1(1/10)-かみ?紙?神!-
連続日間更新中でございます…
ごゆるりと…
さて、そんなアネキ……優依ねぇ……といもうとさまが、退散していった、その後のことである。
「ちゃんぽん、おいしいですね♡」
「この即席麺のちゃんぽんは、旨いよな~…………」
ルーのやつとともに、そんな感じで、昼食のちゃんぽんを食べながら、その後のことを考えていた。
「うーむ…………」「どうしたのです? ユウタ?」
懸案、というのは、昨日の換金物品の件についてである。
結局……ガーンズヴァル爺から頂いた物品は、どうにも扱えないシロモノだったので、そのまま封印している。
なので、本日からしばらくは、ゴウカなゴハンは、ルーに振る舞うことが、できない…………
きょうなんてのも、今啜ってるちゃんぽんには、具が入っていない…
即席麺を、具無しで!
うーん…………
おかねを使わず、楽しめる方法は、ないものか……
「……ところで、これって?」
「ん?」
ちょいちょい、とルーが指で指したのは、
床の座布団の上に置かれた、
母親が愛読している、四コマ漫画雑誌であった。
「何って、ヨンコマ漫画雑誌だよ……ほら、見てみ。」
「おお☆」
開いてみて、パラパラパラ……とめくってみる。
4コマ漫画というのも、良いものだ。
「どうだ? これが現代日本のポピュラーエンタメメディアのひとつ! って……」
「あぅ?」
……──そうか、漫画だ!!!
まんが、マンガ! そうだった……漫画である。
ひらめいた俺ちゃんは、早速行動に写した。
………………というわけで、
「わ、ぁ、ぁ………………!!!!!!」
そう思い立ったら吉日、ということで、
俺は自室にルーを入れて、
俺ちゃんズこれくしょんの、秘蔵の漫画たち。
それらを総動員していた。
そして…………
ラノベもあるぞ!!
「! 物語の本!?」
そう溌剌としながら、ルーのやつは、その漫画と小説のいくつかを手に取り、
「
本、だいすきです♡
はわわわわ……/////////」
本当に楽しみに、という感じで、その内容を読み始めた、ルーである。
なのだが、
「はわわ……わ、? ……………………」
ルーのやつは硬直して、
俺に、ずい、と、自分の両手で開いたページの見開きを、見せてきた。
「………………、、、」「………………。。。。」
…………異世界人は、こっちの文字は、読めないのか……
そうしたら、ユウタも、ボクらの世界の言葉の、綴り文字はわからないのでしょうか……?
うぅーむ、ムゥ。
適当にメモ紙を取り出し、
こんにちわ、という文字を、書き合ってみる……。
「…………、、、、」「…………。。。。。。」
……互いにそれぞれは、読めなかった…………
*****
「……~~!~、、、」「………………」
……
「ぇ、えぅ……、……あ、はぅっ?!//////(こ、これは、ひょぅとして……ユウタに甘える、うってつけのちゃんすだっ……)こ、こほん、コホッン……えふんえふん、//////」
がーん!? とショックを受けたルー……というのも一瞬のことで、
矢継ぎ早に次の考えが思いに浮かんだらしい。
そうして、なんとも怪しい息間使いの区切りでルーは……
「……//////
そ、そうしたら……//////」
ルーはなんとも怪しい企みを、
脳裏の絵図に浮かべたのだ……という雰囲気?のはにかんだ笑顔になり、
「よみきかせ、お願いしますっ! してくだくださいっ♡」
そうおっしゃるルーのやつ。
直後にそう声を掛けられてきて、
うん? となる俺である。
「ねぇっ、読み聞かせっ♪ ユウタ、読み聞かせしてくださいよぅっ♪」
ルーの奴はこんなかんじで、読み聞かせ、というのをオレにせがんできた。
「まー? ふむ……やっちょるけ。
妹たちがちびっこい頃はようやっとったし、
おまえさんというちみっこにも、やってあげようじゃないの……どっこら、せ、っと」
むー? なんだか、侮られている気がします。
「ええがなええがな……、ほな、何読みたいか?」
「むぅ、……まあ気分は変えて、そうしたら、ですね!」
ルーのやつが本の山から見つけ出したのは、
俺もダイスキな、往年の名作漫画「パト・レイヴァー」だった。
「ふむふむ? つまりこれは……」
「そうそう、んでんで……」
単行本版と愛蔵版を両方持っていたので、
ルーと俺とで片方づつを、同時併読しながら、俺が紙面のセリフや吹き出しを読み上げていく……
「ええと、ええと……?」
「あ、待て。読み飛ばしが起きてるぞ。ええとな、そっちでその話のページのだとしたら……ええと、こっちではこうで……」
「えぅー……?」
……のだが、
二人でそれぞれの本を読みながらであると、まあ巻の収録話の違いというのがあるわけで、
そうなると、スムーズに読むのに混乱が生じてしまい……
「………」「……、」
「……近いな」「ぇぅっ?!////////」
気づけば、同じ本をふたりで同時に読む始末。
俺の直ぐ側に、ルーの顔が至近に位置していた。
このときなんざ、あぐら座りで座った俺の足の上に、ルーのやつの腰を座らせて、読み上げをしていたのだ。
さながら、二人羽織の姿勢である。
ルーのやつの、薄い肉付きではあるがそれはそれとしながら、もちもちとした柔らかい尻たぶが、なんとも言えない……
(はわわ……////// ユウタに抱っこしてもらうの、とっても居心地がいいですね……//////)
なにやらの気配を放出しているルーのやつであるが、それはさておき。
……のであるのだが、
「はぁー……それにしても、疲れた……」
「えぅっ?!!///////」
ルーのやつは重量は無い感触ではあったが、
しかし、すこし疲れてしまった……
俺は視力が悪い方だ。なので、ルーの顔の前にある漫画本の吹き出しを見るので、だいぶ集中力を使ってしまったのだ!
