2(2/6)-遊星歯車の悲劇-
──それから、二日にわたり、俺とアリエスタは、せどりバトルを繰り広げた…………
そうして、アリエスタと俺とのせどりバトルが、
三日目に、達した頃…………
途中、戦績発表~~!!
どんちゃんぱふぱふ、と、メイドたちがチンドンをやる…
果たして、ここはアリエスタの屋敷の一室。
それを演出しながら(させながら)、果たしてアリエスタと俺との日常的一騎打ちは、今日のここでも現出していた。
三方をふかふかのソファーに囲まれた、長方形の机の前、
ルーの奴が、上座ですわってらっしゃる…………
「なんだかなぁ。」
“たのしい場の筈なのに”、
つくりもののような、生気の無い顔で、ルーはそれだけをぼやいた……
どした? ルー、それはいつもの俺ちゃんの口癖やぞ?
「なんだよね、」
うん?
まあ、なんというか、だ。
俺ちゃんだって、なにもしていなかったわけではない……
そうして、心ここにあらず、誰に向けているのでもなく胡乱げな目を浮かべているルーに、俺ちゃんはそれを取り出してみた。
「リニューアルされたいちご牛乳とフルーツミックスジュースだ。のんでみておくれ。」
「まぁ!?」
アリエスタのやつが反応した!
ふふふ、
アリエスタのやつも、おどろいたみたいだろう。
「……──いちご牛乳? ……そういえば、ボクが、はじめて、ゆうたに飲ませてもらった……」
ルーの奴は、
そういいながら、暗黒地平の彼方この上なかった状態から、生気ある表情を取り戻すと、
俺から手渡されたそれを………………
「おいしい…」
試供のサンプラーとして飲んで、、
「 おいしいよ、ユウタっ」
だろう?
「おいしい!」
あ……
──次いで聞こえたアリエスタの歓声に、
ルーは、顔の生気をひっそりと陰らせた。
味はわかったわ。美味ね。 さっそく、仕入れなさい!
まあまて、これを手に入れられたのは、多分にタイミングの都合があってな…
そんなのしらない!さあ、はやく!
「 ……… 」
「ねえねえ、ゆうた。
これって、ボクのためにやってくれてることなの?」
ん? ああ! そうだ。当然、そのとおりだぞ?……──
「 なら、なんで、ボクを置いてけぼりにしているの?」
言葉が止まった。
「 ゆうたがとっても、とっても考えてくれて、ボクのために頑張ってくれて…
だけど、そのせいで、ボクとユウタって、
特に最近…ふたりで、二人っきりで、なんにも、共有したり、一緒にいたり、いっしょにあそんだり、
二人だけの大切な時間、まるで、すごせてないよね?
一緒に笑い合ったり、いっしょに絆を深め合ったり、ただ単に、仲良く過ごす、ということ……
何気ない時間を共にする、ってことも、まるで過ごせれてないよね? ね? ねえ?ユウタ……」
「 あ、あの、るー、さま……」
「 だまってて! 」
──ルーが叫んでいた。
いつになく…………いや、憎悪に近い表情を、
ルーはアリエスタにへと、向けて執っていた。
「おまえはいつまでもだまってろ。
そして、ボクのユウタを、奪うな!」
ルー? どうしたんだ、
俺は、……
「…………──~~~~っ──……!!!!!」
ルーは、ぽろぽろ、ぼろぼろ……と、その大きな瞳から、涙の滴を落とすと、
俺に、その表情を、向けて…………
「 ボクのことを言い訳にして、ふたりで仲良くしてる、それだけじゃないかぁ!!
なかよく、なかよさそうに、
じゃれ合ってて、仲良くしてて、睦ぎあってて……
ボクが、ボクだけが、ユウタと、そうしたかったのに!!
なのに、なのにぃ……ユウタ、ボクのこと、わすれちゃってるよぅ!!
競い合い、だなんて、できない、から……
二人が羨ましいよ……ボクには、チャンスすらないのに、
そんなことなんて、できない、から、
こうして、じっと待ってるだけしか、できない、から……
ねえ、ユウタ……」
な、なんのことだ?
おれには、おれにはぁ…………ぁぁーっ…………
「 ボク、また、置いていかれるの……?」
ま、まて、ルー、そうじゃあないんだ!
「 そ、そうですよ、ルー様! けっして、わたくしは、そんなつもりは… 」
「☆」
かっちぃーん☆、とルーはきた、らしい。
無論、そのアリエスタにである。
「 おまえは、だまれぇー! 」
からのペットボトルを投げつけて、ルーはアリエスタに威嚇と示威をした。
メイドのエプロンの裾に当たったあと、
からぁん、と、そのペットボトルの殻は、絨毯敷きの床にへと、転がった。……
「ひっ……」
アリエスタは、そうか細く、悲鳴を上げた…………
………………。。。。。、、。。。
「えふん! ユウタ♪ そうです、これでいいのです!
邪魔者を追い立てましたから、今日のこれからは♡ ボクとゆうたは、一緒に優雅な午後を…」
大丈夫か!? アリエスタ!
え、えぇ……
「え? あ、……ゆ、ユウタ、? な、なんで、なんで…いつもこうなるのです?」
おまえ、なぁ…………
「ユウタ。ね、ねぇ、? ユウタ、ボクの…………ボクのこと…………ぼ、ボクは、ボクは、え……ぇっと、ね? ねぇ……」
まったく……
おまえ、女の子にそんなことして、いいとおもっとんのか!
そんなおまえなんて、いやだばい。
「?!」
がーん!
────ルーは絶望した………
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