2(2/7)-発明ちゃれんじ! 中編-
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「はい。そして、それはなぜか……
かつて主流だったその魔導器の活用の普及というのは、
その絶頂期は、
かつての人魔大戦が起きるまでのことでした。
そして…
消耗品も含めて、
地上界の知恵ある万物が現実的に購入が
可能な魔動機全般が、
その戦争で滅んだ魔王帝国の経済活動の、
その主力輸出品たる、産物だったのです。
勢力としては戦争状態に至った両者でしたが、
一方は市場として、一方は工場として、
長い間、相互の関係にあったわけなのです。
それの是非はともかく…
戦争の経緯と推移には曰くが色々あったそうですが、
こと今回のこの関連に絞って言えば、
魔王帝国が戦争で敗戦したというのが、
この文明の利器たる魔導器の流行というのに、
止めを刺したのに近い状態だったとのことです。
魔王帝国の領土は、
戦争を主導した天の神々による、
天空の軌道上からの無差別空爆に晒され、
各所に偏在していた
魔王帝国の工場も、もれなく被災し、
色々推移はあったようですが、
大戦が終わる頃にはほぼ全滅していた……と聞いています。」
そこまでボクは続けて、
「つまり、ルーの世界じゃ、
そっちの世界版のコンピュータというかパソコンの発展と記録媒体の進歩が、
こっちで言う所の1980年代のレベルで、止まっちまってるのか…
起きてしまった、1999年の、アポカリプスによって!」
と、ユウタはまとめてくれました。
「ちゃんとしたフル機能の魔導卓盤(カリキュレータ・キャビネット、ないしは、マギスティック・ドラフタ)…
…ユウタの世界(現代地球)のコンピュータに類するもの。
どちらかといえば一般家庭用の普及型パソコンと言うよりは、オフィスコンピュータやワークステーションに形態は近い…
…については、そうでしょうね。
でも、人類の社会と文化文明だって発展はし続けていて、
それ以降にも発展し続けたのが、
フル装備のそれよりも、
ホビー用途への使用も兼ねて、ある程度、
機能を限定して廉価に仕立てた、この自動筆記装置とか、
ボクも使っている魔導ブローチとかなのですが…」
「そうやね?」
「いかんせん、魔王帝国が、どうやって工業生産をしていたのか、というのが、魔導の魔法と錬金術に馴染みきった、この地上階の人間勢力には、理解しきれないのです。
技術も製法も、製造のための機械とかの設備だとかも、
一度はぜんぶみなごろしにしてしまったから、失伝していて…
技術者を蘇生復活させたりとかして、技術の継承を行おうとした試みもあったそうですが、
肝心の、工場の機械を作るための、マザーマシンと、その資機材!
機械や資材を用意しようとすると、無限連鎖的にその相互関係が系統樹に隈なく広がっていって……
それらの調達の都合がつかなくて、
現在に至るも、上手く行ってないそうです……
知ることもできないし、どうやれば、機械をもちいて、大量に、廉価に、それも品質を高く保って、生産の量産が、できていたのでしょう…
先の戦争から、この世界の暦で、もうそろそろで70年は経とうとしています。
ですが、未だに、完全な再現というのはできず、
未だに程度の悪い模倣や劣化コピーにとどまっているばかり。
一応、量産はできなくても、少量品を少数生産するのは、出来るそうなのです。
ただ、それというのが、
選り抜きに腕の良い錬金術師を、
朝から晩を通り過ぎて、その翌朝!
まで、休むことも許さずにこき使って、
そうして、一品ずつ、一つずつ、術士の手の手作り同然で、
わずかな数が、多少作れる……
これじゃあ、
ただでさえ大きな、このアリスティリゥの、陸上の、
その知恵あるものたちからの、大きな需要は。
一度は大きく普及した魔王帝国型魔導器類の、
その市場のユーザーからのその莫大な需要は、
満たせようがありません……
そこで、現在は……
大量に工業量産された補充パーツがいくらでも流用の効く廉価な汎用品という形態から、
一品少数製造の、高級端末化。
魔導ガラスについてはそのような経緯があるのです……」
「なるほどねー…?」
そこまで話は進んで、その時……
ピボッ、
「おっ、ビープ音がなったな」
「やった! フォーマット化、いけました!!」
「おおーっ」
やりました!! ボクの、この上ない大成果ですっ!!
「情報書き込み…読み出し、問題なしっ!」
データの劣化や変性は、なし……
問題なしですっ…!!
「すごい、すごいっ!
いける、いけるよぅっ! ユウタっ!!
怖いくらい、いけちゃうよぅっっ!!!」
「まあまあまあ、」
やりましたっ!!!
これで、第一関門は、突破できそうですっ!!!!