1(1/7)-発明ちゃれんじ 中編-
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ボクは慌てて!
無我夢中でしどろもどろになって、
「ゆ、ゆ、ユウタっ!
これ、これ!
これ、いっぱい、ほしいっ!」
「どうしたのん? 唐突に、片言になって…?」
ボクは衝撃を受けていました。
とっても大きな。
そう、それも、とても大きな……
「とりあえず、中身を飲むこった。」
「ぁぅ、」
こんなときも、ユウタは冷静です。
ラムネの中身を、ガラスのコップに出してもらって……
「ごく、…、!」
飲んでみたら、とってもおいしかったっ!
んん~、♡おいしぃっ♪
「美味しかったかい? そりゃあ何より!
まあ、まっとれって、よいよいよい…っと」
そして、ユウタに洗ってもらって。
(あっという間に! ユウタはこのラムネという飲み物の瓶容器の、分解をしてくれた!)
そうして水で、ベタつきなく洗浄された、
ビー玉、というやつを渡してもらいました……。
そうしてボクの手のひらの中には、
2つのこのビー玉というのが、にぎられた状態です。
* * * * *
「これは、大発見なのですよっ、!!!!」
ボクは、もう胸のドキドキとワクワクが、止まらなくなっていました!
そうしてまず、勢いのまま、
凄まじい速さで……ボクの屋敷の、ボクの部屋にまで、
ユウタを連れ込ん…案内していました。
なぜかというと……
「こないだぶりの自動筆記装置くんやね~?」
「そうです。
……よし、多分行け…る…。径はバッチリだ。なら、
そして、これを、こうして、こう!」
がしゃこ、がしゃ、がちゃん、!
と、ボクの自動筆記装置の、
その挿入スロットに、ビー玉というのを装填しました。
「おお、事前の話では聞いたけど、見事に嵌ったな!」
「このビー玉、というものなら、
自動筆記装置で……使えるはずっ」
「あつらえたようにぴったりやなぁ…」
そこからは、もうボクはノンストップです!
「魔導乾板、という、この世界での、
魔動機などで使われている記録媒体の一種なのです!
そしてボクのモノの、この魔導機の自動筆記装置は、
年式はそう古くなくて、買った時も新品でしたが、
汎用の互換性のために、その機能はもちろんあったのですよっ?」
「でも、今のそっちの世界の世の中的には、
貴重な代物になっちまってる、って話なんだろ?
その、魔導乾パン?ってのは、」
「むー、食べ物の方ではありませんっ!」
「そりゃ失礼…てへぺろ、」
そう笑いながら舌をぺろり、と出して、おどけてくれたみたい。
ユウタもおちゃめですねっ。
「でも、要するに、ただのガラス玉やで?なんの変哲のない…」
「そこを確かめるのが、今からのこれから、なのですっ!」
自動筆記装置のセッティング操作を執り行いながら、
ボクは夢中になって、喋りが止まりませんっ。
「ボクの使っているこの魔導ブローチは、
コア部分が錬金ガラスで作られています。
いわば、この魔導ブローチは、魔導乾板の豪華発展版!
ただ、高等な錬金術師のマイスターが少量ずつ作るので、
機能と性能は豪華ですが、とても値段が張ります……」
「手に入れるには最低でも、そっちの、帝都だとかの高級ブティックまで行って、その上、予約日から届くまでのが半年待ちなんだって?とんでもねえステータスアイテムやな…」
「そうなのです……」
「なるほどねぇ……」
ユウタは、そこまで首肯してくれて、
そしてボクは続けます
「記録の原理としては、
ガラスや樹脂類に、
特定の専用の性質の魔力線を照射させると、
その内部に魔素が残る。
この魔素のパターンと信号で、
魔法や魔術の情報の記録が、
基本はアナログ信号的になされる。
なので、その信号の配列と配置を精密化したのが、
これら魔導ガラスを用いた記録媒体の、その基本原理、というわけです」
「しかも、ただ記録ができて書き込みと読み出しができるだけ、じゃなくて、
プログラムと機関の回路を組んでしまえば、
あとは、都度、使用者が魔力を流し込めば、
その際に一種の魔法や魔術の励起作用ができるデバイスとしても使える!ってことだもんな!
ホント、異世界ってのはすごいぜ」
そうなのですっ!
「……だが、かつてあったその魔導乾板も含めて、
広大なこの異世界のその需要からすれば!
出荷量はボトルネックどころか、糸よりも細いくらいで、
今じゃあ一般には、供給が無いも同然で、
取り扱いの簡便な記録媒体の流通が絶たれた結果として、
一度は普及したこの異世界の人類のユビキタス社会というのは、さながら伝書鳩の時代にまで、ひっくり返った!
…さっき、ルー…おまえさんが話した、
一連の経緯のあらましってのは、そういうことだよな?」
有り体に言えば、そうなのです。
「ふむ……
記録媒体の供給の枯渇によって、
扱えるマシンのその先の進化と普及と、あったはずの未来……高度情報化社会……の可能性も挫かれて、
それの市場の隆盛まで、
まるごと根こそぎ、滅ぶようにして衰退していった、
ということなわけだな……
そうして結果としては、
今現在に至っては、
一度は一応普及したはずのその技術の退行が起き始めて、
一端の情報インフラが揃ってあったはずなのに、
こないだなんてのは、実物の紙の用意が間に合わなくて、紙の書類が書けない、なんて様にまで、なっちまっていたわけだ」
むふ~、♡ ユウタは理解がはやい!
そして、ボクの話は続きます……