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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
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最後の魔女61 トップオブセンチュリー

 まずは失った自然を取り戻す為に奔走した。


 大地に雨を降らせ、土壌に栄養を撒き、民の田畑を陰ながら手助けし、時には蔓延する疫病を食い止め、魔物の退治なども行なっていた。


 十二星は、別にその地に住まう人々の繁栄などは考慮していない。あくまでも最終目的である星そのものの寿命を縮めないこと。これが大原則であり、遵守しなければならない唯一の掟だ。

 逆に勝手に戦争を始めたり、大地を汚し続ける生物など、どちらかと言えば邪魔者でしかない。

 好き好んでその地に住まう人々を助けようなどと考える十二星は今までいなかった。


 しかし、牡牛座のシュティアは違った。


 まだ、就任直後ということもあり、彼女は全ての命を大切にと考えていた。

 そんな地界の住人想いの彼女の渾身的な対応の甲斐もあり、かつて不毛の大陸と呼ばれていたバスカトゥール大陸も、僅か50年足らずで緑豊かな大陸へと変貌していた。


 そんな最中、私は十二星が一同に会する式典を訪れていた。

 100年に一度開催されるそれは、十二星の中で誰が最も目的の為に尽力したかを表彰する式典だった。


「あんたの噂は聞いてるわぁ、やるじゃない。これからも頑張んなさいよぉ」


 乙女座のパルテノスと握手を交わす。


「ありがとうございます。まだまだ担当区域が発展していけるように努力します!」


 まさか、十二星一の美女であるパルテノス様に声を掛けて頂けるなんて、今日はそれだけで来た甲斐があるってものだわ。


 一際大柄な獅子の格好をした輩が目の前を通り過ぎる。重工な威圧感に、その場から動くことが出来なかった。


「そんなに怖がらなくてもいいよ」


 隣にいたのは、水瓶座のアクエリアス。


「あ、あの初めまして。新任のシュティアと言います」

「ああ、そうなるのか。僕はキミのことはよく知ってるんだけどね、僕はアクエリアス。宜しく頼むよ」


 彼は跪き、私の右手の甲を掴むと、優しく口付けする。


 こんな行為に慣れていない私は赤面してしまった。

 あわわ、、やばい、何か話題を変えないと、持たない⋯


「あ、ええと、ええっと、先程の貫禄ある御仁は、獅子座のレオ様ですよね?」

「そうだよ。まんま見た目獅子みたいでしょ。彼はあー見えて、結構温厚な性格なんだけど、見た目が見た目だからね、勘違いされがちなんだ」

「そうなんですか」

「でも、怒らせたら駄目だよ? レオは十二星最強だからね。対抗戦で痛い目に遭わされちゃうかもよ。キミも気を付けてね」


 ん、対抗戦?

 何か聞きづてならない響きが⋯なんだろう。まさか戦闘なんてものがあるのかな?


「あ、アポロン様が来られたみたいだね」


 2人の美女を傍に従え、筋骨隆々の人物がステージの壇上に登る。


「今更なんですけど、今日って何の集まりなんですか? 私、何も説明を受けてなくて」

「ん、上位神に聞いてないのかい? まぁ、でもすぐに分かるよ」


 賑わっていた会場が徐々に静まり返る。


「やぁ、諸君。100年振りだねえ。元気だったかい? まぁ、前置きは必要ないね。諸君も知っての通り、トップオブセンチュリーに輝いたのは⋯⋯」


 演出の為、突然式場の灯りが消え、スポットライトがユラユラと動き出す。


 うわ、眩しい。

 急にライトが当たるものだから、思わず手を掲げてしかめっ面をしてしまった。


「それは、牡牛座のシュティアくんキミだ!」


 全員の視線が私に集まる。

 え、何この光? なんで全員こっちを見てるの?


「どうしたんだい? 恥ずかしがってないで、壇上へ上がっておいで」


 私は、意味も分からず、言われるがままに壇上へと登る。


 周りの十二星の方々が私に拍手を送ってくれる。


 あ、分かった。これは、私が新参者だから自己紹介で呼ばれたんだね。なるほどなるほど。ていうか、他に理由が思いつかないもん。


「やぁ、おめでとう。まずは自己紹介からしてくれるかい?」


 ほら来た。ええと、先輩方の前で変なことを言わないようにしないとね。


「初めまして」


 まずは、ペコリとお辞儀をする。


「私は牡牛座のシュティアと申します。50年前に神アプロディーテ様より勅命を受け、バスカトゥール大陸を管轄しております。先輩方の功績、手腕を参考にさせて頂き、そこに私なりの考えを盛込み、この50年頑張ってきたつもりです。ですが、全然先輩達の足元にも及んでないのは分かっています。新参者の私が生意気言うようですが、何百年掛かるか分かりませんが、必ず偉大な皆様方に追いつけるように精一杯努力しますので、これからどうぞ宜しくお願いします」


 再びペコリと頭を下げる。


 会場内が拍手喝采に包まれる。


「それでは見事、最優秀に輝いた牡牛座に褒美をつかわそう。キミは何を望むのかな?」


 ほぇ? 最優秀? 何の?


 周りの反応を見るにどうやら状況を理解していないのは私だけのようだ。


 わたわたしている私に救いの声が掛けられる。


「良く頑張りましたね。貴女の担当神として、大変誇らしいですよ」


 あ、あの方は⋯


 一際神々しいまでの輝きを放ち、颯爽と登場したのは、上位神であり、私を十二星へと選んで下さった神様だった。

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