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7(7/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓 TAKE 2-

###7(7/8)-アヴトリッヒ家の華麗なる食卓 TAKE 2-



 まず言おう。

 パット見からして、ボロなのであって。

 

 

 さて、その全容とは?

 




 直感が鋭くなる帽子、


 空中を歩ける靴、


 着るだけで力持ちになれる服。


発熱・リラックス効果のある靴下。


傷や穴の空かない…これは…布…? つまるところの、ハンカチーフ。


 服が透けて見えるようになるメガネ……(なぜかルーの下着には効果がなかった)




「……どーやって換金せぇ、っちゅーねん?!」







 かくして、これら異世界アイテムは、

 俺の部屋の押し入れに、厳重に仕舞われた……





「あーああ、」




 そんな翌日であったのだ。

 俺は、やけっぱちも込めて、粗っぽく布団に身体を寝転がせた。




「ルーのじいちゃんとばっちゃんは“こんなガラクタでいいのか!?” って驚いてたけど、

 正直、かかってる魔法が本当だとは想わなかったんで、

 逆に、扱いにこまりますわ~……」



 リサイクルショップとかに持ち込めば、ワンチャン換金できるのではないのか~?

 と思っていたら、これである。


 ま、それはさておき。

 一応深夜までには帰ってきて、そこから八時間は寝た…ので、

 今のおれちゃんは、まあリフレッシュという意味では、過不足なかった。



「とはいえ? だ。まあ、これに関しては、アタリ…だよな……っ」




 そんな俺ちゃんは、実は、いつになくリフレッシュしていた……

 それというのも、

 ガーンズヴァル屋敷でゲッツ☆してきていた、

“快適・安眠・リラックスの効果が付与された、魔法の枕”、

 これを、昨日一晩掛けて、自分自身で試してみたのだ…。


 兼ねてより、俺には不眠のケがあったのだ…


 であるのだったが、おかげで快適リラックス!

 いつもなら今まで晩に寝るたびにうなされて居た悪夢の類も、一切見ることなく、今日の朝を迎えられたのだ。

 というわけで、目覚めたばかりの俺は、大きく体をのび~っと伸ばして動かし……





「やぁ、今ひまかい?」





「うわっ?!」





 とつぜん、部屋の扉が第三者によって開けられたのだから、俺だってびっくりする。




 振り返ると、そこにはセミショートの髪を整えた、

 痩せがたの女性が立っている。



 なにを隠そう、俺のねえちゃんだ。

 





「なんだよ、優依姉えか。その唐突に現れて入ってくるの、やめてもらえませんかねぇ……?」



「何だと。

 弟くんがなにやってるか、気になるのは姉として当然じゃないか。」




「なんというか、ねぇ……」




 今日も平行線、ですか。



 あの妹あってこの姉あり、というか、


 やめーや、といっているのを、わかってくれないのだ。





「好奇心猫を殺さず、わたしの前に道がある……ふふふっ」





 シュレディンガーの猫のおはなしを知っているのだろうか?と聞きたくなる。



 俺だって、健康な男子なのだから、生理現象というのは常にあるものなんだぞ!




──……といっても、この姉には無駄であろう、と、

 俺は今までの人生でわかっているのであるが……





 ん? そうか……




 ならば、と。





「優依ねえ、ちょっくら賭けをしないか?」




「なんだね」





「シュレディンガーのなんたら、だ。内容は簡単、」





 ほぉ、





「俺は、いまから……そうだな、優依ねえの下着の色を当ててみよう……このメガネで、」





「むん? なんだ。

 わたしの日々の下着くらい、弟君には、常におしえてあげても、なにも減るモノがない、むしろ望ましいとさえ……






「上は水色、下はしまパン……黒とピンクの、」







 ……ほほぉ、……、……。……」








「………………」





………………




「………………。。。。。、、、。。」





「………………その手品、とやらは、本物のようだね………………」




 なんだかなあ。優依ねえは、すっかりしおらしくなってしまった……


 な? こうやって、なかなか人間らしいところも、あるんだよ。


 

