8(8/10)-かみ?紙?神!-
投稿ミス!
もうしわけない…
* * * * *
異世界勢が一同に面している、
その衆目には無関心かのようなそぶりで、
テュポンはゆうたに、“商談”を持ちかけたのだ。
「ワタシと、商売シテみないかね?」
「はぁ…、…?」
「この用紙を、一枚あたり、小銅貨二枚で買い取る。
これは一冊あたり、何枚入りかね?」
「五百枚です」
「つまり、小銅貨にして千枚、小銀貨にして十枚がいいかんじネ。
これは小金貨なら二枚になるネ。
そして、その紙の束はいくつ用意できそうカ?」
「ざ、在庫があるかぎりいくらでも、ですけど……」
テュポンの目に怪光が光った。
「買えるだけ買わせてもらうネ。はやく用意するヨロシ!」
「え……え……っ、」
とまどうのはルーテフィアのみだ。
すかさず、口を開きかけたゆうたとテュポンの間を遮ろうとして、
「ゆうた、ゆうたは、あなたのそんな甘言には……!「テュポン……さん、乗らせて頂く……いや、全力で換金お願いします!」えっ、?」
ゆうたは一諾した。
「えっ……そのっ、ゆうたっ」
「ルー、俺ちょっと現代の方で紙買ってくる。
メイドたちも一緒に着いてきてくれっ!」
「そんな……ゆうたっ、ねぇっっっ、なんで……」
ゆうたの行動は素早かった…………追い縋るルーを残して、
「ゆうた様、我々はガーンズヴァル様のメイドなのですが……」
「そうですよ! 畜生顔っ」
「いや、」
目に涙を貯め始めたルーと、口々に不満を言明するメイドたちを、
ガーンズヴァルは制止し、
「いや、……手伝ってやってくれ。。」
「ご主人様っ」「そんな!」
メイドは不服ながらも、主人の命令に背くことはできず……
ゆうたに着いていった。
部屋の中には、悄然としたルーの姿と、無言のガーンズヴァル、
そしてテュポンとその娘のアリエスタのみが残った。
そのうち、アリエスタとテュポンは互いに耳打ちをし合い、
「ちょっと、お父様……」「なにネ、我が娘ヨ」
(この紙の品質、見たことないくらいにすばらしく高いわ。
でも由来不明で、買い付けるにしたって、只でさえこれを買うお客さんへの説明をつけられるかどうか躊躇うような代物なのに、
相場を勘案したら、始末に下手をした場合は、銭を無駄にするのも良いくらいの値で買い取るなんてっ)
(ムスメちゃんヨ、そも、今回のこの一件については、
エルトール本国のアヴトリッヒ領の正式領有組み込みから五十年のちょうどの今年に、
換書を書いて本土に収めないといけないのは、このガーンズヴァル屋敷以外にも、このアヴトリッヒの土地の他の高級市民や有力者たちも同じダトいうことは、ココ近日の前々からアーシの様子をみてたムスメちゃんなら知ってると思うノーネ?)
(あっ…たしかに!
紙の現物の保有在庫が足りなくなるかもしれないのは、わたくしたちハーレンヴィル商会もそうでしたわよね。
それを見越して、今回わたくしはルー様ゲッチュー作戦を立てたわけだけども。
つまり、あの黄肌人とのトレードは、このわたくしたちにとっても、助けになり得る、ということ?!)
(そのあたりはムスメちゃんには言いたいことアルけど、まあそういう事ナノーね)
テュポンは目をギラつかせて、…アリエスタの瞳にも同種の光が光っているが、
(商売人は、新しい顧客との最初の取引はニコニコ満足両お得、
双方損はさせず、
あくまで益だけがあるように話をつけるのが肝心なノネ
特にこれは、ウチとは初めてのヒトとの初めての商談ヨ、
カレにウチのお客さんになってもらうには、最初の投資が肝心ネ)
(ウチの取引相手に?! あの男を!?)
そうしているうちに、しばらくしてゆうたとメイドたちが、
大量のコピー用紙を乗せた台車を複数連れて、帰ってきた。
「では、お約束の代金なのーネ、」
「…………」
その金色の輝きが、テュポンからゆうたに手渡された…――
テュポンから支払われた、金の硬貨……エルトール国造幣局小金貨が
その手の中に握られている。
「一冊あたり、小金貨二枚になった……」
ガーンズヴァルにあげた分を差し引いた分、
近所のホームセンターで、疑い半分、五冊を追加で買った。
そうしたら、本物の金貨が、小ぶりなのが十枚、手に入った。
「………………、、、、」
これは、いけるんじゃないか……?
ゆうたの中に、“せどり商売”の欲が沸いた次第である。
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