1(1/5)-末妹の病室-
果たして、その日の昼食後。
「ゆうた、ユウタ♪」
おまえも、安定してメシが食えるようになったんだから、もう俺ちゃんなんて、どうでもいいだろ~……?
「ふぇ、、? なんでそのようにおもわれるのですか?」
うむ?
「ボクはユウタのトモダチ♪ そしてユウタはボクのトモダチ♪ そして、ボクはユウタがだいすきなのです♡
ユウタは、ボクのこと、だいすきですよねっ?」
「……うーん……」
「……すき、ですよ、ね、?」
「………………」
「…………ふぇ、ふぇぇっ……うぇっ……」
「嗚呼、もう…………わかったわかった、」
はぁ、と俺は、ため息を出しつつ……
「だいすきだいすきー、な?」
「!、//////// もっといってくださいっ!!」
ほれ、だいすきだいすきー、だいすきだいすきー、……
「ふぇ、……♪、♡、/////////」
ルーは、すっかり顔を蕩けさせていて…………
「ボク、ユウタのお役にたちます♪ 絶対、役にたってみせますからねっ///////////」
「へいへいよ?」
……それにしても、である。
「あー…………っ」
「どうされたのですか?」
「今日は電話待ちでな。
悩みがあるんだよ。どうにもならん、どうにもできなかった、悩みがな…………」
ほえ、? とルーはぱちくり、とさせた後、
むふ~、♡
……と、何時ものように表情を蕩けさせて、ほどいてほだいて…………
「ユウタのお悩み! なら、この、ボクがお役に立たないと♪」
「…………」
「ほぇ?」
はたして、俺は、無言であった…………
~~~♪……
「! 、ん、……未依からか、ふぅ」「むむ?」
なんか、ルーのやつは、なにか思い違いをした様子で……警戒の色をだしている。
これは?
「ユウタ、また新しい女性の方の名前ですね?」
「ん??……だとすると、それで?」
「だとしたら! ボクのきょーごーあいてが、増えてしまいます!」
なんだそりゃ?
……俺はしばし考えて、
「おまーにゃ、関係ないよ、」「!!!??」
がぁーん!!!!! ――と、ルーは衝撃を受けたらしい。
とにかく、俺の返事によって、ルーはショックだったらしい。
「うぇっ、うぇ、ぅぇっ、うえっ、うぇ……」
泣きじゃくる一歩手前になったルーであるが、俺ちゃんとしては珍しいことに、今は俺の優先順位はそうではない。
ぞんざいにひったくったティッシュ箱のティッシュを数枚、目の前のルーの手のひらに、おしつけちゃる。 んで、目と手元はMyスマホの方へ。
そうされたルーの側は、さらに追い打ちをくらったかのように、「?!」 となっておられているのであるが…………
「ゆ、ゆうた! ユウタ、どこか、おでかけですか?」
そふそふ、(そうそう)そうよ、
で?
「ぼく、ボク、ぼくですよぅ! ボク、ボクのこと、ユウタは、ともだちであるユウタは、ともだちのボクのこと、わすれてたり、おいていったり、そうしようってことは、ないですよねぇっ?! ね?ね?ひっぐ、ぐしゅ、ぐす……」
そうな、ほなな、……と、さきほどのメールの文面で依頼されたお使い(オーダー)で頭を思考させていた俺は、さらにぞんざいに、そうと返した。
「!?!? ……ふ、ふえぇぇ……!!!!」
「うぅー!! びえーん!!! やだやだやだーーーー!!!!!」
嫌々、駄々っ子、をしだした、だだっこ、ルー……
「行き先が地獄でも天国であっても、いっしょにいきたいー!!!!!!!!!!!」
…………、、、、
「途中でおもちゃ屋と本屋寄るけどな、」「!? ぐしゅ、ぐす…………ついていっていいの?! やったぁ!!やったやったよー!!!」
無邪気にはしゃぐ、ルー。
…………。。。。。。。
ああ、ただ、そんな、楽しかったりどうだったり、みたいな普段のとは、ちげーぞ。
「見舞いだからな……」「ミマイ?」
「そう、お見舞いさ、」
ーーー
……真夏の市街路を、降り注ぐ熱射と、蝉の鳴き声に晒されながら、歩いて行く……
こうなったら、街路樹なんてのは遮熱の役にも立たず、ただ、蝉の止まり木がせいぜいの役目になっているだけのようかである。
目的地には、併設されているかたちで、最寄りのバス停も、あるといえばある……が、このあたりで品揃えの良い本屋を経由するとなると、我が家から歩きで来た方が、多少、利便性がはかどる。
「ふぇ~、ゆ、ユウタ、てが、ボク、手が疲れたよぉ……」
「それみたことかい。
家出る前は、立派な騎士さまならへっちゃら! とかっていうてたやろー?」
「ニホンの本? は、おおきくて、分厚くて、重いですよぅ~~!……」
そうかそうか、……
さて、いつものを買うか。
「! じゅーすだ!」
ガコン、がこん、がこっん……
「? なんで三本買うのですか?」
「そりゃあ、本題のそいつに奢るためにさ。」
「???」というような表情のルーのやつ。
こいつは、いつも末っ子ムーブに慣れてるから、
自分の下の子がいる、という状態に、慣れてないのであるのだな……
そうして、
「ここは……?」
「市立病院だよ、この辺で、一番規模の大きい病院だ」
「すっごくおおきな、建物ですねっ♪」
目をキラキラさせる、この、ルーのやつ。
まあそれはともあれ、自動ドアの先の、エントランスを潜る……
「♡、やたっ、すずしい♪」
病院の玄関ホールの中は、冷え冷えと冷房が効いている……
「消毒液の匂い……」
「病院のにおい、ってやつだな、嗅ぎ慣れてるからなんだってこともないが、さ」
さて、
小児病棟、
402号室……