なので、退いてくれ、と俺はルーのやつに手差しする。
「ええと、ええと、でも、ボク……ユウタに抱っこし続けてほしいようっ!!」
「何にそんな必死なのよ……?」
一方で、ルーのやつはイヤイヤまでしだした。
嗚呼、やはりお前はおこちゃまやな……と俺は内心思いつつ、
「……あっ、あっ、! そうしたら、!」
ん?と俺ちゃん。
なんていうことはなく、ルーのやつが、動きを見せたからである。
前から、ルーのやつは、首からブローチをかけていた…………
ルーは、
そのブローチを、手に取り、……────
ぴかっ!
「ぅぉおっ?!」「むふ~、♪」
何、とも言える刹那も無かった。
貴族っ娘は、胸元のオーブのはめ込まれたペンダントを、
唐突に、俺の顔へと触れさせた。
とたん、ピカァ!っとオーブが発光したのが次の瞬間だった。
思わず尻餅をついて……否、座っている姿勢から、さらに仰け反ってしまった。
うろたえてたじろぐ俺に、ルーが説明をしてくれた。
「あなたの語彙をこの魔石にコピーして、作った辞書による
翻訳魔法をつかいました。ボクの使える魔法はレベルが低いけど、それでもだいたいの理解はできると思います。」
おどろく俺への説明はそのような感じだ。
あーもう、なんだかワクワクする気分も吹っ飛ぶほどに、次から次へと驚かせさせられる……
そうして、こっちの文字が、読めるようになった、ルー。
「紙の本がこんなにたくさん/////////」
片っ端から、読破していく……かの如くの勢いで、
猛然と本を読んでいくルーであった。
そうそうそう、
それで、俺ちゃんのとっておき、よんでみてーな。
「マンガ……、?」
近藤和久の、ジオンの再興、を読ませてみた。
DOKDOKDOK!BAGOOOOM!!GOKUROUSAN
「すっごい……! これが、これがこの世界の戦闘兵器なのですか?!」
いやいやまさか、と伝える。
「ふんふんふん♡ ふんふーん……♪」
すっかり、どはまりした、ルーのやつ。
……その間から今も、俺のあぐらの上にルーは座り続けているわけだが……
そんなルーの奴は、ロボット漫画ものを、的確によみながら…………
「………………、、、、、」
なんだかそわそわし出した…………
ふーむ、…………、、、、、。。。。。。
「絵を描きたいのか?」
ルーの気配が、ぴたり、と固まる。
………、、、
用意をした。
「はわぁぁぁ………!」
用意されたそれに、ルーの奴は、
まるでこの世で最も一番高価で貴重で豪勢な贅沢品が目の前に、
山のようにたん、と積まれた、
というかのような衝撃の受けようをしたらしい表情で、
驚愕しながら固まる、という器用な事をやってのけていた。
「コピー用紙ってやつだよ。それから、ストックしてあった俺のボールペン……へんなかおするなよ、新品だぞ?」
「うえ、うえ……うえ……」
ん?、上?
「──うえしいっ(嬉しい)! あ、ありがとうございます!」
とんでもない喜びようである。
それから、一時間半ほど。ルーは、
俺とともに、落書きお絵描きの時間を、楽しんだ……
そうして、、、……
「ユ、ユウタ、楽しいひととき、ありがとうございました!」
俺はみたことないが、卒業証書を渡す先生かのような、
まるでこのペラ紙に壮絶な重みが掛かってあるかのような
しっかりとした持ち支え方で、……顔には脂汗もかいて、
この使用済みの紙を、緊張したかしこまりようで、こちらの手へと、
「………、、、、」
ずぃ、と渡される。
「紙をお返しします……
このような貴重品を、ボクに使わせていただけて、ありがとうございます。
ボク、夢のようでした!」
お返しするってもなぁ、
ボールペンでがしがし描かれたやつだし、
それはこっちも困ってしまう。
この五百枚綴りの徳用コピー用紙のおねだんを伝えてみた。
「……カラァゲベントー、ひとつ、と同じくらい?! 大金じゃないですか!?」
すっかり、1カラアゲベントー=五百円、
イコール、大金。
そのような図式が、ルーの中では立ち昇っているようらしい…
まあそれはともかく、
「えぅ、? ほんとうに、いらないのか、って……?」
「ほ、ほしいけど、ほしいけど……でも、、、でも…、………」
俺ちゃんからの混ぜっ返しに、途端、狼狽してあわあわしだす、ルーのやつてある。
「そ、そうしたら……そのぅ、何枚か、頂いて、よろしいでしょうか……?」
うむ、そうおっしゃられるのを待っていた。
のだが、
「……これじゃあ、気楽に頼みすぎだよぅ!? ぼ、ボクの、一生掛けても、こんな機会、あるかないかなのに……!?
ちょ、ちょっとまっててね、ユウタ!
ボクが、この、おじいさまの孫の、このボクが、!
ふさわしい喋りと口調で、いいなおすから……あ、あわわ、あわ、ふぅ、すー、はー、、、……」
オイオイオイ……
「あふっ……その……ゆうた、」
ふむ、?
「お願いとして、改めて言わせてください……。こう、きょうまで何度もたよってしまってきているから、心苦しくて……もしよければでいいのですが!」
うん、
「紙がほしいのね?」
ルーテフィアは笑顔で、こくり、とそううなずいた。
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