1(1/9)-発明ちゃれんじ!後編-
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「魔導札って…オマエとであって二日目のときに、
俺にあん時投げつけられた、爆弾か?!」
ユウタはおののいてしまっています。
ですが、心配は無用なのですっ。
「あれは一例に過ぎませんっ。
ボクの世界の地上人類の暮らしでは、
広く、広範に、汎用的に用いられている、技術形態なのですっ!
紋様として、刻み込まれた内容次第で、
それら爆弾や魔導力などの増幅生成機関はもちろん、
魔法力などをストレージとして貯めておくことや、
呪文や魔法、錬金術などの展開ももちろんできます。
魔導ガラスなどの技術は
ガラス類に魔力や情報や魔法術などを保存できる形態ですが、
こちらの術式経典の技術は
双方ともに、一種のワンチップマイコンみたいに使えるとしたなら、
魔導札や術式経典というのは、
それよりもより、固体回路に近いものなのです」
ボクのこの魔導ブローチは、魔導ガラスと魔導経典の技術が複合されたものですよっ。
「な、なるほど……
そういえば、オマエのばあちゃん…エリルローズ婆が内職で作ってるヤツってのが、それだったな。
んで、光ディスクがそれの代わりになる、っつーのは?」
「まだ思いつきの段階ですが……たぶん、いろんなことが出来ると思います。
まず、書き込んだ、ディスク内の記録パターン。
ここの段階で、
光ディスクへの書き込み手段で再現出来るようにした、
魔導回路と術式呪文の事前経路化を行ってやります。
そしてその後に、
これに対応した、ボクが作り出した対応魔術と魔力の流し込みと、その後の着魔をおこなうと、
これ以降回路に魔力が宿るので、
これで、ひとまとめの魔導回路としてブートが出来る、という塩梅です。
例えば…プログラムのソースコードをコンパイラでコンパイルするとアプリケーションが作られるのと、
同様の経過になるはずです。
それで、魔導ディスクの出来上がりっ!
術式経典の技術自体は応用性と弾力性があるモノなので、
ここからはボクの魔導のセンス次第でしょうけど、
その技術を光ディスク上に再現できれば、
例えば雷の魔法技術と大地の魔法技術の発展派生系を組み合わせて、絶縁と回路の実装をすれば、
ディスクの平面上に、
ユウタの世界の半導体や電子機器、作用素子、
それからその複合構成品の、コンピュータとかの…
その模造互換も可能な魔導回路、これができると思います。
もちろん、このいくつものを踏まえた上で、そこから発展や枝分かれの融合も……」
「電子と魔導のフュージョンというか、
クロスオーバーができる、ってことか!
この形式で…………」
「おそらくは、!」
スゲェ…とユウタは驚いてくれていますっ。
「なるほど。
書き込みだけ最初にしてしまって、
あとはその着魔? とやらの工程を実装機で経れば、
ディスク単体が、パソコンとかとは独立して、
そのまま魔法のデバイスとして使えるって寸法なのね……」
「そういうことになりますっ♡/////」
そして出来たのが……
「こ、これが、オマエ謹製の、魔導ディスク作成アプリか……」
「はい! これで、サンプルのデータはすでにセットしてあるので、
そのブランクのディスクメディアに、焼き込みを開始してくださいっ!」
「パソ子ちゃん、起動、っと……」
……待つこと数分、
「この状態だと、ただの変哲もない、普通の光ディスクなわけだが……」
いぶしがるユウタですが、この時点で、すでにボクは確信を持ってます。
そして、焼き込みが終わったディスクを手に、もう一度エリルリア伯母様の実装機を借りに行き…(またどやされてしまいました……)…
「キターッ!!!!!」「おおおぉっ☆」
とりあえず、作ってみて、出来上がったのは、
なんてことのないホログラムサイネージです。
スクリーンの機能は、ディスクに仕込んだ魔法術で行い、
映像データの処理を、従来電子品の機能と仕様との再現互換をもたせた…
…同様にディスク内に仕込んだ、エミュレーション用の魔導回路術式で行っています。
光ディスク上にホログラムが展開されて、
動画の映写が始まりました……。
そして…既存のもののノウハウを元に、ボクが手探りで考えて作った、
独立型の魔導力分泌回路、これを仕込んだので、
もう、このディスク単品で、独立してうごくようになっています。
ボクのはつめい、どうでしょうかっ。ユウタっ!