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8(8/8)-アリエスタのしあわせムコ取り計画…-






 その晩、

 

 

 

 さて、それから…………




 メイドらは、屋敷内の飯場で、夜食に取りかかっていた。



 クロムギ、を、乳で戻した、まるでオートミール未満以下のような、それ。





 おまえら、よくこんなの食ってて仕事できるな……?





「我らホムンクルスはとにかくタフですからね! 

 ネズミや虫のようにでも

 這いながら生きていけるのが我らの強みですので!」



 そういいつつ、



「またこないだみたいなごちそうを、また食べさせてくださいよ!!!!!

 わたしたち、いつもおなかペコペコに空かしていて、毎日空腹で死にそうなんです!」




 なるほどね……





 ならば、と。





     * * * * *





 とりあえず、その次の日は、ルーたちを呼んで、

 腹一杯になるまで、かーちゃんの作ってくれたごちそうメシを、かっくらいまくった!!!




 世界間せどりによって得た利益を、積極的に還元したい、と思ったからだ。




 これというのも、せどりによって、金貨類を得ることが出来るようになり、

 そしてそれを換金することによったお金によって!

 このような贅沢が可能になった、そういうことであります……




 そうして…………









……




挿絵(By みてみん)




 

……ルー、これ、ルーや…… ……おーい、貴族っ娘……




「はわわわわ……すぅ……すぅ…」




〈これ、……ルー、ルーや〉〈おきろ、おきろー、おーい〉




「はわわ………はわわわわ………ぅん、ん……?」




「これ、ルーや!」「おきろ貴族っ娘!」




「へぅっ!?」




 その眠りを中断させたのが、




「あれ……おじいさま、? それとユウタ、ここは、どこ?」



「まずどこか、と聞く前に、人のふともも借りてるって事をどう思うかなんだがな、」「うむぅ……」



「はひ?……あっ、ぁっ、ひゃぁっ?!/////」



 見慣れない内装の、なにかの中……

 そこでルーが気付いたのが、自分が今、ゆうたのふとももを、

 ひざまくらにして寝ていた、という現状であった。


 やや贅肉の纏いが良い肉格好だったので、ふともも肉のもちもちが、良い感触と思えた。




「ご、ごめんなさい!」



「まあ俺はいいんだけどな……、おまえのじいさまが、ひたすら殺気を飛ばしてくるのなんのって」



「孫よ、仮眠はとれたかのう?」



「あ…ありがとうございます、ユウタ、おじいさま、

 ところで、ここは……?」



「この者の邸宅の中、であると、の」「ん、」



「あっ、」



 

 食べ物をたべてたべてたべまくって、ちょうどおねむになったので、隣にいたゆうたに寄りかかった……というところまでは、覚えている。





「寝落ちしたって、ことやね。ふわぁぁぁ……」



「ふわ、ふわぁぁぁぁぁわ……、あぐんっ」



 裕太が大きなあくびをすると、釣られてルーもあくびをおおきくした。


 顔を動かしたところで続けてルーが気付いたのは、己の胸元までかけられた、なにかよくわからない材質だけど……さわったら、どういうものなのかの大体は解った……、とっても手触りの良い、薄手のブランケットが存在することであった。


 体を起こした結果、それが腹のへそまでめくれ落ちていた。




「──あら、おきられましたのね、ガーンズヴァルさんのお孫さん!」



「?」



 隣の部屋は居間であるらしく、そこから気付いて声を掛けてきたのは、眠る前の先ほどみかけた、裕太の母親…おかあさんである。



「ルーや、親切にしてもらえてようかったのう」


「まさかこんな形で、異世界の存在と遭遇するなんて……というか、あの扉の機能が、まさか、こんな、ぃゃまさか……」



 エリルローズおばあさまと、エリルリアおばさまも、そのゆうたのおかあさんとお茶の間で会話をしていたらしい。




「それにしても大変ですわねぇ、おばあさまとエリルリアさん、そちらのお宅が、越してきたばかりなのに全財産を入れた荷物が航空便で別の国に誤配送されてしまっただなんて……」



「そうなのじゃのう? そうじゃのう。ふぉっふぉ」「え、、えぇ、そうですわね……おかげでこの、ニホン? というところが、早くなじめるといいのですけど……」



 これというのは、裕太のついたアリバイである。

 小さいときに灼眼のシャナ読んでてよかった……と思う事しきりの

 嘘の内容であった。



(かあちゃん、俺のついた嘘に乗ってくれて、よかったぜ。だましたようでわるいが……) 



 裕太は一人、心で息を吐いた。



「異国にきたばかりは心許ないでしょう? しばらくはご飯とか、私にできることならお力添えさせていただきますわ!」


「ふぉっふぉっ…」「えっ、えぇ、あ、ありがとうございますわ……お、おほほ」



「えっ!? ごはん?!」「わっ?!」


 

 がばり、と起きたルーに、裕太がのけぞる。



「ルーちゃん、でしたっけ? あなたも体がちいさいから、いっぱい食べて元気に大きくならないと……

 あんまり凝ったモノは作れないけど、ね?」



「わぁ………!」



 ルーはきらきらと目を輝かせてその言葉を聞いた。

 裕太の母親は、そこでにんまりと破顔して、

 


「ゆうちゃん、あんたのおこづかい、ちょっと出していいわよね?」



「親父から正式に予算化されるまでだからいいけど……

 ちょっとってのがどのくらいのちょっとか、によるぞ」


 

「全額つかうわけじゃないわよ! あと、お父さんにもお願いしないとっ♪」





 やれやれ、と頭を掻くしかない裕太。




「御婦人よ、まず感謝いたす。

 この老体に身に余る恩義、深くお礼申し上げる。

 此の度の大恩の程、いたく感謝致しますぞ……」




「いえいえ♪ 困ったときは隣同士、ですもの♪」




 居住まいを正したガーンズヴァルが、

 貴人に賓すような格式的な語調で礼の言葉を述べたのを聞いて、裕太はこれがルーの目指していたものか、と思い出す所もあった。




 休日の早朝。




 そんな最中に、ゆうたのおかあちゃんは、メシの仕度にとりかかる……




 そうして出来たのは、




「栄養味噌汁に野菜のピリ辛炒め、そしてこのドカまぜごはん……」





「元気がでてくるたべものじゃないですか!」





 メイドらは大層喜んだ。


 ギョムスの冷凍焼き肉を混ぜご飯の具にしていて、

 食い応えは、いちおうとにかくある……







「くわしいことはわからないけど、なんとなくわかったわ!」




 おかーさんに、任せておきなさい! と母ちゃん。


 



 費用面の問題は、せどり転売で稼いでる分でまかなえそうなめどが付きそうだったので、今回、こう話を運ぶこととなった…………




 とりあえず、これで、ルーたちの、

 飯の問題も、一段落つきそうだ…………







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