ブロイダ市解放戦!〜主人公×ヒロインコンビの活躍話〜(2/3)
《な、なんだ、あんたら、この、カビ色のゴーレム……?
確かにエルトールの紋章は書かれているが、
あんたらは、一体?!》
「おっ、守備隊のみなさま方ですかい?
助けられたみたいでなによりですわい!
ふーむ、あたくしらどもはですわね……」
「ユウタ、?」
入ってきた通信に、俺ちゃんがそう気楽におしゃべりしようとしかけたとき……ルーがそう言付けた。
「次、来るよ。……この通りの、正面。
三個向こうの横路地から、」
「りょうかい……!」
そうすると、ヤッコサンもしびれを切らしたらしい。
ルーの予言した通りのシチュエーションで、
前方の路地に、三体のゴーレムと、火器持ちだったり戦闘魔道士の、敵の兵隊達が、
スクラムを組んで銃撃を掛けてきた!
……DODODOK! DOKDOK!!!
KYUN! KYAUNM!! GAUNM!!!
発砲の勢いはなかなか勢いよく、
オレラの乗る、このシミターにも、弾丸の散片が降りかかったのがこの時のことだった……
……が、
「目標、一番手前のゴーレムと、その足下の……ひとたち!」
「了解だ、……てぇ!!」
俺はともかく、ルーは冷静だ。
ここから……と、相手達との間距離は、多少けっこう狭間が開いていた。
だが、抜かりは無い。
こちらにも、遠距離火器は存在するのだから……!
……――このオレラの乗るシミター機の、その搭載火器である、胸部前端部魔導バルカン砲と、
右肩口部三十五ミル単装魔導速射機関砲、
これらの同時射撃を見舞ったのだ!
……VOOOOOOOOOOOOOOMMMM!!!
DOK,DOK,DOK,DOk、DOK!!!!
「っ!」「あっ、おっおっおっ……?」
ルーは舌鼓を打ち、俺は感嘆の声を上げるしか無かったわけだが……
まず一つ目のゴーレムが炸裂!
……足下の兵士達にも着弾していき、急速に無力化されていった……
つづいて、そのもう一つ奥の路地に陣取る、もう一体のゴーレムにも、、、
命中! 撃破は成功した。
さあ、残るはもう三つ目のゴーレム、なのであるのだが……
「! 機関砲の、熱放熱が……」
「わかったよっ! しばらく冷却させよう、」
射撃火器は、ここまでの揚陸飛空艦撃破・敵ゴーレム四機連続撃破で、連続して使用していた……
ので、熱がたまりすぎて、ルーは休める判断をしたようだ。
「さぁ、そうしたとなるとだが……?」
敵も、もうのこりわずからしく、向こうからの射撃は休まること無く、むしろ勢いは強烈で……
心なしか、ヤッコサン方の、恐怖、おびえ、という念が、こちらからでも感じられる様だったわけであるが。
「ぬ、ぅ、」「あ……」
……不意に、この時、俺たちがここに駆けつける前までと、さきほどまで、俺らと誰何を交わしていた人たちの……撃破されやられていった、こちらエルトール国の守備隊の、その残滓……なれのはて。
さっき、数言言葉を交わした人らが、今の敵からの銃撃で!──
それらの路上に散乱した、ズタボロになったその残骸などが、よく把握できた、その一瞬があった。
敵の必死さ、というのもあり、
状況の進行のテンポが早すぎて、
退避勧告すら、ろくに出せなかったから…
(仇討ち……やったるけんな!)
俺ちゃんは、そう決意をしかけた……が……
(……ぬ?………ぬ、………、、、。ぬぅ…。。、)
同時に、その次の瞬間から、敵方の、俺たちの倒していったセンタリア軍の、その残骸や、やられきったあとのズタボロというのも、目の視界の中で大写しに……それがバイアスがかかってのものかは、気分的なモノ由来かもだが……見えてしまった。
俺ちゃんが、たった今しがた、
直にガンスティックとレティクルの照準とトリガーを向けて合わせて引いて、
バルカンの銃撃で蹴散らした、敵の人間たちのだ!
熱線分布画像で表示されたモニター越しだから、まだ耐えられた…のかもしれない。
それでも見えた。みえちまった。
顔には表情があり、それらは──無言となって、屍をこの路地の通りに、晒していた──
積み上がって、または四散し散乱したそれらは、敵と味方の境もなかった。
(…………お、俺は…………)
「ユウタ、?」「うぬっ?!」
声をかけたのは、ルーのやつである。
俺は現実にへと、引き戻された。
動力機の脈動が低く響く、薄暗いコクピットの中、
俺ちゃんがパッケージシーリング封入包装がされた、
シミターの中の、安全な操縦席の、その中の、……である。
「ためらったら、…ボクたちが、ああなるよ、?」
「ッ!…、…嗚呼…」
……、。、、
「……迷わないでね。?」
「う……む……、、。、……うん」
…………
まあ、頭をきりかえよう。
オレらに対する銃撃は今なおまさに、苛烈の頂点に達しようとしていた。
敵の、市街を直接制圧するつもりで、であったろう、その揚陸艦附き陸戦隊のなれのはてが、この今おれらが対峙して退治しようとしている連中の、その構成員らしかった。
そうして、ヤッコサン方はなかなか充実した布陣を敷いていた。
つまるところ……
魔道士が直接撃ち放つ魔法弾や、武器として独立した魔銃、魔砲の、
弾丸の雨礫が、真っ向から飛来する……
まるで、オレラのこのシミターの機体に、
それらが吸い込まれるかの様だった。
正面から、銃撃を何発も喰らい、被弾する。俺とルーのシミター。
だが、そんな向かい風に向かって、
「ユウタ!」「おぅ!」
ルーの発破だ。
そうだ、なにを怯えるモノがあろうか……。
今、シミターの構造と外装装甲には、エネルギー転換型魔導装甲と、ルーのおばあちゃんとエリルリア叔母さんが丹精込めて詰めてくれた、魔導魔法術による加護が、能力全開で作動していたのだから、傷一つすらつかなかった!
パワーモードを、一気に開放。
大出力で、機体駆動系にエネルギーを投入。
再始動させた脚部で機体を発進させ、真っ向へと…
突進させる!
(オラオラオラオラオラぁ!!!!!」
……――発進したこの機体を、全速力でぶつけさせるつもりで……――
敵の部隊は、こちらの気勢に、気圧された様子が見て取れたのが、今の瞬間であった。
そのためか、オレらを阻止するためであろう弾火が、さらに激しくなった。だが……
致命傷じゃあ無い!
「ルー、見越し合わせ!」「わかったよ! …今!」
……――!……
「ああ!」「うん!」
ルーも距離タイミングと殴り方の加減が判ってきたらしい。
シミターの腕部による、強引なナックルの一撃が、
目前のゴーレムの胸郭を“確実に”打撃し、打破して、打ち砕いた!
その威力は著しかった。
貫通したそれが、
砂風となって噴出し、筒のようにぶち抜けながら、
余り余って突き抜けた威力で、ゴーレムの背にデザントしていた敵の魔道士は、その後方の建物へとぶっ飛んでいって、商店のショーケースを突き破って転がって、沈黙した。
……どうも、一撃必殺のクリティカル・ヒット、というやつだったようだ。