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幕間・少しだけ未来にて…(5/6)









「売るんだよ、ルー! オレらが、玩具を作って、売れば!」



 その手があった! と快哉を叫ぶゆうたである。



 アリエスタは、その先と内容を促し……




「アヴトリッヒ領、独自の産業振興プログラム?」




 そう。

 シミターなりの姿はさせるかだが、

 このアヴトリッヒのダブってる戦時開設工場で、これらみたいな、使役オートマトン。

 それの翻案版を作って、こっちの世界でもいいし、なにより、俺の故郷の、現代日本で、うりさばくんや!




「おおー」「う……ん?」




 ゆうたは、卓上のシミター模型を指さした。


 見ると、そのシミター模型は、なんと今……動いていた。



 見ると、ルーが魔法術のきらめきを指の先から出しながら、左右や上下に振る度に、

 そのシミター模型……いや、シミターの形状と機構をした、フルアクション・魔導使役オートマトン。


 それが、振り付けなり、稼働可動の駆動を……

 精密なミニチュアながら、しかし本物の、人が乗り込むシミター・ロボットとまるで遜色がなく、動いて、動かして見せていたのだ。




「でも、本当にこんな……ありふれた、おもちゃが……売れるの?」



「ああ、おれたちの現代世界で、こんなすごい“ラジコン”や「AI搭載のホビーロボット」は、存在してなかったからな……」



 そうゆうたが答えている間にも、

 ルーは自分が改造したゲームコントローラーを取り出して、 シミターの模型を、操縦して動かして見せていた……






――売り物は他にもあるじゃろう。

 例えば、オレらがシミター運用部隊に交付している、情報処理端末。


 あれを、民生向けにデチューンしたものを……




「あの、情報処理端末を?! 

 それはすごいし革新的で、インパクトは大きいだろうけど、

 それの先述のはイマイチ想像できないわねー、そんな、おもちゃ、売ったところでどうなるってのよ?」



 パソコンとかの対抗品があるから、むしろ情報端末のほうがどうなのか判らんわけだが……まあそれにも考えはあるわけだが……



 そうゆうたは言ったのち、




「フフ、そしたらな……」




……、、




「……現代日本のおいしいごはんが、いっぱい手にはいる!」




「おおぉ☆」


「! そ、それは、確かに魅力的ね……!?」





 で、でも、とアリエスタが聞き返す。




 それらを、どういう名目で製造するの?

 原料の調達は? 

 どういう名目で、曰くがあるとはいえ半民半官営の工場たちを、稼働させるの?







「……軍需品じゃなくても、いや、軍需品、という、カテゴリーで、これを、生産し、販売したなら?」





「……ちょっと待って、

 そしたら、それに使う機材と設備、それから、その原料は?」



 

 アリエスタは顔の表情を止めて、

 ひとこと、それのことだけを、誰何した。






……






「……」「……、、。」






……。。。。。






「横流しも同然よぉ?!」





 言外の言明を受けて、戦慄したアリエスタである。






「どのみち、俺たちの使っている原料と材料は、生の状態だとすぐ痛んで、くさる。


 それがネックになってるから、現在低率生産の状態なのだが…




 この世界の他のどっかの大陸ならどうかわからんが、

 この西偏世界では存在しなかった作物であり、

 俺ちゃんがこの世界に持ち込んで、目下の所、食料用と工業用とで休むことなく増産が行われている、

 そう、現代日本由来の、サツマイモちゃん。



 このサツマイモ原料のデンプン質を魔導錬金の加護効果を持たせた後、

 このアヴトリッヒ領の黄金色の森の、そのかつての魔王帝国由来の……魔導樹の樹液を添加した、最上級の錬金基質液。



 そのふたつを混合させ調合した原料ペーストを、

 魔法と錬金術で一次成型加工した後、

 それを魔導シーケンサーの機力補助で、二次加工の錬金変化!


 そうすると完成する、

 この世界には従来なかった、

 超素材・魔導錬金ポリマー。



 そのできあがりの状態に三次、四次と加工を施していけば、

 

 たとえばシミターなら、現代地球の各種金属材料、先端合金やチタンセラミック複合材といった、各種の複合材にも負けない耐久度を持たせているわけだが、

 やろうと思えば、軟質、硬質、高潤滑、通電性能、透明度、着色、伸縮質、耐久性……

 あらゆる物性と特性を持たせることができ、

 さらに現代科学の、既存のプラスチックにはあり得ないような物性特性の“掛け合わせ”さえできるそれを使って、シミターや魔導兵器をつくってきたわけだが、

 その軍需品以外を、この錬金ポリマーを用いて、

 初めて本格的に生産させる!……というわけよ。



 まあ、それら計画工場群に、シミター類の生産や組み立てにも応用が効けて使える、マザーマシン…


…といっても工程分とそのライン分の機力魔法錬金魔導器・魔導シーケンサーをセッティングしたのち据え付けるだけなんだが…


…まあそれの設置なんかもするから、

 まあ、無意味になるということはないじゃろう。



 まあ黄金色の森の木々も、さつまいもちゃんも、

 それらは俺たちが独占的に栽培生産し所有し、

 供給しているんだしな。

 なんとでもなるばい?


 それもあるし、なによりウチらの商売品のキモとなっている、魔導シーケンサ……それから、情報処理端末類。

 それらを作るのには、

 材料開発部門の健闘もあって代替品の開発完了にまではあとそれほど時間を要さないだろうが、

 しかし、“あれ”を……調達しなければなるまい?」




「“あれ”……ね。」




 言われたアリエスタは、両の手で、手鎚を打った。




「確かに調達は必要だわ。

 現状だと、確かにそれの調達に限度があるから、シミターや他の我がハーレンヴィル商会取り扱いの機材……アヴトリッヒ家から販売営業を任せられている……

 は、作れる数に限りがでているのですから!」




「そう。

 だから……


――自弁調達、とする。


 我ら、アヴトリッヒ配置部隊の、その独自裁量として。」





「つまり話が見えてきたわ。

 ようするに、この変哲も無い魔導オートマトンのおもちゃを作ったりして、


 材料費と設備費は、うちらの売り物を置いて回すだけだから、実質無料同然、


 製造に掛かる人件費も、技能トレーニングという名目なら、名分も立つでしょうわね…

…その扱いで、アヴトリッヒ領軍部隊の会計予算で出させてやって、


 それをドウジバシ、あんたの、チィキュー、っていう異世界で、うりさばくのね!?」



「そうだ。

 そして、それによって得た販売額を持って、“それ” 

 ……などを、調達する費用に、する…………


 その分の還元は、シミターの納入価格から浮かせば良いだろう。

 トータルでの出入が元くらいかその多少……となれば良いはずだ。

 目的は、浮いてる未稼働工場の稼働化なんだもんな?


 そうすれば、それら向けに魔導錬金ポリマーの原液の製造調達調合の規模をいまより大きくできる名分も立つ。

 そうなれば、ボトルネックは解消されて、

 工員の確保も、その頃には熟練になっているだろう人員が、先に敷いた玩具製造のラインからコンバートが出来ると思う。

 ゆくゆくはシミターの生産規模も大きくできる布石が張れる…

 そうすりゃ、調達可能数は増やせるから、そんときは、FSXやらFXやらってのもって!」




 そこまでゆうたが話して、この場の三人はこくり、と頷いた。








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