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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
138/145

最後の魔女137 ミリエム1

 ゴーレムの間から少し進むと、初めて下層に降りる階段を見つけた。

 本来ダンジョンは、どんどんと下層もしくは上層へと進んで行くものなんだけど、これだけ進んでやっと一階層しか進んでないなんて、普通はありえない。

 もしかして、それだけ広大なダンジョン? いやいやまさかね⋯。

 しかし、私の心配はどうやら杞憂だったみたい。階段を降りた先の光景は、一言で例えるのならば廃神殿跡がお花畑になったような感じ。でも私はこの光景を見たことがある。

 少しだけ進むと、一人の人物が座ったまま頭を地面につけている何とも目を疑うような変な光景が目に入った。


「ごめんなさい! どうか命だけは見逃して下さい!」


 明らかにダンジョンとは場違いな小さな少女がそこにいた。少女はまるで壊れた人形のように同じセリフを何度も何度も繰り返していた。十中八九彼女がダンジョンマスターなのだろうね、でもなんで土下座?


「お姉様、あの子がこのダンジョンのマスターですよね?」

「うん、間違い無いと思うよ。周りから感じる魔力と同質の魔力をあの子の中から感じるから」


 リグは肩を回しながらダンジョンマスターことダンマスさんへと歩み寄る。


「今までの恨みを晴らさせて貰うわよ!」


 どうやらリグはやる気らしい。まぁでも無理もないよね。さっきの爆発で全員死に掛けたんだもん。

 しかし、そんなリグを止めたのはリリベルだった。


「リリベル、そこを退きなさい。じゃないとソイツを倒せない!」

「戦意のない相手に攻撃したらダメだってお母さんが言っていました。彼女はどう見ても戦う気はないと思います」

「やられたらやり返せって私の中に流れる血が騒いでるのよ。いいからそこを退きなさいよ!」

「ダメです!」


 ううむ。助け舟を出さないと本当にリリベル毎攻撃しちゃいそうだなぁ。


「リグ、矛を収めてあげて。無抵抗な子に仕返ししてもつまらないでしょ。それにどうせ仕返しするなら貰える物を貰ったお返しの方が私は助かるけどなぁ」

「お姉様がそう仰るのでしたら。命拾いしたわね、ダンジョンマスターさん」


 尚も威嚇の視線を送るリグにダンマスさんはビクリとその小さな身体を震わせた。

 私はここへ来た目的を簡単にダンマスさんへと告げる。


「それって、もしかしてあれのことじゃないかしら」


 ダンマスさんは何かを思い出したのか私たちにその場所へと案内してくれた。


「私がダンジョンマスターになった時から、それはそこに存在していたの。ええっと、確かこの辺りに転がって⋯⋯あっ、これこれ。ん、あれ、でも普段こんな光ってたかな?」


 指差した先には、薄ぼんやりと光輝く頭サイズ程度の石だった。その表面には黒い字で何やら刻まれていた。

 この文字は魔女文字と呼ばれる魔女の間だけで使われていた魔女にしか分からない文字。間違いないね。急に光出したのは私が近くにいるせいだろう。


「お姉様、御目当ての品はこちらですか?」

「うん、間違いないよ。私が封印した力の一端だね。これ貰ってもいい?」

「どうぞどうぞ、持って行って下さいませお嬢様!」


 お嬢様って⋯キャラ変わってない⋯?


 その後、ダンマスさんとのお茶会が始まった。


「いやぁ、それにしてもお嬢様方はお強いねぇ。私のアームストロング君が負けたのは初めてだよ」

「当たり前でしょ。お姉様は世界で一番強いんだから」


 いや、リグそれはないよ⋯。


「ゴーレムなんて初めて見ました。ミリエムさんが造ったんですか?」


 リリベルが目を輝かせていた。確かにあのゴーレム欲しいよね。お願いしたらくれないかな⋯。完膚なきまでに破壊しちゃったけど。


「造ったと言ってもダンジョンポイントを消費して召喚しただけだよ。自慢の子だったけど。まさか倒さるとは、あはは⋯」

「ねぇアンタ。ダンジョンは踏破されれば、踏破者に金銀財宝や何でも願いを与えるって聞いたんだけどさ?」

「あはは⋯一般的なダンジョンだとそうかなぁ。でも私のダンジョンは⋯」


 ダンマスさんことミリエムさんは自分がダンジョンマスターになった経緯から話し出した。

 以前のダンマスから聞いた時もそうだったけど、ダンマスは神から命じられ、ダンジョン内に生を受ける。

 最初はそれこそ何もなく、あるのは狭い部屋が一つとダンジョンコアと呼ばれる物があるだけだった。ダンマスは、コアにダンジョンポイントを捧げると代わりに色々な物をダンジョン内に配置することが出来る。それこそ衣食住に関する物からモンスターやら階層を増やすことも出来る。


「で、なにアナタ。踏破者に何も渡せる物がないとはどういう事なの?」


 ミリエムは再び土下座のポーズを繰り出した。

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