3(3/6)-遊星歯車の悲劇-
「こんなのって、ないよーっ!」
うううー!
ユウタが、ボクの……ユウタが、
果たして、その日の夕方の、ルーテフィア。
「 あのおんなー!!!!! 」
せっかく、ゆうきをだして、ボクは、あんな怒鳴り声まであげて!
あんな、容器を投げる、なんてこともして、あの女を、いなくさせようと、したのに!
それなのに、それなのに、逆に…嫌われちゃったかな? かな?
ど、どうしよう、どうしたら…いいんだろう…
うううぅぇ……ボクは、ボクはどうすれば……ゆうたを…ユウタを……
あの女から…………ッ……
「 見てられないわね、あんた……」
「えぅ?」
!?
「え、エリルリアおばさま!」
自分のおへやの中で唯一人、誰も居ない、
孤独の坩堝の中に居たつもりだったルーであったが、
部屋の扉を四分半分に開けて現れていたその人物の登場に、
ルーは、驚愕とするしかなかった。
「 いつから聞いていたので……そこにいたので……」
「 いや、あんたがベッドの上で枕に顔を突っ伏して唸ってるその前から、「あぅ?!」」
「 えぅ、あぅ、はぅ……」
「ま、大丈夫よ、
ところであたしは……通商に来たわ。」
「 な、なんでしょう?」
「 こ、れ、……」
そういって、扉を開けかけている手とは反対側の手で、持っていたそれを、傾げて見せてやる、エリルリア。
「──アンプルのボトル?」
エリルリアの手に握られていたのは、なにがしかの……ポーション? の、……ありていにいえば……色水の入った、アンプル・ボトル。
ごにょごにょごにょ、とエリルリアが小声で唆すと、
「 いろじかけ、?!」
「 だいたいのことはメイドに聞いたわ。
まあいい機会よ。今の内に、既成事実でもつくりなさい?」
「 こ、こ、こ、この惚れ薬があれば……」
「 じゃあ、代金。
あんたのジャガリィコ、ひとつもらっていくわよ……」
「 いいですとも、伯母様!」
毎度さん、と言い残して、エリルリアは去って行った…………
後に残されたルーは……
「 く~★ やっぱり、ボクは家族にこんなに恵まれて、まったく、幸運でしたね!
さあて、さあて、ユウタ……♡」
ああして、こうして、ああやって、こうやって……
パライゾの妄想の世界に、ルーのこころとのうみそは旅立っていた。
口からよだれを流して、ルーは、
「 嗚呼……☆」
ベッドの上で、それから身悶えは続いた。