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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
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最後の魔女74 思念の狭間

 何もない世界。

 意識だけの世界。

 私の思念だけが、何もない世界にポツリと浮かんでいた。


 そこは黒くて暗い世界。


 私は⋯もしかして死んじゃったのかな。あれだけボコボコにされたんだからきっと、死んじゃったのかもね。でも何であんなことしたんだろ。


 昨日今日知り合っただけのましてや敵である人族なんかの為にさ。自分が犠牲になるなんて。でも何でだろ。後悔はしていないんだよね。別に私は悪魔と言う種族に誇りを持ってた訳じゃないし、悪魔王様の使命を全うしなくちゃいけないなんてこれっぽっちも思ってない。元よりなんで自分が悪魔なんだろって最近よく考えるようになった。もしかしたら、私はなりたくもないのに無理やり悪魔をしてるんじゃないかなって。

 ていうかさ、さっきから私の脳裏にチラチラ見え隠れする貴女は誰なのさ。最初はユリアーナみたいな感じの子だったけど、今私に強く訴えかけてる貴女はまた別人よね。一体アンタは誰なのさ!

 断片的に意味の分からないことばかり呟いてないで姿を見せなさいよ。


(本当は直に接触するのは禁じられているのですけどね)


 抑揚のない声が聞こえたかと思えば、目の前に現れたのは、うわぁ、なんて綺麗なんだろ。それにキラキラと輝いてる。とてもこの世のものとは思えない神秘的な雰囲気。


(貴女は悪魔の身でありながら、とても良い行いをしましたね)


 もしかして、ユリアーナの為に死んだこと? 良い行いかどうかは分からないけどさ、よく良く考えたらさ、あれ私が死んだらユリアーナはどうなるの? 絶対あの悪魔に殺されてるよね。慈悲のかけらもなさそうだし、見逃してくれるはずもない。あれ、それって私無駄死にじゃない?


 あははっ、私って馬鹿だぁ⋯


 守ったつもりだったのに、少しだけほんの少しだけ命を長らえさせただけじゃん。あの後すぐに援軍でも駆けつけて見事聖女様を救い出しましたみたいな絵本の中の物語でもあるまいし。


(ゴホンッ。そろそろ口を挟んでもよろしいですか?)


 え、いいけど何さ。


(貴女はまだ死んでませんけど)


 死んでないの? どうみても魂だけみたいな形になってるけど。


(時の流れを止め、思念だけをこちらの世界に呼び寄せたのです。貴女はあの場所で絶賛サンドバック中です)


 サンドバックねって、もうちょっと言い方あるよね? どちらにしてもあのままだとどうせすぐに死んじゃうよね。


(未練があるのでしょう。先程仰っていたではないですか。あの人族を助けたいと)


 ⋯⋯助けたいよ。でも出来るの?


(それは貴女次第です。ちなみに少し先の未来のお話をしましょうか。このまま貴女が何もしなかった場合、彼女はあの魔族に無残に殺されるでしょう。それはそれは無残にね)


 アンタ綺麗な顔して性格悪いわね。そんな未来にさせる訳ないでしょ!

 すぐに私をあの場所に戻しない! 今すぐに!


(分かりました。では最後に貴女の善行に対して褒美を差し上げましょう)


 キラキラとした輝きが私の周りに降り注がれる。

 そうして私の意識は元の場所へと戻された。


(頑張りなさい⋯⋯シュティア⋯)

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