ブロイダ市解放戦!〜主人公×ヒロインコンビの活躍話〜(1/3)
遅刻してしまいました…申し訳ない…
連続投稿も残り二話分となりました…ごゆるりと…
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──まず、敵の移動本営である、飛空艦。
最初にこれを撃破しようね、ユウタ。
なっるほど、敵のリスポーンポイント? 回復拠点? を最初に陥落させてやるわけか……
強襲してきた相手を逆に強襲しかえすんやな!
敵の退路を絶ってから、各個撃破、個別撃破。なるほど……
だが、ルー、ボス格に武器は通用するのか? それから、それまでとそれからの段取りはどうする……?
この世界の造船のセオリーに則ると、ボクらの今の火力からすると、飛空艦はそこまで重装甲じゃないよ?
敵の位置と状態は、ボクの異能を簡略化した、シミターの捜索探知機能で、ある程度は絞り込めてる……
その上で、機体の魔導シーケンサで、
それとつないだボクの異能を増幅させて、さらに細部を見渡してる状態だね。
ボクにはぜんぶみえてるよー。
現状は、この市街のエルトール軍守備隊が、まだ残存。
いま、敵によって潰滅させられようとしている……
時間はないな。
そうだ、ルー? 飛空艦は、どこが弱点なんだ?
えっとねぇ、弱点は、船体中核の、魔導石反応炉式反重力機構部分と……。
あと、船体各部の補助魔石機関と、それらをつなぐエナジー配線部分。
肉薄して銃撃すれば、このシミターのバルカンで、
船殻を貫通できて、ハチノスにできる……はず。
そうしたら、たぶん撃破できるね♪
たぶんって……
まあ、了解だ。
張り切っていこう!
うん♪
……
…………
………………………
…………ズガガガガガッガ、ズガァン!!!!!!
……敵襲、敵襲! 敵襲!
敵は、今朝連絡があった、新型の、機械ゴーレム。
それが……何体だ?!
とにかく、現在、それが1!
腑抜けのエルトールとは思えん強力さだ!!
繰り返す、敵襲! それが、いt………………
……どごぉぉぉぉん!!!!!!!!!
……──市街近郊に投錨していた、センタリア軍中型揚陸艦が、炸裂を起こし、たった今、炎上しはじめた…………
その一瞬により、
この時点で、市街の近郊付近の、建物群のガラス窓は爆発の衝撃波でことごとくが割れ砕け、
屋根は揺れてゆがみ、埃は散って舞い飛び、
その直後の大音響の炸裂が、このセンタリア飛空艦の断末魔と、その最期となった……
……zzzzzzz……CLICK、CLICK、
「ひょえーっ?! なんてこったあ、魔法石原理式の反重力装置、あんなひっでぇ爆発起こすのかよ?!」
「原理的には、巨大な爆発物のカタマリを簡単に制御下反応させて、その作用で空を浮かせているってだけのシロモノだからねーー、
こんな感じに、やってしまえば、こんなにもろかっただなんて、ボクも半信半疑だったけど……ね、」
シミターへの迎撃対処の為だったのだろうが、
抜錨するために錨を揚げかけた状態でそうなった故に…
撃沈…とはいうものの、炸裂により中央でちぎれた船体は前後が補助魔石機関の影響で背骨折り状に浮き上がり、
その中央箇所では、被弾破損し露出した魔導石反応炉が姿をのぞかせていたのだが、
それの反重力作用の暴走で、
機関部分の残骸が、見えない手によって摘出されたかのように、ふわ…と垂直に上空へと浮かび上がっていくのが、俺らからの側景として見えた。
まあそれはともかく、
「まあいいさ、俺ちゃん了解。
そんでなら、敵の制圧部隊。
市街に展開されてるのは、ここまで倒したゴーレムが四体……と……」
そのときだ。
ががぁん!……――と、おれらの乗るシミター機の右側面に、敵のゴーレムの一体が現れ、掴み掛かったのが、まさに今この時のことであった。
通りと路地に区分けされて建物が立ち並ぶ、ここ、エルトール領ブロイダ市街
狭い市街路の通りを跨ごうとした矢先の、
俺たちは、建物越しに待ち伏せにあった格好である。
が、
「左後方に、一歩下げて、」
「了解! ルー、できるか?」
「らくしょう、だよ!」
言われた通り、俺ちゃんは、シミターの機体を、横後ろひだり奥へと、一歩さがらせる。
パワーモードとモーションモードを注意しながらコマンドを入れ、
フットペダルを踏み換えてやるだけだ。
すると、
する……っ、という身軽さで、ルーは敵ゴーレムの捕縛の一手を、
なんともまああっけなく、さほど機体の臂力と馬力も使わない印象で、
抜け出すことに成功した。
その身のこなしは、しなやかながら……――
「えい!」
ずがぁん!
