「第百四話」ディスク端末、強化中……(8/10)
──それから数分後、
「つくったよ!」
卓上マジカルミライ……とも思しき情景が、それに食いつくルーの前にある机の上で上映されていた。
「ねぇねぇ、みて! ミクちゃんつくったよ!」
「ミクミクダンスでばっちりだよっ、じんこーせーれー作るときのやりかたをおてほんにしたから、この子、自分の意志で自由にしゃべれるのっ。すごいでしょ!」
なんでも記録部分に仕掛けを施し、データが保存される微細なモールド……ピット、というらしい……を半導体化してディスクそのもの全体を電子端末化してしまい、そのいくつかを極小のLAN端末に改造して、Wifiとブルートゥースを仕込んだ。とルーは喜色満面に語ってくれた。
さらに、同様のやりかたの手段により、
魔法機構も仕込むことに成功しており、
それらを複合化した結果、目の前のこの現物の完成……となっているそうであった。
なんだろう。
りかいできない。
いや、圧倒されるしかなかった……
もうCDではなくなっていた。
ありえるわけない、
と実際に俺が手持ちのPCでデータをやり取りできるか試したところ、
なにも異常なくルーターを経由して、
問題なくJpegやTxtが送受信することが出来た。
そしてルーがにこにこ顔でおれにおすそわけしてきたそれは、もはやCDではないなにかだった。おーい雲よー。やべぇよやべぇよ……
ところでさ、
「これ起動どうすんの?」
「あっ」
さらに数分後……
改良版がお出しされた。
始動・終了ボタンとして、
モーメンタリー式押しボタンが中央の穴に張り付いた円盤だった。
調子の絶好調にいままさに乗っているらしいルーは十分後にDVDディスクでつくった強化版をみせてきた。
「このまま、どこまで性能を盛れるか、ユウタの目の前で検証実験をしてみよう、♪」
とのこと。
おーい、
……それから三十分後、
「みてみて、こんどはぜったいこわれないパソコンをつくったよ!」
坐った目でやけに意気高くまくしたてたルー。
それほどもしないでこの様子である。
なんか、見覚えのある光メディアのディスクが、二枚、机の上に並べられて置かれている。
問題はそこではないのだ。見たままの物をそのまま述べると。その内の一枚からはなんというか空中投影のスクリーンウィンドウがなにもない真上に出現していて、もう一枚の円盤からは、横の水平に謎の光線が照射されて、要するに手元のアームレストが投影式タッチキーボードになる、という構造である。
は?
俺は頭を抱えた。
「ユータからもらったパソコンをだびんぐ? したの! ボクすごいでしょ!」
う、うむ…………
発想の直接のインスピレーション元は、
教材代わりにさしあげた、アルディーノとラズベリーパイ。
それの解析結果が、如何無く反映されている、といいうことであった。
便宜名、魔導シーケンサー、
機力魔導器、
R.O.M、という名前が、この場で付けられた。
「アーカイブの型式もじぶんでつくってみたの。だけどこっちの世界の法則でやったから、たぶんユータの世界のこんぴゅーたーだと、
専用の子機としてディスク端末を用意しないと、実行した中身はつかえないと思うけど……
けど、光ドライブで記録入力することもできるよ!
これで短時間化達成だね♡」
「おかげでしーでぃーの容量にちゃんとはいったよ? ななひゃくめがばいともあればじゅうぶん! 記憶領域はかつかつだけどねっ」
理の裏までも果てなく視ることのできる能力、か。
ようするに解析の能力ってことか? んでもって作るのも得意、と。
こりゃあれだ、士郎だ。おーおーシロウきゅん、贋作をひとつつくっておくれよぉう。
「贋作には、とどまりませんよ? ボクの“はつめー”は!」
うん? ……う、うん!
俺ちゃんはそうして置いてきぼりにされつつ……
ルーはそう宣言した……。
…………
「……、ところで、なんで俺ちゃんの腰を、掴んでるのですかね、ルーさんや?」
「え? きまってるじゃないか。今夜も、キミを……寝かさない……つもりだから、だよ?」
え、え゛っ、。。
「ボクのせいよくとよくじょー、が、あんな画像や映像如きで、かんたんに済ませられるわけがないじゃないか……♡
特に、ボクがユウタに抱いている、この思いと感情の限りは…………ね?」
「ひゃ、ひゃぃぃぃぃ…………!」
あかん、、おれちゃん、失禁しそう!!!