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最後の魔女  作者: 砂鳥 ケイ
119/145

最後の魔女118 冒険者になる1

 グラナダから逃げるように出て来た私たちは、行く宛もなく街道を彷徨っていた。


 道すがらアレス君とたくさんお話をしたんだけど、彼の成り立ちを聞けば聞くほど涙が出て来て止まらない。だってアレス君本当に悲しい過去を持ってるんだもん、ううぅ、お姉さん抱きしめて慰めてあげたいよ。それを実践しようとしたら「お前、何か母ちゃんみたいだな」って鼻で笑われたよ。


 そんなに歳離れてないし、失礼しちゃうよね。


 まぁそれは置いておいて道中の旅路は楽しかったなぁ。

 眷属たちがいるから基本一人ではないけど、やっぱり仲間って言うのかな。悪くないよね。


 後、嬉しかったのはね、私が魔女だってことをあまり気にしていなかった。色々と追及されるのかなと思って一人身構えていたのが馬鹿みたい。だけど、何より嬉しかったのは⋯


「私は魔女なのに、アレス君怖くはないの?」

「何故だ? 暗殺者である僕に怖いものはないよ。逆に僕のことは怖くないのか? 今まで数えきれない程の人を手に掛けてるんだぞ」


 まさか同じ質問が返されるとは思わなかった。

 そうかぁ、怖くないのかぁ、あははっ何だか嬉しいな。


「ぜーんぜん!」


 道中は特に何事もイベントが起こることもなく、迷宮都市ラザナスへと到着した。


 迷宮都市ラザラス

 この場所は数多いる冒険者たちの別名《夢の場所》と呼ばれている。

 中央に迷宮と言う名のダンジョンが配置してあり、そのダンジョンを攻略する為にダンジョンの周りに都市が造られたと言われていた。それは今から八十年程前の話だ。

 このダンジョンは八十年数多の冒険者が今も尚挑戦し続けるも未だ誰もクリアしたことのない未到覇ダンジョンとして知られていた。

 ダンジョンは地下百階層あり、下へ降りる程にモンスターのレベルが上がって行く。現在までの最高到達階層は八十七階層だった。

 八十年経って尚攻略することが出来ない。それ程までに高難易度のダンジョンだった。


 別にこの場所に来たかった訳ではない。行先などない私たちは、正直何処でも良かったんだけど、彷徨っていたらこの場所に着いただけ。

 だけど、偶然そこで聞いた話に私は胸躍らされた。このダンジョンをクリアすると何でも願いが叶うと言われていた。


 その報酬を獲得する為に、命の危険もある高難易度ダンジョンに冒険者たちは今日も挑み続ける。


「何でも好きな願いが叶うのかぁ。それは中々魅力的だね!」

「そもそも僕たちは冒険者ですらないけどな」

「アレス君強いし、私もそこそこ強いからもしかして制覇出来たりして?」


 そんな私の半ば冗談がまさか本当にダンジョンに挑む運びになるとは思わなかった。最初は無関心だったアレス君が急にやる気を見せるようになっ為だ。


 ダンジョンに入る為には、冒険者になる必要があり私たちは冒険者ギルドを訪れることとなった。

 外観はいかにもな剣と盾のモニュメントで、周りと見比べても一際大きな建物。

 そもそもが迷宮ダンジョンクリアを目的とした都市なのだから冒険者ギルドが大きなのも頷ける。


 中へ入るとかなりの人数でごった返しており中々に活気があった。

 色々な年齢層がいるなぁ、私と同世代か見た目よりも小さな子は流石にいないなぁ。

 興味本位にジロジロと中の様子を伺っていると、何故だか全員がこちらに視線を向けて動きが止まった。


 ええっと、何かしたかな⋯。もしかして、私が魔女だってバレてるとか?


「おいおい、見ねえ顔だな。新入りか?」

「ここはガキが来るところじゃねえぞ。帰んな」


 私の前には強面のマッチョなおじ様が二人腕を組んで遙かなる高みと言わんばかりに上から見降していた。


 私を庇うようにアレス君が前に出て相手を睨み返す。


「少なくともアンタたちよか僕たちの方が実力は上だと思うけどね」

「あぁ、何だとガキのクセして」


 胸ぐらに掴みかかり持ち上げようとする。しかし、アレス君はピクリともしない為、顔を真っ赤にするも微動だにしなかった。


 アレス君カッコいい!

 私が一人うっとりしていると、今度は明らかに実力のありそうな貫禄のあるおじ様が現れた。

 一触即発の雰囲気に救世主現る! な展開かと思いきや、この人はギルド職員だった。


「ギルド入団テストを受けに来たのか?」


 二人して顔を見合わせる。


「「はい」」

「ならば早速テストを執り行う。着いてこい」


 案内された場所は、地下の演習場だった。

 数人の冒険者たちが特訓をしている姿が見えた。


「お、何だ団長、もしかして新入りか?」


 何やら不審な言葉が聞こえたけど、まさかね。


 演習場を通り過ぎたかと思えば、広さは半分くらいのこれまた同じような演習場に到着した。

 ここには先程と違い、周りに人影は見えない。


「ここで君たちの実力を見させて貰う。私を認めさせることが出来ればギルドへの入団を認めよう」


 筆記試験とかあったらどうしようかと思ったけど、あのおじ様を倒せばいいんだね。簡単じゃん。


 先にアレス君が挑むことになった。


「武器は自由だ。私に納得さすことが出来れば合格とする」

「随分曖昧な判定基準だな。取り敢えずこちらから行かせて貰うぞ」

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