 我が家のアネキは、けっこー、というか、へたれ、なのである…………




 直後に俺の脳天に、あまり痛くないぐ~ぱんちが見舞われたわけだが。




^^^^^^^^^







「ふむ、ねぇ……」




「そうなんだよなーーー」




 呻吟する俺ちゃんに、ゆいねえは、知的な光を、俺へと向けるその双眸の目の中で、くゆらせていた……




 というのも、





「実はな、聞いてくれよ優依ねえ。

 この家の勝手口をこないだ直したんだが、それが異世界とつながっててな……」




「……ほぉ、」



 たまにネジが外れるが、ゆいねえは基本、沈着冷静な人間だ。

 その上、優秀かつ秀才で、現役の大学生なので、目端が効いて、知力があり、頭も切れる。


 ほんと、我が姉とするには勿体ないくらいの人物だ。


 その姉貴どのは、知的な光を宿した目と表情で、再び口を開いて、





「賭けの取引がなんだ、とおもったら、なんだ。

 ほら話に真面目にこたえてくれ? と??」




「そうなんだよ、」




 ふむ、……




「どうやったら、現金回収ができるか???」





「そうなんだよ、………………」





「ふーむ…………」



 ゆいねえの回答は、スムーズに返されて、



「金とか銀とかプラチナとかの高価な貴金属は、額次第で調査が入るから、なかなか思い通りには、ならないそうだよ…………」




「なるほど…………」




 なるほど確かに……

 親父とかかーちゃんの縁で知っている買取店はいくつかあるけど、金とか銀とかプラチナだとかの単刀直輸入では、

 そうそうにボロがでる、っつーことだな。ふんふん、

 

 

「なのでね、おとうとくん?」

 

 

 すると…そこで、ゆいねえはさらに言い及んで、




「銅、とかどうだ?」




「銅……」




 そうだ、とゆいねえ。




「家電リサイクルショップとかで、

 売り物で捨て値の中古電化品やジャンクや、バラけて売られているケーブルから、

 外皮を剥いて配線等を摘出し、


 その中軸の銅線を取り出して、それを換金しているモノも、居るそうだよ」





「なるほど…………」





「ま、それも、相手の文明世界が、どの程度の工業力と発展度をしているか、もっているか、次第だろうが、ね…………」



 なによりも、勝手口を経由する都合上、あまり量を持って出たり入ったりもできないだろうし、ね、と。

 



「さすが大学生、詳しいなあ……」



「おとうとくん、というおとうとがいるからこそ、だよ?」








 ほめられてるんだか、どうなんだか…………


 そう俺がやっていると、ノンノンノン、とあねきは続けた。

 

 

「わたしも興が乗ってきたぞ。まだまだお金儲けの種はあるとおもう」



 いいねえ! ぜひとも聞かせてくれい。



「ふむ、ならば行こうか…いちばんいいのは、向こうの特産品、それも現実現代のこちら地球側に被るものない、独自の産品、

 それはこちらからのものにも言える。

 それを異世界とこちら側とで、相互にやりとりする……とかだとかね、」

 

 

  ほお! 夢があるぜ。

  

  

「中途に勝手口の扉という制約限界があるわけだから、いち、を持ち込んで、じゅう、とかにできる、持ち込み・持ち出しの際に、体積がかさばらず、展開して広げられるようなものが、いいだろうね。

 此方から向こうへ、というので、鉄板どころなのは、まあ、イモだとか、豆だとか…の栽培物。


 対して向こうから持ち込めるだろう物は……たとえばポーションとかエリクサーだとかの、

 そうだなあ、濃縮原液? みたいのがあれば、あるいは作れるのなら、用意できるのなら…それとかがいいと思う。


 とかく、それをこちら側から持ち込んで、向こうで商売を行い、

 さらにそこから、それで向こう側で、資本の蓄積を行う。

 それを基にした元手を用いて、新製品の開発や製造生産を行うとか。

 これは、向こうとこちらの、両極でね」

 

 いいねえ! それっていうのは、例えばなにがあるだろうか。

 

