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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
136/145

最後の魔女135 人造兵器(ゴーレム)1

 入り組んだ構造の一見して迷路に見えるそれは、元を正せば一本道だ。


 ダンジョンに入ってからどれ程の時間が経過したのか。最初は億劫に感じていたそれも暖かく美味しい食事と疲れとストレスを取り除く至福のマッサージにより、リリベルもまた文句の口数は減っていた。

 永遠とさえ思い始めていた探索がここに来て初めての変化が訪れた。


 細長い通路を抜けた先に待っていたのは、だだっ広い空間だった。

 天井なんか遥彼方で目を凝らしてようやく見えるレベルだ。縦横の空間は計り知れない程に広大だった。

 しかし、驚くべきはその広さだけではなかった。


 警戒すべきは少し離れた所にポツンと佇んでいるそれ(・・)だ。


「お姉様、何かいます。下がって下さい」

「あれは、も、もしかしてゴーレムですか?」


 リリベルの指差す先には、凛とした佇まいで腕を組み仁王立ちしたそいつがいた。

 全身が土色のボディーをした人造兵器(ゴーレム)


 人造兵器(ゴーレム)は、500年以上も昔に非力な人族が強大な魔族や悪魔たちに対抗すべく造り出した存在だ。しかし、当時の製造法を知る者はおらず、今では過去の遺産とまで言われるようになり、完全に原型を留めて現存するゴーレムは非常に珍しいとされていた。学者たちは何とか当時の製法技術が再現出来ないか試行錯誤を繰り返すも今日に至る迄実現は出来ていない。

 また、ゴーレムには等級があり、低ランクならば倒すのは比較的容易だが、全10ある等級の中で5以上ともなれば、騎士団十個中隊にも匹敵すると言われていた。


「胴体に大きく7と描かれていますね、あのゴーレムの名前でしょうか?」


 ええと⋯10段回で7ってことは⋯ええと、もしかして凄く強い?

 でもまさか、動いたりはしないよね。今の時代、完全な形で残ってるだけでも珍しいんだから⋯。


「リアさんリアさん、リグさんが近付いたらあのゴーレムさんが起動しちゃったみたいです。目が赤く光ってます」


 私のゴーレムの知識が正しいとするならば、等級7の強さはリグでもそう簡単にはいかないはず。


「私に立てつこうなどと100万年早いわ」

「リグさん、頑張って! ふぁいおーですよー」


 腕まくりしてやる気満々のリグ。その後ろから応援態勢のリリベル。


「パンパカパーン! ようこそいらっしゃいましたぁ冒険者諸君。いやぁ、ここまで辿り着いたのは君達で2回目? いや、3回目? 忘れちゃったぁ。でも実に20年振り位かな?」


 何処からともなく少年のような声がこの広場内へ響き渡る。魔法で拡張しているのか澄み渡るように行き届いている。しかし、姿は何処にも見えない。たぶん、ダンジョンマスターが安全なとこから監視してるんだろう。


「この部屋に入ったが最期。そこに見えるアームストロング君を倒さない限り君達は生きては出られないからね。聞くまでもないと思うけど命乞いするなら助けてあげないでもないよ?」


 ここは命乞いすると見せ掛けて油断を誘って、相手の意表を突く。よし、すぐにみんなに作戦の説明を────。


「面白いじゃない。ただのお人形さんが私に勝てると思ってるのかしらね」


 リグはやる気満々のようで、再び準備運動を始め出した。

 うぅ、遅かったよぉ。

 ま、まぁリグだけじゃなく私もいるし、たぶん大丈夫だよね。それにしても、まさかこんなところで古代の遺物と戦うことになるなんてね。私も文献で読んだだけだから、詳しいことは分からないけど⋯。


「リグっ油断は禁物だよ!」

「任せて下さい! あんなやつ瞬殺ですよ」


 リグは相手に背を向け、私に手を振っている。

 早速油断してる気がするけど、後ろから攻撃されても知らなっ──!


「後ろっ!」


 ゴーレムの目が赤く光ったかと思えば、レーザービームがリグを穿つ。

 リグはギリギリでそれを躱すと、悪魔の腕を顕現させる。瞬きよりも速い速度でゴーレムを掴み上げるも、体表に触れた瞬間に悪魔の腕が掻き消えてしまった。


「あー、言ってなかったけど、ゴーレムの身体の表面にはね超高圧電流が流れているから触れたら命はないからねー」


 直接触れないのなら離れて攻撃するしかないか。リグも理解し、作戦変更したようだ。


「これでも喰らいなさいなっ! お姉様直伝、悪魔焼却砲(イビルカノン)!」


 相手へと向けた両手から炎の光線が放たれた。

 一瞬の出来事にゴーレムは避けることができず、直撃してしまった。


「からの、地獄の業火(ヘルフレイム)よ!」


 ゴーレムの足元から巨大な青い炎の渦が出現したかと思えば、巨体を全て覆い隠すように燃え続けた。

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