりへぼくなったから払う代金のカネ出し渋られたもんで、
大見得切って、大割り値引き! 出血プライス!!!
したもんだから、大赤字になるモノかとおもって、それでヒヤヒヤしてた、と!!!」
「わ、わらいすぎよ!!!あんたねぇ!!!////」
毎度のように漫才を始めたアリエスタとユウタである。
すると、
はたしてその頃のルーは?
(まったく…………ほんもののオロカモノですね?…………このアリエスタさんは…………)
ルーのひとみは、…………曇っている。
(…………ユウタとしあわせになるための、おかねもーけ、のプランを、せっかくたくらんだのに、そんな顛末で、くずされたのも、そうですが……)
(…………この女とユウタが仲良くなる接点をこうして作らされている、このボクも、たいがい、オロカモノです………………ぅうっ…ぐすっ…)
ユウタとの漫才にいそしむ本人には気付かれなかったが、
にらむような瞳でアリエスタを視て、
次はこうならんぞ、…………と、ルーは決意した……
痛切に!悔しかった…………
もはや、ルーの瞳のそれは、濁り…といってもよかった。
ルーの瞳は、濁っていた
なので、反省に基づく積極的で実直な改善の励行、というやつだ。
もっとも、ルーはそれがいちばん得意ではなく、苦手の部類にあったのだが……
「 インター、ネット……?
ブックマークされたツーハンサイトってやつしか、みてなかったわ!」
はたして、それの講釈をアリエスタに行う、
その段取りの段となっていた。
「ボクのものより、型式が新しくて高価な魔導ブローチですね」
「そうですわよ、ルーテフィアさま!
ふっふ~ん、ドウジバシのおかーさまから得た辞書で、読み書きはバッツグンに、できるようになったのですわ!」
じまんげに首元の魔導ブローチを手で示すアリエスタである、のだが、
まじかいな、……
ならば、と。
「よ、ようつ、べ……?」
ディスク端末を操作して、インターネットブラウジング。
そうして、、目当てのワードを入れてやり、……
「なにこれ!? ケットシーじゃない!!!」
アリエスタは喜色ばんだ。
「いいわね…………いくらでも、癒やされる…………」
ラガマフィン種の猫の動画であるようだ……かわいい…………
「こんな見事なのだもの!
労猫党のケットシーがみたら、
ケットシー・ポルノ頒布の容疑で検挙されかねないわね………」
これとはいったいなにか?
西偏世界の西端にある島国・プリテーン国の事情についてである。
プリテーンにはケットシーが多い。
政治参画に旺盛な彼ら彼女らケットシーたちは、
政治的モラリティが、非常に高いことでも有名なのである…………
んで、なんすけど、
「おお、バカいも、きょうもげんきにバカいもやっとったか?」
「おい。」
ここがどこだか、いってみろ、
──ゆうたの妹・道寺橋 舞依は、そうトーンの低い、ドスの利いた、脅すような声で、そう呟いて言った。
一方のユウタは素っ頓狂な声で、
「なにってぇ、ここは、おれちゃんのホームベースなんだが?」
「わたしのいえなんだよぉ、!?」
ふしゃーーーーっ!!!!!!
っと、威嚇する、舞依である…………
果たして、ココは道寺橋ハウスの居間である。
ルーがいて…………
そこに、新たに、アリエスタが入り浸っていた。
「おかーさん!!」
「白金の、ネックレスもらっちゃった♪」
「ま、ママ上どの…………はまいどのもんだ、嗚呼」
諦めるのは、しかたないか…………
そんなユウタの袖を、ちょいちょい、とルーはつまんで意思表示をした。
ん?なんぞ?
「 ボクも、怒ってます。」
ん?!
いうても、かあちゃん謹製の今日のごはんに、不服が、あると……?
「えぅぅーーーっ…………飛び込みで現れたアリエスタさんの分に取られて、おかわりが出来なくなってしまった、というのもありますが、ボクが怒っているのはそれだけではありません……!」
ん?んん?!
「R.O.Mのネットワークを構築して!
貴方専用のR.O.Mを作って渡した上で!!
中継器を設置しますので!
アリエスタ、貴方は、でてけーっ!!!」
「きゃああっ?!! る、ルーさまぁぁぁ///////」
アリエスタを追い出した、ルーのやつ。
「 おまえもじゃ!!!! 」
へう゛っ?!
妹からのドロップキックを喰らって、
ルーのやつも、勝手口から排出された…………
「おまえも、いけ!」
グェァア!?
俺ちゃんも、イジェクトされた…………
はあーーーーぁぁぁあ…………
アリエスタは、帰還していった…………
残されたのは、俺とルーの、ふたり。
「 さて、どうします? 」
「 いうこっちゃもねぇぜ、今日は遊ぶか! 」
! …………はいっ!
──ボクは笑顔になれました!
ルーは、満面の微笑みを、ユウタに向けた……
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