「それというのは…なにがしかの……そうだな……

 現代地球こちらでは絶対に作れないような、そうだ、その…なにか…、

 うまくは思いつかないが、

 例えば錬金術や魔法を用いた製品、

 それを向こうで作らせて、

 それを、こちら…現代地球で売りさばく、とかね。

 これなら、うまくやれば、こっちとむこう、両方の世界で、商売ごとを行うことができるだろう。

  そしてこれを基本スキームにして、どんどん自勢力の拡大と拡張を、行っていく……とかね」



 なるほどなるほど、



「でも、モノのやりとりには限度があろう。

 大きさとしても、規模としても。

 だから、我々現代の地球でも行われている、半導体だとかの高付加価値品、これの製造と輸出、みたいな成り行きも、もしかしたらやりたいところだね。

 あとは…情報化社会といわれて久しい現代なのだから、

 通信や情報のやり取りで、それに価値を付けて、財をなすすべを見つける…とかね」



 なるほど…すばらしいアイデアたちだぜ。



「そうかい?」



 ふむ、と優依ねえは相槌をうちつつ、

 目の光がキラリ、と煌めいたのはこのときのことだ。




「ところで、そんな質問をしてくる、ということは、そうした要素の出てくる、素人小説かなにかを始めるつもり、ということかな?」



「あ? あ、いや、ちょっと…ちょっとな……」



「なんだね、推敲と寸評とアドヴァイスの相談役は、私なら幾らでも受け付けるよ。

 おとうとくんの創作活動は、この姉としても、ぜひとも応援させてくれ…

 それとも、…最近おとうとくんが、急にごはんのおかずを、どこかにへと密輸したり、

 最近おとうとくんが私への構いを欠くようになって挙動不審になっていたり、

 それとも、なにやら友達を家に呼ぶようになった、と舞依がいっていたが、もしやではないが……」



「い、いや、本当に、なんでもないんだって、ほ、ホント……」



「ふむ……」




 尋問が始まってしまったわけだが、俺は冷や汗をかくしかなかった……



 すると、





「む?」







「あねきー、小説すすんでるかー」





「?!///////////////」





 いもうとさま……舞依も、顔を覗かせたのが今この瞬間の出来事であった。


 そうして舞依がその発言をした瞬間、

 アネキ……優依ねぇは、顔をたちまち紅顔させて、





「……何を言っているんだろうね、この、妹は………………………は、は、は、………………」



「ぐぇっ、へぐっ、?!」




 舞依にアグレッシブなすきんしっぷ……なのか?……片側の腕で舞依の首をロックして、もう片腕からのぼでーぶろーが、なんはつも妹の腹に炸裂していく…………を取りながら、優依ねぇは退散しようとしたらしい。





 のだが、








「……ものがたり、を書かれているのですね?」




「!?」






 なんと、舞依に続いて、ルーのやつまで現れていた……


 そうして、ルーは、優依ねえの手にぴと、と自分の手を触れさせて、

 

 しばらく、瞑目し…………





 目を開いて、






「………………なるほど、ですね………………」





「な、なにをする」





「………………なるほど………………」




「何をみたんだ。」





「ふーふ~ん~…………」





 ルーのやつは……

 なんで、にやけたジト目であるが、…敵意の眼光が宿った、その表情を優依ねぇに向けている?



 ともかく、そのような始まり方になっており、





「な、な、な、………………」





「……なるほど、“義姉さま”……

 貴方の、創作活動は、その即座かつ即物的には解消のし難い部類の、フラストレーションの解決のためのものであって、

 その秘めた願望と欲望は、

 おとうとさんと、もっと仲良くなりたい、というものなのですね……??

 “おとうと”さん、と…………

 それはもう、穴の奥まで、しっぽり、と」



「………」



「ボクにはみえちゃいました…みえちゃいましたよ…

 義姉さまと、ユウタとの、すとーりぃ、いままでの経緯と馴れ初め、

  そして今日にいたるまでの日々……

  それでもって、今は以て、こうなんですよね?

  ボクには…できちゃいますよ…」

  

  

「い、いったいなにだね、」




「おとうとさんに…ユウタに…知られたくは…ないでしょう…?」



「!」



 あーもう、いったいなにをはじめておるのだ? ルーのやつは?



「…………は、ははは…………キミは、このわたしを脅そうというのか…………」




「うん。ボクは、ボクとユウタの親愛の路の邪魔になりそうなモノは、優先的かつ積極的に、撃破できそうなものから、見敵必殺、を心がけるようにしたいんです。

 ここ最近は、とくに………。。。。。。

 いやー、ボクもフラストレーション、というやつですか? それが、もう、たまりにたまっていてっ…

 特に、いまの状態なら…ボクでも、あなたには、勝てそうだから……」




「ははは……そうかぁ…………」





「………………ただじゃすまさないぞ、餓鬼。」






「ふふふ~~~ん♪」








 あ、あかん、……この俺の、精神ヒットポイントが…………エンプティに…………






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