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?????

      * * * * *



その世界は星のかたちをしているか、ともつかない……


余りに物理的に巨大すぎて陸上の交易に限界があり、そこで天空を支配する神と天使と有翼種族が富と投資を独占する、そんな異世界…

アリスティリーフ。


はじまりは、振り出しから、だったのか、ほんものの芽吹きからなのか、

それともとおいところからにげてきたのか、

星の彼方からだったり、

地の底からわき出たものが陸と海と空を満たしていったのか……

そもそも何かのクローンや実験作物が植え込まれたものだったのか、

ことの成り行きは幾つもの叙事詩に残されるばかりで、

今となっては語るモノもいない。


ただ、原始の、

初期状態についてはどちらもおなじ程度のものだったらしい、と。


環境の差が両者の明暗を分けた。


制約のない、天上の世界では、百花繚乱が溢れ爛れようかというほどの、

あざやかで、華やかで、縛るモノのない、豊かさと富の有り余らんというほどの栄華が花開くこととなった。


初期資本というべきか、

高度文明の財産と資産が最初からあったのも大きい。

うまれてからのすべての時間が、豊かさに満ち満ちたものである。


唯一の悩みとは言えば、コストの面で安価にすませられることから、

陸でとれる資源がほしいことくらいであった。



しかし、地上の……陸上界は違っていた。

文明の進みは遅々として遅く、飢えと乾きと不自由さのみが陸上には満ちていた。

たとえそれぞれの地方に優れたひとと優れた良いモノがあったとしても、

この広大すぎる世界では、出会うことも、知り合うことも、

話し合ったりすることも、結ばれることも、

資産や資本として、文化としてすら蓄積されることも、

そのそれぞれが、陸上界の塵芥たちにとっては難しかった。



その困難さ故に、充実した文明と神としてのすばらしい知性と超常能力、

圧倒的な別次元の科学力を持つ天上界の種族たちにとっては、

ビジネスの商機になった。


はじめはその惨めさに、哀れと思ってやったのだろう。

と、軌道往還船運会社の売り込みの口上ではなっている。


自分たちがやってきたのりものや新たに製造した、

天空の船やその他便利な道具やモノの諸々を使い、

陸上界の塵芥たちにそのすばらしい便利さ快適さのおこぼれを、

わずかちょっとだけ、わけて施してやる……


たったそれだけで、地上のモノたちは嬉し感激して喜び、

天上のモノたちには、地上の資源や産品や、ほしいものが、

山のように、昇り滝のように、、

言うがまま思うがままの対価を受け取れるに至った。


地上のものたちは、やっと一枚の世界の上で、互いになけなしのゆとりをわけあえることくらいができるようになった。

しかし、それを実現するための対価…

…神ガミへのささげものを用意するのには、

とても苦労することとなった。


それでも、ようやく文化や産業のかたちになって、

陸上の国々の、発展の萌芽は芽吹きつつあった。

しかし、天上界の神ガミは気まぐれに、

もしかすれば万分が一、今までの態度を恥と思って恐れたかして、

あるいは己たちの投資のマネーゲームの手取りを大きくするために、

様々な故意や作為をもって、人類たちや、その他大勢の種族……らに、

投資と貸し剥がし……まさに資金のちからで、いくらでも思うように、

最上位の支配者として、

改造と実験と試験と破壊と創造と再生と復元を司ることができた。


物流と交易のインフラは自分たちが握っている。

そのことは生殺与奪の権利を独占していることと同義であった。


言うことをきかない連中は、軌道上から質量弾を降らせてやることで、

いくらでも黙らせてやることができた。


しかし、残って抵抗するモノたちもいた。


長い時間の中でふるいにかけられて、残ったのは、種族的にタフな、魔族や魔物、亜人、魔人たちであった。

大まかには神ガミにとってはおぞましいなりたちと由来をしていて、

しかし自分たちか、自分たちとは異なる、地獄や冥界の別の神ガミを信望するその大勢たちを、神たちは好ましく思わなかった。


人類ならば、そのころはとうに諦め己たちに畏れかしこまりかしずき、

文明が何周するまでの程の私刑に掛けることができた後だった。


だが、寿命がきわめて長命な、魔なるものたちは、

とにかくねばり強かった。


そうして、文明の暦の発明さえも、何度かゼロからやりなおして……

何度めかの暦を数えなおして、

人類もその他種族も下等種の謗りに甘んじて何万年もたった頃、傲慢な神種に迫害される魔族や魔物、亜人種に擁立される形で、自国民の安寧と繁栄を第一義としながらも、

民主的な制度を取り入れた“魔王”の治めし魔王帝国が陸上界に誕生。

広大な異世界の各地で分離独立運動が勃発し、

各地で魔王国家が次々に誕生。

なにが起きたか理解してない人類勢を置いてきぼりにした空前の文明化と様々な“発明”と“科学力”で繁栄を手に入れた魔王国家たちは、天界との冷戦状態に突入。。。



悠久の時が流れるかに思われた。

しかし冷戦は長くは続かず、

魔王国家側の度重なる譲歩にも関わらず、天界は一方的に宣戦布告し、天空と宇宙を治めし神々は軌道上からの爆撃を作戦とし、

自らたちが使役する人類や保護下の種族たちを軍事化し、陸上から進行させる終末戦争が発動!

なんとかして、勇者によるカチコミによる魔王殺害により、多大な被害を遺しながら戦争は魔王国家側の敗北で終結する

しかしその先は暗黒だった。

近代発展の原動力であった魔王国家滅亡により、

文明的・文化的進化発展の速度は目に見るも無惨に停滞・衰退。

かつて友好期間時に買い入れた、畑を耕す農工機すら稼働不能になった

人類勢に残されたのは、

神種らからの天界由来交易と物資の制限化・関税率の大割引き上げという無慈悲な通告と、

民主的多種族繁栄社会から敗北し、

奴隷以下の立場に押し下げられた

かつての旧魔王国家の元市民の捕虜たち

そして手に入った“だけ”の、なにもない、

未開の広大な大地と領土…



そして終戦から半世紀以上。

魔王を打ち倒した勇者は名声と名誉と財宝と領地を得て、伴侶と子宝に不足することなく

多くの家族を自分の家庭の身に入れるに至った。

しかし、いまわの際に魔王が放った呪いによって、

自分の子供から以下末代までは女しか生まれなくなってしまった!

そのうえ与えられた土地は、かつての魔王国家との戦争で激戦になった決戦回廊地帯!

その領地をなんとか豊かにしようと交易路の開発に至ったものの、利に焦った隣国の開拓植民国家と、いまいちふがいない自らの宗主国である帝国との紛争を誘発!

そうして四面楚歌になって財宝もあらかた尽きたころ、

生まれた末の孫は、なんとかつての魔王国家の魔王と同じ加護と特殊能力を持っていた!

そんなところからさらに時間はやや進み、

宗主国本土からの貸し付け資金引き剥がしと債権回収業者と化した御用商人からの取り立てからの回避の策として、

その孫(女の子)を男装させ、

一族唯一の跡継ぎになれる男子

として擁立したことでなんとか破産を免れている状態、



そしてその男装っ娘な孫がある日お腹をペコペコにさせて屋敷の裏地をさ迷っていると、

魔王国家が試作して遺棄した異世界(現実側)との往還扉がつながった、現代日本の主人公と出会い…

という所で、物語の冒頭に繋がる…というのが本作の冒頭までの出来事である。




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