8(8/8)歩幅を越えたその先に?
はっ、と意識が中途覚醒したのは、
はたして…何分後?何時間後? のことであろうか。
「…… っ………/////」
覆いかぶさってきてる!?
密着されている…?!
目を、目を開けねば……とも思考したわけだが、し、しかし、
目を開けるのが……こわいっ!
な、ななな、ななな何が、なにが起きてるんでしょうかねぇ……????!
なんか、荒い息の声が聞こえてくる…ルーのやつの
そして、
なんか、湿度と温度のあるぬるりとした液質状の質感が、
熱っぽい素肌の肉肌の感触に、絡むようにして組み合わさって、俺の指先には感じられている…
な、なにがおきているんだ?
「ユウタ…ユウタ……/////……え?」
そうして俺を覆いかぶさっていたルーが、俺の意識が覚醒していたことに、今、気付いたらしい。
「…?! あ、あわわ…、…!…〈睡眠魔法〉」
ふ、フガァ、……。。。。
そうして、翌朝である。
チュン、ちゅん、
……雀に似た異世界の鳥? がさえずりを鳴いている…
確かめてみる…。
……
なんか、カピカピしている…
あと、生臭い。
ただ、これについては、どうにも、男のジェントルメン・スメルとはまた違う系統の……これは、ナンダ?
コレンナンダー。
「ユウタ! おはようっございますっ!!////
きょうもすばらしい一日のはじまりですねっ!/////」
ふおっ?!…ルーちゃんが、朝の洗面から、部屋の扉を開けて戻ってきた。
そうして、まだあったのだ。
そのまま、勢い任せ、というかのように、
飼い主に懐いている猫か犬のように、
あたまをぐりぐりと押し付けてくる。
…俺の胸ぐらへと……
「ユウタ、ゆうたっ///// 昨日も、素敵な一日だったよねっ/////
おなかがすきましたっ、ごはんをたべましょう!
今日は何を作ってくださいますかっ?/////」
なんか、精気を吸い取った、というかのように、
生気に満ち満ちたルーのやつ…代わりに、俺ちゃんはなんかドレインンゥ…されてしまっているような、さ、錯覚?うーん…
「? どうしましたか? ユウタ…?」
あ、あのー、そ、それでなんですけどもぉ、
……なんか、ルーの目の色、というか、俺のことを見る……目線、というか、目つきが、
昨日寝る前までのあの純粋なおこちゃまだったときから、なんか、なーんか、なんーか、少し違って見えるんだが???
……
人間、考えないのがいいことって、人生生きてりゃ、あるよね!
いや……なにがあった…おきた……?
ま、まあ、まああああ……
……、
…やめとこ。
「ゆ~うたっ、!//// きょうは、なにしてあそんでくれますかっ/////」
ふぉっ?! ふたたび、抱きついてきた、このちみっこ…ルーのやつ。
そ、そうだ、そうなのだ……
俺ちゃんは、このおこちゃま専用の、プレイメイト、としての仕事についたばかりなのだ……
このまま永久就職できたらいいですねぇ(涙)
「…そのとおりに、ボクならできるからねっ?
ユウタが、そう望んでくれるならっ……
…今は望んでないつもりとしても、ユウタの心は、そう遠くない日までに、ボクがかならず、手に入れて見せますっ」
そんな折に小声とボソリッとルー様は。
んん????
な、なんか、なんか申された…????
ルーさんや????
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さて、ルーとそういうことがあった日の、それに至るまでの昨晩……
……コン、コン……
「くそあにき……ばかおにぃ…おに、ぃ……zzz」
舞依が寝た頃合いを見計らって、来てみたわけだが……
おお、さすがちみっ子、ちゃんと寝ておるわ。
あねきどの~
「 おお、
わたしのごはんを持ってきてくれたんだね…ありがとう。」
ポークジンジャー……豚肉の生姜焼き、
しろめし、味噌汁、
それと、
夕飯のポテトサラダ、
それをアレンジして、
ピザトーストの具にして、あねきへと持ってきていた。
あねきの机にお盆ごとそれらを置いたとき、
あねきと……俺は、目が合ってしまった。
「 ゆーくん、
やっぱり、いけないことなのかなぁ、」
どうなのかね、……まあ、時間が経ったのは、確かっす。
「…わたしたちが、家族になってから、いままで。
今は、もう?
それとも、昔から、ずっと?」
……
どうでしょうねぇ……
「 ……
ありがとう。また明日ね。」
ゆいねぇが喰い終わった頃合い見計らって、また後で皿取りに来るぜ。
「 うん、……」
…………
あねきどの……
……いかんでしょ、本当に……
この時のユウタは、翌日の事を考えるのに精いっぱいで、
いまこの瞬間の出来事というのには、無頓着な隙があったのだ。
そうして……
ガーンズヴァル屋敷で、ルーと共に一晩過ごした後の、翌日の朝……
「ゆーくん!!!!」
ほ、ほわぁっ?!!
「ゆーくん、昨日がああだったから、わたしのことを……!」
い、いやいや、そういうことではなく……
「そうか……! よかった……」
そんなゆいねぇは、すん、……と、俺の手の匂いを嗅いで、
「……これは……?」
な、なんでしょう???
「……くく、」
ん?九九? 八十一、……ってそうじゃないって、そう?
「くくく……あはは、ははは、あはははは、あーーーーーははっはあ!!!!」
ひぃ?! あねきどの、どうしたっ?!!
「ふふふ、くくく……ゆーくんを掛けての戦い、ということか……受けて立とうじゃないか。く、くく、くくく……」
あねきどのは黒いオーラを背後で迸らせて燃やしながら……
(……ゆーくん、おとうとくん。……最後に君を手に入れるのは……わたしだからね……?)
ひ、ひぃっ! いたい!
そんなに強く、俺の手を握らないでくださいぃぃいい……
……こんなわけで、徐々に変形を始めた俺ちゃんの日常であるらしい……
おれちゃん、どうなる?!!!
(つづく)
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