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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
122/145

最後の魔女121 ダンジョン攻略2

 ここ六九階層は、ダンジョンの名の由来通り迷宮階層だった。


 大小多くの部屋が点在し、モンスターがわんさか沸いてる場所もあれば、トラップが敷き詰められ、危うく丸焦げになる所だった。

 今いる部屋は何もない空間のように見えるけど、何か得体の知れない気配を感じる。二人で手を繋ぎ恐る恐る部屋の中に一歩脚を踏み入れると、突如として地面が光り輝き眼を開けていられない程の眩い光に包まれた。


 やがて光が収束し、徐に眼を開けた先の景色は一変していた。目を擦りなおしても景色は変わらなかった。


「あれ、アレス君?」


 アレス君の姿が何処にも見えない。

 どうやら二人とも別々に強制転送されちゃったみたい。

 え、ヤバくない?

 普段なら探索魔法で探せるけど、このダンジョンは自分のいる階層の範囲しか把握出来ないんだよね。少なくともこの階層にはいないみたい。


 さて、どうしようか。このまま進むのか、それとも戻るのか。

 えっと、今の階層は⋯⋯っと、ええ!

 は、八十五階層ってなってるけど、本当かな?

 確か、このダンジョンの現在の最高到達階層が八十七階層だったはず。あれ、ていうことは十階層以上も飛んじゃったのか。


 ううう⋯アレス君大丈夫かな⋯。


 その後、分からない道をモンスターを倒しながら進んでいると、地下へ降りる階段を見つけた。

 私は地下じゃなくて地上に行きたいんだよ!

 私一人だけなら最悪転移で帰還出来るけど、アレス君は違う。元来た道をせっせと戻らないといけない。

 それにしても困ったなぁ。さっきから探してるけど、何故だか地上に戻る階段が見つけられない。この階層のモンスターはあらかた掃除し終わったのに上へ戻る階段がない!


 いつまでもここに居るわけにも行かない為、私は意を決して下へ降りる決断を下した。


 暗い暗い世界⋯。


 何も見えない。どうやらこの階層は真っ暗闇の世界みたい。

 私は魔法の夜目を発動し、若干薄暗いものの曇り空の下と遜色ない程度の視界になった。


 普通なら松明とかで攻略するのかな?

 でも全ては見通せないからそれだとかなり厳しい戦いになりそうだよね。

 そんなことはお構いなしと目の前で私を睨むのは、私の十倍はありそうな巨大なジャイアントムカデ。

 気持ち悪い。見ただけで吐き気がしそう。普通なら見えないのだろうけど夜目のお陰でハッキリクッキリと見えている。

 ジャイアントムカデは私の方向に正確に突進をかまして来る。

 危なげなくそれを躱すと、そのまま風刃(ウィンドカッター)でその胴体を細切れに⋯出来ないね。コイツも相当硬いのか、私の攻撃を弾いた。

 硬いなら焼き尽くすまでだよ。


 《紅蓮華》


 灼熱の業火で咲き乱れる華に周りを囲まれて、ジャイアントムカデは雄叫びを挙げる。

 てっきり断末魔の叫びかと思いきや、その口から放たれたのは氷のブレス。

 私の紅蓮華の灯を全てキレイさっぱり鎮火してくれちゃったよ。

 でも、それなりのダメージが入ってるね。所々身体が焼け焦げてるし、変な液体が溢れてる。

 ええと、火も駄目で氷を吐くなら、雷はどうだ!


 《雷撃(ライトニング)


 一筋の閃光がジャイアントムカデの頭部を撃ち抜く。

 そのまま崩れるように巨体をズシンと響かせ大地へと倒れ込む。


「ええと、これで終わりかと思えば奥から何匹かこっちに向かってくるんですけど! なにこれ、気持ち悪い⋯」


 仲間の仇と言わんばかりに臨戦体制で私に一、二⋯七匹のジャイアントムカデが襲い来る。って多くない?

 もう、いちいち制御なんてしてらんないよ。


 《雷撃雨(ライトニングレイン)


 数多の煌めく閃光がまるで意志のある生物のようにジャイアントムカデ共の脳天に正確に襲い掛かる。

 仲間が次々に倒れていく姿を目にし、逃げ惑う。その様はまるで地獄絵図のように、撃ち抜かれた苦しみでのたうち回り、断末魔の叫び声が木霊する。


 やがてこの階層からモンスターの反応が消えた。


 ううむ。流石にこれはやり過ぎたかも⋯。

 目の前の光景は、目を覆いたくなるようなおぞましい光景。ジャイアントムカデが、なまじそのままの姿で残ってしまっている為、余計に気持ち悪い。


 《獄炎陣》


 視界を遮っていたものが一瞬にして蒸発していく。

 火耐性があっても流石に火系統の最上位魔法の前では意味を為さないみたいだね。

 でも、最上位魔法は余計に魔力を消費するし、魔力の溜が必要だから戦闘時は中々に使い辛い。後、被害が酷い為、場所を選ばないと大変なことになる。

 目の前から障害物はキレイさっぱり消えたけど、文字通り壁やら視界を遮っていたものが全部無くなっちゃった。

 地面はグツグツと煮え滾ってるし⋯。

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