……――というのが、その直後の大音響であった。
見ると、その相手に来たゴーレムが、砕け散って飛散する、そのさなかである。
……ルーのやつの、切り返し際の一撃で、そのゴーレムのノック・アウトに成功したのだ。
その動きも、また、しなやかな身のこなし……操縦操作……であった。
「ルー! やったか!?」
「…ふぅ、うん。やったねっ!」
ふむ、ここでいったん説明しよう。
俺たちの乗るCVT・シミターは、
下半身の動作走行の分担を、前席の…操縦手…ドライバーが、担当し、
上半身と、それから腕類…の操作は、
更にいうと作戦運用における立案や指揮、ということまでもを含めて、後席の、車長…コマンダーが統制を執っている。
そのような役割分担で乗り込んでいるわけである。
そして、俺ちゃん…こと道寺橋ゆうた、と…
俺の相棒の、ルーのやつ…ルーテフィア・ダルク・アヴトリッヒ…は、
それぞれ前席がおれで、後席がルーの、そんな分担であった。
もともとが、操縦者の錬成に、時間を掛けさせないため…ということでの、この機体設計である。
だが、まあ、俺もルーも、ワンマン運転…一人のみでシミターを操縦することは、まあできる。
なのだが…
なにせ、ルーのおじいちゃんが拘束されている、ガリウス砦までは。まだ遠い!
なもんで、目下その人物の救出を目的に、アヴトリッヒ領を東へと、進んでいるわけだが…
「!」
そのとき、ルーのやつが、何かを感じたらしい。
「た、助け……」「逃げろォ!?」
市街戦を繰り広げていたエルトール守備隊のみなさんが、俺らの登場に困惑しつつも…
誰何をしに、俺らのこのシミターへと、士官相当らしい方が、駆け寄る瞬間があった。
――なのだが、
今しがた撃破したゴーレムの操縦をしていた敵センタリア兵士の魔導師が、
その破壊されたゴーレムから、脱兎のごとく逃げ出した、と思ったら…
「自爆させる気か!?」
収束しながら、輝きをどんどん増していく、魔力光…
錬成土ゴーレムの残骸に埋め込まれていたであろう、出力補助用の予備機関・コンデンサー魔石。
それを暴走させて、特大の即席地雷(IED)にしよう、という魂胆なのだろう。
「ルー!!」「わかったよ!」
だが炸裂するその寸前に、俺はシミターを起動させ、そしてルーは、吼えた。
「てやーっ!!」
バキン!……──という破壊音が、その引き換えであった。
俺らのこのシミターに装備されていた、
格闘用兵装のひとつ・スーパーハチェット、要するに巨大な鉈だ……
それを振り下ろして、そのからくりを破断させたのだ。
直後、炸裂!
──したのは軽いおどかし程度で済んで、
砕けたコンデンサー魔石からは、煙と天に向かい昇華していく……砂のようになったのが更に粉状に分解されて、最後には粉よりも細かくなった、粒子質の……魔力光のきらめき……が、立ち昇っていく、その光景だけであった。
それをエルトール軍の兵士たちは、
──まあ自分らが身を守れる遮蔽物のたぐいが。まるでなかったからだろうけど──
腰砕けで一連を見ているしかなかったみたいだ。
ふぃー、まあこんなかんじだ。
味方、エルトール軍は現在…劣勢なので、それの救援を、否応なしにやらざるを得ない…ということであった。
目下の所、
前線に近づけば近づくほど、敵と味方のマリアージュを、腹一杯に食わされる、
そのような塩梅だ。
いちいち戦いながらの強行軍なので、
大昔の長距離侵攻戦闘機にならって、
ふたりで乗り込んだのは、正解だったといえた!