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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
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最後の魔女76 永眠

 瀕死の境を彷徨ってから、あっという間に数年の歳月が経過していた。


 思い起こせば、あれから色々なことがあった。

 結局、ユリアーナの熱烈な誘いを断った私は、今も一人寂しく寂れた古城で暮らしている。

 しかし、あれからもユリアーナたちとは交流があり、遠征の際など近場へ立ち寄った際には必ず顔を出してくれていた。

 私は歓迎の為に何処からか仕入れた食材などを準備し、彼等に振る舞った。そんな彼等はお返しにと私に旅の話を聞かせてくれた。その度に急死に一生を得ただの命からがら逃げ帰って来ただの。そんなことばかり言うものだから、流石に私は重い腰を上げた。


 彼等は勇者一行を名乗っていながら、ハッキリ言って弱すぎだった。こんな事じゃ私が命を賭けて守った意味が無くなっちゃう。


 それから約半年に渡り、彼等を鍛え上げ、少しは見れるように仕上げたつもりだった。連携さえ取れれば余程の相手と当たらない限り、逃げ延びる程度は出来るだろうと思った。でも、それも数年前の話。


 最近では人の出も全くと言っていいほど無くなり、毎日窓の外を眺めるだけの生活を送っていた。


 風の噂で彼等が人々を守る為、全員死んでしまったことを聞いた。

 

でも、自然と涙は出なかった。


 勇者や聖女が死のうが世間は騒がない。この世界には勇者や聖女は何人もいて、ユリアーナたちの代役などたくさん存在したのだ。

 世界からみれば彼等は小さな代償に過ぎないのかもしれない。


 だけど、私は違った。


 何を思ったのか、外へと飛び出しそれからと言うもの、毎日ユリアーナたちの命を奪った相手のことを探し続けた。


 そうして気が付けば12年と言う歳月が経過していた。

 そして、ついにその正体を突き止めたのだ。

 しかし、同時に私は絶望することになった。

 その正体は、同じ悪魔だったのだ。


 悪魔の掟その一《同族同士の争いを禁ずる》


 私たち悪魔は同族で争うことが出来ない。殺意を向けることすら叶わないのだ。これは破る破らないなど関係なしにこの身に悪魔の血が流れている限り抗うことが出来ない絶対遵守事項なのだ。

 私はこれほど自分が悪魔であることを呪ったことはない。


 それからの私は抜け殻のような生活だった。

 何もやる気が起きず、フォルネウス様に直訴し、年一の報告を免除してもらった。俗に言う、永眠だ。

 私たち悪魔は何らかの理由で永きに渡り眠りにつく場合に永眠申請することが出来る。その申請を私はお願いした。


 そうして私は古城の最奥の一室にて私は眠りについた。


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 何年が経過したのか分からなかった。

 何かの異変を感じた私は、徐に瞼を持ち上げる。


「あるぇ、ぐぬぬぅ⋯」


 最初、棺の蓋が上がらなかった。

 再び力を入れて持ち上げると、上に乗っていたのであろう瓦礫の山が崩れ落ちる音がし、蓋が開かれた。

 眠りにつく前から古城だったのだが、どうやら本当に廃城になってしまったようだ。


 かつて古城だったその場所は、今では瓦礫の山となっており、見る影もなくなっていた。


「あーあ、折角集めた財宝も掘り起こすのにこりゃ相当時間掛かりそ。まー時間はたくさんあるんだけどね」


 その時、ある違和感を覚えた。

 何かがポッカリと空いたような妙な錯覚に陥ったのだ。でも自然と悪い気はしない。寧ろ心地良くも感じる。もしかして、私が感じた異変って⋯。


 私はすぐに悪魔城クインテッドノースタリアへと向かった。それは、フォルネウス様に会う為だった。


「フォルネウス様はいらっしゃいますか」


 永きに渡り眠っていて、何も悪魔としての活動をしていなかったのに、いつの間にやら私の序列が上がっていた。眠る前は最低位の20位だった。


「序列18位リグレッド。お前は永眠中だったはずだが?」

「はい、先程目覚めました」


 フォルネウス様は何故だかとても疲れた表情をしていた。


「はぁ⋯。こう見えて私は凄く忙しいのだが⋯。それで一体何の用だ?」


 私はこの錯覚の正体に見当がついていた。

 それは⋯


「最近高位悪魔が亡くなってはいないですか?」


 全ての高位悪魔の生死を把握することが出来るのは悪魔王サタン様と、目の前のフォルネウス様だけだと言われている。


「何故お前がそんなことを聞く」


 一転して今度は真剣な寧ろ睨み付ける眼差しで私の方を真っ直ぐ捉える。

 フォルネウス様には、はぐらかしたり嘘は通用しない。だから、私は本当の理由を説明した。


「違和感を感じ、永眠から目覚めました。その違和感の正体が知りたいのです。私はその違和感の正体が仲間の死である気がするのです」


フォルネウス様は大きなため息を吐き、項垂れる。


「お前は何というか、あれだ。悪魔となった時もそうだったが、特別な能力でも持っているのか、はたまた悪魔神に見初められたのか、特異な境遇に苛まれているな」


私は別にそんなつもりはないけど⋯。


「まぁいい。お前の言う通りだ。昨日の夕刻、第20位階ヴァインが何者かにやられたようだ」


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