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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
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最後の魔女77 お姉様大好きです

 悪魔ヴァイン。

 忘れもしないその名は、私が永眠を決め込んだ現況とも言える相手。私の友人たちを屠った悪魔の名前だ。

 悪魔同士は、戦うことはおろか、憎しみ会うことすら出来なかった。

 敵討ちなど到底叶うはずなどなく、私は諦めていた。


「高位悪魔が、一体誰にやられたんですか? やっぱり勇者ですか?」

「なんだ、お前興味あるのか。だが、生憎と私もまだ調査中なんだ。原因が分かればどのみち高位悪魔たちには連絡するつもりだ。我々を脅かすかもしれない存在の情報は共有しておかねばならない」

「⋯そうですか」


 私は、悪魔城を後にする。


「何処の誰かは知らないけど、礼を言うわ。私の代わりに敵を取ってくれて」


 でも、同時に私も気をつけないとね。

 序列からするにヴァインは私と同等程度の強さみたいだし。元々高位悪魔の底辺なんだから、同じ高位悪魔からすれば私が一番弱いのだろうから、その人物と戦うことになれば、私に勝ち目はないのかもしれない。


 その後住処を転々としながら、あまり目立たず、隠れて過ごす日々が続いた。

 結局、ヴァインを屠った相手のことは分からずじまいだった。

 そんな中で、魔族だけは積極的に狩るようにしていた。

 だってアイツら交戦的だし、いちいち勘に触る奴が多いのよね。でも一番はやっぱりあの時の出来事が大きいからかな。


 そして、今日も魔族と交戦⋯


「チビ助のくせにエラく態度が大きいな」

「見た目で判断すると痛い目見るわよ」


 はい、痛い目を見たのは私の方でした!


 何とかギリギリ勝つには勝ったけど、正直危なかった。単一戦でここまで追い込まれたのは初めてかもしれない。


「おめでとう、今日からお前の序列は第9位だ」


 悪魔城クインテッドノースタリアからお呼びが掛かったので何事かと思えば、どうやら先日の悪魔退治の功績が評価されて序列が上がったみたい。


「それと、一桁台の高位悪魔には観察者としての職務が発生する」


 観察者とは、おなじ高位悪魔で二桁台の者を保護や導き手としての役割のことらしい。

 面倒くさいことこの上ないのだけど、決まりなのだから仕方がない。あれ、でも私導かれたことないんだけど⋯


 そんなこんなで、私の観察者として選ばれたのは、ジュダルと言う悪魔。

 調べて後で分かったことだけど、ジュダルって私よりも何十年以上も先輩で、実力も隠してるけど私よりもたぶん上だと思う。

 それに、現在永眠中だとか。これって、観察する意味なくない?

 まぁ、私としては楽出来るからいいけどね。



 それから数十年が経過したある日、事件は起こった。

 永眠中だった観察対象のジュダルが、復活早々に何者かに倒されてしまったのだ。

 驚いたのは、多人数による一方的な攻めかと思いきや、たった一人の私とそう変わらない程度の少女にやられてしまったみたい。一体どんな人物なんだろうと、非常に興味が湧いた。

 最初は遠目からその様子を窺っていた。

 だけど、彼女の周りはどう言った訳か認識阻害のような物に阻まれ、殆ど情報を掴むことが出来なかった。

 ならばと可憐な幼女を演じ、少女に近付いた。近付いて分かったけど、彼女は魔女と呼ばれる存在だった。上手に隠してはいたけど、少しだけ漏れた特異な魔力で確信した。

 一昔前、魔女は複数存在していたけど、最近ではめっきり見なくなった。人族の事情は余り詳しくはないけど、魔女ってその強さを忌み嫌われて一人残らず狩られたって聞いたけど。

 つまり、隠れて過ごしてるはみ出し者ってことね。


 私と同じね。もっともっと興味が湧いた。


 彼女の名前はシュタリア・レッグナート。

 私よりも見た目は少女だけど、堂々とした佇まい、風格など、私と同じで何十年も生きてるに違いない。

 適当な理由をつけ彼女に果たし状を送る。


 結果は私の完敗。ていうかめちゃくちゃ強い。

 彼女だったら⋯お姉様だったら、仮に私が暴走しちゃっても止めてくれるはず。

 私は温もりというのに非常に飢えていた。


 そんな私は、お姉様に無理を言う。敗者の私を弄んだ。それは、悪魔にとって大事なツノを触ったのを理由に姉妹契約もとい服従契約を持ち掛けた。

 最初は断られたけど、強引に契約を交わす。


 私はお姉様と何処に行くにも一緒に行動するようになった。

 そんな生活が続いたある日、とある質問をお姉様にしてみた。


「ねぇお姉様。お姉様は今までも悪魔を退治したことがあるんですか?」


 お姉様は少し考えた後に口を開く。


「何十年か前に一度だけ。高位悪魔名乗ってた」

「どんな奴でしたか?」

「忘れた」


 そうだよね。そんな昔のこと覚えてないですよね。


「確かヴァインとか名乗ってたにゃ。にゃもも戦ったから覚えてるにゃ」

「え⋯」


 私の思考が一瞬停止する。


 ヴァインって、あの私の友人の敵⋯。

 そいつを倒してくれたのは、お姉様だったの?


「大好きです! お姉様!」

「やめて、近い」


 私は一生お姉様に着いて行こうと再度誓った。

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