幕間・少しだけ未来にて…(4/6)
ただいま日刊連続投稿中でございます…
ごゆるりと…
「エルトール軍、
支援戦闘・装甲機の開発導入計画。
FS-X、あの計画か。」
そう言葉を言った、ゆうた。
「名目上は、シミターの購入配備のペースが限定的にならざるを得ないから、
その補完と補充として、
副次装備の支援戦闘機体……要するに数合わせを、暫時的に前線に投入するためのプログラム、ってことだけど……」
ルーテフィアは述べた。
それからゆうたも口をひらき、
「こんかいの戦争が起きる大分前の、
俺ちゃんが、ガーンズヴァル爺に連れられて行った出征の時に、……
可動機が前線で動いてたりしてたのもあったが、、
大部分が、前線デポ(補給廠)のガレージヤードで、 稼働不能の状態で積み上がってた。
この世界の人類軍の、在来型の、
機械兵器や機甲武器、
その他戦闘機材類……
それらはエルトールのメーカーが手がけてたやつも少なからずあった筈だが、
今更、「企業保護と産業振興、技術力強化の為、」に、
少なからぬ規模の投資をしたところで、
果たしてどこまで性能と信頼性がアップするかな……?
ウチらのシミターが圧倒的なのは、
そいつら先輩方が滅多に倒せなかった、逆にやられるがままだったセンタリアの鬼車を、
うちらのシミターはあのとき俺とルーは一緒で倒したし、
それ以降も、今動いているシミター機が鬼車をどんどん倒して行ってるんだから、
これだけ活躍して、こちらシミターの被撃破数は、ゼロ……後方で、故障で往生したのはあったが、
おかげさまで、前線各方面からは投入希望の声が殺到!
搭乗員教育の募集には毎度相当な応募が来てて、
これは、もうウチらのシミターの、実力が担保されてるも同義でないかね? 」
「まあ、それはそうなんだけど……ね……」
ゆうたが述べて、アリエスタも続けて、
そしてふたたびゆうたは発言し、
「フレズデルキンのヤロー……アマ? どっちかは知らんけど、判らんが、
とにかく、シミターができるその前からのウチらの動向にいち早くコミットして後見人の立場になったそいつが、
俺たちの活躍を自分の先見の明の手柄、として、そのまま宮廷に持ち帰ったわけだ。」
そしてアリエスタは続けて、
「そうしたら、ほかの皇太子や皇女、皇族の方々……
それから、宮廷内の他の大臣や家臣、有力無名問わずの貴族たち、出入りする業者……魑魅魍魎……たちの、
功名心と野心を刺激させて、盛大に火が付いてしまったって案配なのよね……」
「うん……」
アリエスタの言葉にルーは相づちを打った。
「みんな、自分の杵柄を求めて、唾をかけられそうなものを探しだしはじめた、それはもう、盛大に…」
そういったのは、ゆうたである。
「もっと言えば、このFSの開発は、将来的なF(ファイター:主力機体)の独自開発にもつなげる予定っていうな」
ゆうたは発言を続けて、
「そいつらの入り交じっていりくんだ、帝国政府内や国防軍内の閥族、
そいつらが、自分たちも、自分たちで一枚噛んだ、
装甲機や戦闘機材を、売り込んで、あわよくば、利益を受けたい……と、」
ルーもゆうたも、手元のシミターの模型を、手の内で、なで始めた……愛おしげに、
「
つまりのところ、この国のバイオリズムの中で、積年の通りに利益循環がされようとしている訳や。
そんで、ウチらは主流でも無く、利益循環の構造の外にいた……追いやられていたから……、
そのパイの回し合いから、追い出され掛けてる、ってわけやね。
」
「……うん……」
ルーは、手元のシミターの模型を、愛おしげに、抱いていた。
「この場合のメインのFはなにが相当するのか? ってことでもあるわね……
どちらかといえば、シミターも補助機的運用機体にしたいのが、そのお偉方?の考えであるらしいわ。
つまり、これの指すF相当というのは、
現在配備採用導入分の、ネクロアーマーや、それ以外の各装甲機械類、既存機のその全部!
シミターの存在なんて、なんて勘定に入ってるのかも怪しいのだわ。
シミターは現状、臨時特別調達、の形式で購入と導入がされていて、
FSが正式決定されれば、わたしたち……というかルーさまと、アンタ! の……のシミターを購入している、その枠をつかって、採用後の調達がなされるって予測もあるし」
アリエスタも、そう言って
「俺ちゃん達、天突き状態やな!」
ゆうたはそう言った……が、ところてんなるものを、この場の異世界人の面子は、知らないので判らなかった……
「それで、FSの件。
これは逆にチャンスかもな。」
ゆうたは、卓上にシミターの模型を置き……
それを、ストラテジーシュミレーションゲームの、グリッドマスごとを移動するユニットコマのように、
とんとん、と、点々……、と、動かした。
「正式採用の座をもぎ取っちゃうんだね!」
「そうさ、FSの座を狙うも良いし、なんなら、FXを狙うのも!」
「おお♪」
目を輝かせながら、その言葉を聞いて、うっとり……とした、ルーである。
そうして、ルーもゆうたも、互いのシミターの模型で、
卓上に設けられた、そのストラクチャアの上を、蹂躙させはじめ……
「いちおう、わたしらにも応札の指定書が届いてるわ!
条件次第では、有利に扱うって!
ただ、
そのための条件が……」
アリエスタは暗い顔になる。
紙を手渡されたルーは、その一文を読み上げた。
「……生産情報、技術情報の開示……」
「まったく、これ以上の手札を何をみせろ、というのだ。」
ユウタはシミターのポーズを取らせ直し、
もう一度、卓上のマップにへと、その模型で置いて、遊び始めた……
「ただでさえ格安で卸してるのに、そのうえこれかい……
……うちらだけのおおもうけ、には、なかなかなってくれないか。」
「まあ、そうだよね♪」
釣られて、ルーの方も、ゆうたと戯れを開始し、遊び始める。
卓上に設けられたストラクチャーのマップは、
今まさに、熱戦の様相を呈し始め……
「……えぇーい、もう!」
ムッスリ、としてそこの場を遮ったのが、アリエスタである。
「──いつのまにか、この卓台、情景模型になってるじゃないのよ?!」
わたしがあつらえさせたのに!と憤慨するアリエスタに、ゆうたは飄々と返す。
「
安心せぇ、これはウレタンボードの上にジオラマを作った、分割式ダイオラマぢゃ。
収納も展開も、追加でつなげていくのも、自由自在よ!かっかっか!……って、
あぁ?! 昨日折角撒いたそこのターフの上に乗せるなぁ?! しかも、そんなに乱暴にッ」
「じゃかあしぃわぁ!!」
ばんばふ、と、置いた紙束のその上を、手指でばすばすとたたいたアリエスタ。
「結局、不稼働工場の解決にはなってないじゃん!」
「まあ、な……」
そう言われるとゆうたはなにも言い返せない……
「あーあぁ、あんたとルーさまは、その模型で遊びながらだけど、
その模型が、売り物になればこの上ないのになー」
そのアリエスタの手指を、手に持ったシミターの模型で、ちょい、ちょいちょいっ、……とつついて遊び始めた、ルー。
遂には脱力した様子で、アリエスタはそう譫言した……
「……そうだ、その手があった。」
「? どうしたの、ユウタ?」
ゆうたに知恵が閃いた瞬間だった……