幕間・少しだけ未来にて…(6/6)
連続投稿中でございます…
ごゆるりと…
――製造方法はどうするの?
少数生産品なら、
魔導シーケンサとつなげた錬金釜を煮てれば、
まあ大抵のものは作れるようになった、この現時点、で、なのだわ?
でも、それはとてもじゃないけど、おもちゃを作るために錬金釜や錬金チャンバーを使うわけには……
――シミターの、機体構造部分……まあようするにドンガラ。
それを製造するのに使っている現在の量産方法の、
土魔法・風魔法・空間魔法・水魔法バインダー式、
精密エアロ・インジェクション。
まあようするに、金型による射出成形を、金型無しで、精密制御された水魔法類と錬金術でその代用をして、成形品を作っているわけなのだが……
この異世界の正攻法なら、作るもののサイズに合わせて、馬鹿でかい錬金釜を用意して、
できあがりよりも多量に無駄になる分量の材料を突っ込まねば作れなかったが、
錬金釜の調達の都合がつかなかったから、っつー消極的な元々の理由にしろ、
おかげで…
より省力、かつ短時間、かつ経済性の高さが売りの、
俺らの生み出した新手法さ。
それを使って、
「……玩具を、?」
「ホビー、とよんでくれたまぇい」
……あきれた、とアリエスタはつぶやいた。
だが、そう言いながら、……わざとらしく……いったんはしかめた眉を、ぱっ、とそれを解いた。
晴天のような表情で、アリエスタは笑顔で答えていた。
「まったく、忙しくなりそうだ。」
ゆうたも、笑顔になった。
……ところで、ルーはなにしとるん?
「えへ☆」
見ると、ルーテフィアは、部屋の片側の自身の工作机で、
なにやら、の作業をしているようだった。
「ん? 工作か? ルー」
「そだよ♪ はなし聞いてたら、気分が乗ってきたから♡」
この、ルーのおうち……コテージは、
遡ること二ヶ月半ほど前、建てられたものである。
工房が欲しい、というルーの要望を、祖父が聞き入れたから……ということもあるが、
そこには悲喜交々の、孫と祖父のすれちがい……というのも、その折にはあったとかなんとか……
「~♡ ユウタ、見て見て!!」「おぉ、これは……」
さて、今、ルーは己の“異能”をカジュアルかつ存分に用い、
そして今、その新たな魔導使役オートマトンの、
新たなデザインと設計と仕様スペックの、それ……が、生み出されようとしていたところであった。
ルーは、己の異能を用いて作った設計案だったり思考の考え、異能で得た情報や自身の思慮のイメージのデータというのを、
直接じかに、ダイレクトに入力させる機械を、自作して持っている。
ゆうたとの出会いの後、それを、しばらくして製作したのがすべての始まりである。
元々は、それもまたゆうたからの頂き物であった、
お古のノートパソコン……につなぐためのものであったのだが、
標準的なウィンドウズパソコンのデッドコピーが下敷きになっているが、目下独自進化中の、
情報処理端末……の、試作何代目かのルーテフィア専用機にてデータ化。
それを、自宅据え付けの魔導シーケンサー複数台に読み込ませた。
ゆうたの現代地球及び日本と、ルーテフィアのこの異世界・アリスティリーヴの技術が合体をした結果できあがった、現代地球にもこの異世界にも、
既存には存在していなかった、新機材……
ルーが発明した、新機材。
魔導シーケンサー。
別称、機力魔法錬金機。
“それ”を用いた構造動作原理による、
新型の魔術エンジンが独立して装備されているために独立して稼働可能で、多数集中制御も可能。
かつ異世界の従来にはあり得なかった、強力な機力魔法錬金作動による極めて強力なパワフルさと、
行使可能魔法魔術と錬金魔術の強力さ、そしてその安定性。
今までの常識的な錬金釜の取り扱い法ならば、
錬金中の間、術を行使している魔導師ないし錬金術師は、常に釜の前に張り付いた状態で、術を釜の中に込めつづなければいけなかった……
それを、省力化、ないしは無人化することが可能になったことで、
いま、アヴトリッヒ領はかつてない工業化の布石を手に入れた情勢となりつつある……のはさておいて、
処理とデータの入力がデジタル化されているため、
いままでの魔術錬金の常識では不可能だった事象も、 可能となっていることがその特徴の、
この機械による魔導錬金術……それを起動開始。
あとは、その魔導シーケンサーが接続された先の……
原料液が流し込まれた、小型錬金チャンバー内で今まさに製造が開始され、あと五分ほどで、それは完成するだろう、という段読みの段階であった。
まあそれはともかく……
「……これは、どういうことなのでしょうか……」
「おお、コンラート、おまえも混じれ混じれ。」
メイドに扉を開かれて……
四人目の人物がこの場に現れた。
コンラート・ウェスタンティン。
この面子に浅からぬ縁を持つ、エルトール軍の正規軍人……正規の将校である。
若年ながらも、卓越した優秀さで、現在までの功績とその実績をたたき出してきた、秀逸な人物である。
しかし、この人物も、
いままでか、いまこの現在が不幸か否か……
「あなたたちが遊んでる間、私は毎日、訓練校で慣れない教官をやってるんですよぉ?!」
「おれちゃんらの処遇をこうしたフレズデルキンをうらめぃ。
俺たちの名目は、今のところは休暇中……ってことなんだから。
なんどめだろうな?
それでも訓練校の方には隔日で顔出してるんやから、」
そんな涙無きゆうたの発言に、
うぅ~! とコンラートは涙ぐみ、
「汎用人型決戦兵器、……という軍内での称号すらあるのに!
あなたたちはっ!!! わたしをいけにえにしてっ!!!!」
「オイオイ、」
ゆうたは呆れつつ……
「シミターの、ことについては、あなたたちが、ルーテフィアさまとドウジバシさま、あなたがたが、がんばってもらわないと、!!!!」
──できた!
……という、ルーテフィアの声が上がったのは、その時のことであった。
自分の言い募りに声をかぶせられたコンラートは、がっくし、とうなだれた……
……のはおいといて、
つくりこめるだけつくりこんでみたよ♪
ほぉ、これが!
美少女、たいぷ……!
エアロインジェクションは無機物ロボットの製造に使えるとして、
錬金チェンバーをつかったら、こんな風なハイエンド品がつくれるよ♪
し、シームレス素体!?…素晴らしい…
流石や!ルー!
じゅうにぶんのいち、をいしきしてみたよ♪
ふっふっふ、男の人の、ぼんのーと、ボクの、ぼんのー?
を、つめこめるだけつめこんで、
実現させたようなかんじだよー。
まさか、これは、これはもしかして……
あら、格好には少し言いたいことあるけど、顔は可愛らしいわね!
まったく、ルーさまとドウジバシは、なかいいわね~……
あはは、はぁ…………、、、、。。。、、、
コンラートさん、こういうのつくれるんだけど、
なにかアイデアなぁい?
えっ?! そ、そうしたら……
私は、人形が好きなので、こういうのは大好きな部類です。
もっといえば、もっとサイズの大きな、標準スケールに近いモノならば……もっと……
むふ~、! なる~ほどね! わかったよ♪
…………
……
こうしてこの面子らによる、
悪巧みの一日は、過ぎていった……
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